この法案には幾つもの内容が一本の法案になっている。
したがってすべての内容に「賛成」「反対」しか、選択肢がないし、政府は「憲法に違反する部分を修正」する気も無い。政府は頑なに、法案修正などの妥協をしようとしないのはなぜだろうか?
安保法制懇のメンバーだった細谷氏は、存立危機事態は、ほとんどあり得ない。安全保障環境が悪化しているわけではない。と述べている。色々な法律を一本にした今回の法案を、少なくとも今国会で成立させる必要はない。一度廃案にして出し直すべきだ。
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賛成する立場である岡本氏と細谷氏への、私からの素朴な反論
岡本氏:この法案を潰して”めだたし、めでたし“で良いのか。
反論:この法案を潰せば、あとはどうでも良いなどとは国民は言っていない。
岡本氏: 丸腰の外交官やボランティアの人殺されている。士気も高く優秀な自衛隊が行かないのはおかしい。
反論:①士気も高く優秀な自衛官が、今度の法案成立後も、今までのような「高い士気」を維持できるのか。「高い士気」は国民の支持と信頼があるからだ。②近くで活動している、人道支援や復興支援のNGOなどを救援する事は今でも可能だ。素人の考えだが、特に日本のNGOなどと協力関係を構築して活動すべきではないだろうか。今度の法案では、任務遂行型だといわれている。任務遂行を邪魔するものは排することができるようにする法案だという。また、離れた場所にいる他国部隊の救援を可能にする内容だ。十分に周囲の状況を把握できないまま救援を行うと、一般人を殺してしまう恐れが高くなる。地域紛争は都市でのゲリラ戦だという。敵か見方か判断が難しい。「人を殺さない日本」という現地から高く評価されている。日本のNGOだからできている支援ができなくなると心配している。実際に活動しているNGOなどが何を求めているのか、議論をして意見を反映すれば、もっと良くなる方法があるのではないか。③間違って一般人を殺してしまった自衛隊員は、現状では一般の刑法で罰せられる。
細谷氏:サイバー空間・宇宙空間…
反論:サイバー空間や宇宙空間が今度の法案とどう関係するのか、議論にもなっていない。何がどう必要なのか、きちっと議論できる場(一本の法案)をつくるべきだ。個別の議論(理解)がないままに「10把ひとからげ」の法案を出した。
細谷氏:国民の皆様がデモで叫んでいる「戦争したくない」「平和を守れ」、そのための法案だ。
反論:細谷氏は、デモに参加したことも、の現場に行ったこともないのだろう。「10把ひとからげ」法案に対して、プラカードやシュプレッヒコールで、反対する幾つもの内容を細かく表現することは不可能だ。パソコンの前だけの研究しかしていない人だ。
細谷氏: 戦争をしない平和国家大賛成、そのために必要な法案。
反論:安部政権が本当に「戦争をしない平和国家」を目指しているのか、疑問を持たざるを得ない。選挙によって簡単にこのような内閣が出来てしまったこと。この法案がどんな内閣でもフリーハンを与えてしまう事。この現状に恐怖さえ感じてデモに参加している人もいる。他国に攻められるより、他国の人を殺してしまうことになることを心配している人が多い。デモに参加してみないとわからない事だ。
岡本氏:私の話を聞いた学生は、20人の反対が4人になった。
反論:10把ひとからげの法案をどう説明したのか? こういう話では議論にならない。
細谷氏:いろんな誤解があり、そのため多くの人が不安になっている。
反論:誤解なら誤解を解く努力をしていない。国会審議を見れば憤り覚えるほど。
細谷氏:集団的自衛権の発動は、冷戦終結後、世界中でも一度もない。だから心配するのはどうか?
反論:ほとんど使われない集団的自衛権であれば、今国会であわてて成立させる必要もないだろう。憲法違反といわれる「集団的自衛権に絡む内容」を削除すれば理解されるかもしれない。「どこまでも集団的自衛権にこだわる」「国会承認にもこだわる」だから「総合的判断の裏に何かあるのではないか?」と不安になる。二年あまりの間に政府を信頼出来なくなってしまった。これは安部政権の本質に関わる問題でもある。
岡本氏:海外で日本人が危険にさらされたとき守れない。
反論:基本的には現地の政府が守る。自衛隊はそのような組織ではない。派遣しても不可能だと専門家は言っている。アメリカ軍でもできていないのが現実だ。
主権国家が軍事力で束になってもどうしようもないIS(今度は急にイスラム国と言い出した)に、自衛隊が行ってどうにかなるものではない。
岡本氏:イラクに派遣された自衛隊は、オランダ軍とオーツトラリア軍に警護してもらった。
反論:自衛隊の行くところは非戦闘地域だといって派遣したことにも問題がある。あのタイミングでの派遣が本当に良かったのだろうか。
岡本氏:日本のタンカーを守るためにアメリカの軍人が死んでいる。外国の軍隊の犠牲により自分たちの安全を勝ち取っている。
反論:具体的にどの事を言っているのだろうか? わが国の存立が脅かされる事態か?
