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ムバラク、大統領選不出馬を表明、米景況感改善好感、NYダウ148ドル高(学校で教えてくれない経済学)

2011-02-02 09:36:01 | 経済学
「中国綿花農家、自宅空き部屋に綿花山積み」の見出しのCrolynCui記者の記事を1月29日付けのWSJ紙で見つけた。北京の南西220マイル(35キロ )に住む年間約3トンを生産するYuLianminは2500万綿花農家の一人である。「労務費と肥料代が昨年1年で20%上がった。だから綿花がさらに値上がりするのを待っている。」と話したと書いていた。

今回の記事で驚いたことは、多くの綿花生産国で綿花の生産、消費、在庫データを公表していないとの記述である。第2の生産国インドは綿花のミル消費データの公表をストップ、3位のパキスタンは、当該シーズンの3年以降でないとデータを公表しない。世界3位の輸出国ウズベキスタンやブラジル、メキシコ、アルゼンチンもデータを一切公表しないと書いていた。正確なデータが公表されないから、世界的な金余りを背景にして、投機資金を暗躍する。その結果として綿花相場を押し上げる構図であろ。

世界的な金余り現象は米株式市場でも見られる。2月1日のNY株式市場は、米企業業績好転期待とエジプト情勢の鎮静化の思惑も加わり、NYダウは前日比148ドル高、12,040ドルと2008年6月以来の高値で取引を終了した。米ブルームバーグ(NHK・BS「おはよう世界」)に登場したディラ―も「予想外の値上がりだ」と答えていた。昔インド人もびっくりというコマーシャルが日本でもはやった。生き馬の目を抜くと言われるNY株式市場のベテランディーラーが今朝の大幅高にはびっくりしたというからなにおかいわんである。

今朝のブルームバーグは、テレビ画面半分に、「この先数ケ月は現職にとどまるが、9月の大統領選挙に出馬しない」とテレビ演説するエジプト、ムバラク大統領の姿を映しながら放送していた。NY株高の裏にはアメリカが元エジプト大使を特使として派遣、国民が望むムバラク退陣の方向で事態が収拾に向けて進むとの情報が株式市場に事前に流れていたのであろう。テレビ東京系の「モ―二ングサテライト」に出演した東海東京証券の矢崎正氏は「今の相場は企業業績買いが背景にある。押し目待ちに押し目なしの状態だ。」と解説していた。

エジプト情勢がひとまず鎮静化するとの思惑から1日のNY原油先物(WTI)相場は、前日比バレル当り1.42ドル安、90.77ドルで取引を終えた。一方、NY外国為替市場では、米景況感を示すデータが出たにもかかわらず、ドルが対ユーロ、対円ともに売られ、1ドル=81.34~34円、1ユーロ=112.44~53円で取引された。

今朝のテレビ東京系「モーニングサテライト」に出演したJPモルガンの佐々木融氏は「ドル実効レート指数は82から79へ下降トレンドに向かっている。80円割れもありうる。」とドル先安を予測していた。ドルは対ユーロ、対円のみならず対英ポンド、対豪ドルでも下げドル全面安の展開だと解説していた。米景気回復でもドルに買い手がつかない。先日の講演会で「弱い通貨と比べて円が高いと強がっていてもナンセンスだ。」と日高義樹氏も話していた。

綿花相場高騰は世界的な金余りが生んだ象徴的な副産物である。ドル垂れ流しが止まらぬ限りインフレは進むだろう。小麦、トウモロコシ、大豆、砂糖、ゴム、コーヒーと軒並み高騰している。日本のタイヤメーカーの一部が4月1日から乗用車向けのタイヤを値上げすると発表した。綿花が上がれば安売りしていたジーパンやシャツが店頭から姿を消す。大豆が上がればおいしい豆腐も口に入り難くなる。日本にはデフレボケしている余裕は全くない。(了)

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