『女盗賊』
黒衣の人物、女盗賊というタイトルなので女かと思うが、男の肩ではないか。長い手に比して下半身は短い。黒衣から出ている手は明らかに人間の手である。その手が抑えている木製の箱、脇には小箱も見える。
盗賊、何を盗んだのか。
木箱の中に盗むに値するもの、盗まれることを断固拒否したいものが入っているに違いない。
マグリットの中での喪失感を考えると・・・母、母を盗んでいった盗賊との対峙である。
女盗賊は直立しておらず少し左に傾いでいる、力を込めて箱のふたを抑えている。決して開けることは叶わないというように。
この世のものではない使い(使者)は堂々マグリットに向き合っている。「あなたのお母さんをお守りします」あの世の使者である。使者(守護神)は、逞しい男であるより、女であってほしいマグリットの願いかもしれない。
写真は『マグリット』展・図録より
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