続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M「ピレネーの城』

2022-04-27 07:14:17 | 美術ノート

   『ピレネーの城』

 古生代から中生代の地層、隆起や褶曲によってできたピレネー山脈。古代の地層の岩石、古の人の記録にない世界である。その岩石が突如海上、天空に現出するなどありえず、地上からうかがい知ることの不可能な世界があったのだと仮想する。

 絶対にあり得ないと断定してしまえば消える話である。しかしこの岩は正面からの視点である。水平線を越えた視点にあるということは、すなわち浮遊そのものであり、衆目の遥か上に在るということである。

 物理界での絶対の否定は二次元(絵画)の上では可能である。
 しかし、もしこれが単なる戯画ではなく、未来における現実だという可能性も否定できない。ピレネーは古の岩石などと言う小さな話ではなく、この岩石そのものが、滅びていった地球の破片、名残りの風景かもしれない。

 わたし達が信じ、絶対を確信する所以はどこにある?
 空中にある物はすべて落下する、という法則が通用しない時空の巡り合わせは恐怖であるが、恐怖という言葉すらも消えた世界を静観した俯瞰の図である。

 写真は『マグリット』展・図録より


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