雨あがりのペイブメント

雨あがりのペイブメントに映る景色が好きです。四季折々に感じたことを、ジャンルにとらわれずに記録します。

夢花火

2010-08-28 11:16:48 | 季節の香り
 午後七時
 大会開始の時間である
 対岸の東の空に
 合図の花火が威勢よく打ちあげられる

 夏の夜空に
 西の空の一番星がひとつ薄暮の中にキラリと光る

 川面を渡って
 葦原(あしはら)の葉をさやさやとなびかせ
 土手を這いあがってくる晩夏の夜風は
 どこかに秋の匂いを感じさせる

 長い経済不況と雇用不安を反映してか
 今年のテーマは
 「夜空に輝く 祈願のひかり」である

 「幸せになりたい、幸せでありたい」と誰もが願う

 幸せというささやかな希望を乗せた観衆の願いを
 花火師は夜空にむかって打ち上げる

 それぞれの思いを込めて
 夜空に散華する大輪のひかりの華は
 人の心をとらえて離さない

 会場の雑踏から遠く離れ
 花火の合間の静寂を縫って
 秋の訪れを告げる虫たちの演奏が
 夜のしじまの中を流れていく
 
 星も 月も 花火も
 自然という舞台の中で
 夏の終わりの祭典を彩る
 小道具になって
 夜は静かに帳(とばり)を厚くしていく
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