「うつむけに倒れておいで。ひゆう。動いちゃいけない。ぢきにやむからかぶつて倒れておいで。」雪わらすはかけ戻りながら又叫びました。子どもはやつぱり起きあがらうとしてもがいてゐました。
「倒れておいで。ひゆう。だまつてうつむけに倒れておいで。今日はそんなに寒くないんだから凍えやしない。」
うつむけに倒れて(俯倒→不凍)・・・凍えやしない。
(雪わらす)であって、雪童子ではない。
(子ども)であって、子供ではない。
この微妙な差異は生死の状態や心理の揺れを描き、子供(死境)と雪童子(死の導師)が《生》の領域に引き戻るようなニュアンスを醸している。
「倒れておいで。ひゅう、だまってうつむけに倒れておいで。今日はそんなに寒くないんだから凍えやしない。」
「じっとしていれば、死んだりしない!」と雪童子(死の導師)は生への救済を叫んでいる。
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