続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

『水仙月の四日』39。

2021-11-02 06:32:31 | 宮沢賢治

「うつむけに倒れておいで。ひゆう。動いちゃいけない。ぢきにやむからかぶつて倒れておいで。」雪わらすはかけ戻りながら又叫びました。子どもはやつぱり起きあがらうとしてもがいてゐました。
「倒れておいで。ひゆう。だまつてうつむけに倒れておいで。今日はそんなに寒くないんだから凍えやしない。」

 うつむけに倒れて(俯倒→不凍)・・・凍えやしない。
 (雪わらす)であって、雪童子ではない。
 (子ども)であって、子供ではない。
 この微妙な差異は生死の状態や心理の揺れを描き、子供(死境)と雪童子(死の導師)が《生》の領域に引き戻るようなニュアンスを醸している。

「倒れておいで。ひゅう、だまってうつむけに倒れておいで。今日はそんなに寒くないんだから凍えやしない。」
「じっとしていれば、死んだりしない!」と雪童子(死の導師)は生への救済を叫んでいる。


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