赤い地面、箱あるいは樹の背景である山々が、パノラマ状に広角に見えるということは、この二つの景には相当な距離があると考えられる。
ずっと遠く、果てしないほどの遠隔、次元が異なるほどの差異ある場空間をあたかも至近にあるように描いている。
ハゲタカの公園、箱の中の樹は根幹を失い、生育を拒否されている。つまり死ぬしかない処刑の場である。しかしここにはまだ時間という概念や箱(棺)の形がある。
黒い連山は死の山であり、《虚無》の具象化である。そこへ至るまでの〈ハゲタカの公園〉には、赤黒い血が染みついている。
背後(中間)のパイプ状のものは本当の死《虚無》に至るまでの関門ではないか。それらの拠点は不明であり、中空に浮上している(重力の否定)という選択も否定できない。
ハゲタカの公園はマグリットの考えた《地獄絵図》の一端ではないか。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
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