岡本:2600隻のわが国の商船が、継続的に攻撃を受けているような時、物流が止まっているのは国家の存立に関わることだ。
反論:一時的に経済的に困窮するという事も「存立の危機」に含まれるに含まれるのなら、すぐ戦争になる。あの太平洋戦争も「自衛」だったと言うに等しい。安倍首相の本音では、あの戦争は侵略戦争でなかったと言いたがっている。
岡本氏:日本人の人命と財産が破壊されようとしている時、他国の軍隊と一緒に守るのは当然。
反論:戦争により日本のタンカーが危険になったら、船会社は運行しない。日本人の人命と財産が破壊されることは考えにくい。重油が入らないという経済的理由でショ。
柳澤氏の反論: 今行われているソマリア沖での自衛隊の活動は、海賊取締りの警察行動であり、集団的自衛権の行使ではないから可能だ。法案の内容の問題は、集団的自衛権の問題ではなく、国家間の紛争を解決するために武力行使をするかどうか、憲法9条に関わる問題だ。やるのなら憲法を改正しなければならない。今度の法案は憲法改正するかどうかに等しい内容だ。この法律が成立して、仮に自衛隊員が民間人を殺してしまったら、一般の刑法で裁判を受けることになる。(自衛隊員に前科ものがたくさんできてしまう)他国の軍隊同様に活動すると、しわ寄せは全て個々の自衛隊員にいってしまう。現憲法下では「海外派遣(実質派兵)はできない。
細谷氏:政府の説明が良くない。存立危機事態はほぼ起こりえない。すぐにでも起きるような説明は問題だ。
反論:そうであるなら、今急いで決めなればならない危機はない。この法案から外すか、よく検討しなおすべきだ。
柳澤氏:今行われているソマリア沖での自衛隊の活動は、海賊取締りの警察行動であり、集団的自衛権の行使ではないから出来ている。
細谷氏:安全保障環境が悪化しているわけではない。説明が良くない。情報に国境はない。あるのは安全保障環境の変容だ。
木村氏:サイバー空間・宇宙空間が、今度の法案とどう関係するのか?
細谷氏:存立危機事態はほとんどありえない。この法案の狙いは国際平和活動=後方支援、軍事に関する情報共有だ。国家ではないテロ組織から攻撃を受けたら撤退するでは情報共有が出来ない。
反論:①「存立危機事態はほとんどありえない」なら、この法案の目的はなんなのか?急いでつくる必要も無いではないか。
②政府は後方支援で攻撃を受けたら撤退するから安全だと言っている。法案が成立してもできないのは同じではないか。
岡本氏:湾岸戦争の時に、米軍兵士の治療をする目的で、前線から500キロも離れたサウジアラビアのリヤドに自衛官の医師を派遣しようとしたら、武力行使と一体化するからといい出来なかった。
私の反論:ぜんぜん話が違う。こういう説明をしたのなら、学生が賛成に変わったのは当たり前。実際は、武器弾薬、核兵器、クラスター爆弾、劣化ウラン弾、どんな武器でも輸送可能な法案になっている。
木村氏の反論:今回は医師の派遣だけではなく、発進しようとする戦闘機に給油も可能な法案になっている。
細谷氏:イラクやアフガニスタンなど現地の人はこの法案の事を知ることはないので、今回の法改正で戦争も出来る国になるとは知らない。だから、人を殺さない日本ブランドは大丈夫。
反論:信じられない言葉だ。 実際に活動して一般人を殺したらすぐわかる。積み重ねてきた実績がすぐ崩壊する。
細谷氏:内閣法制局は、憲法上自衛のためなら、核兵器も持てるという憲法解釈をしている。政策判断として持たないでいる。今回法改正しても、何をするかしないかは、内閣や国会が決める。内閣総理大臣をまったく信用しない民主主義国家はあるのか。
反論:ところが安倍政権はこの法案に関して、まさに完全に信用を失っている。目的の為には手段を選ばないという、2年あまりのやり方で信用を失った。だからこの法案を成立させると民主主義に禍根を残す。
法案採決の期は熟しているか
木村氏:熟している。 ①この法案に憲法違反の内容を含んでいる。(元最高裁長官・元内閣法制局長官・憲法学者など専門家のほとんど・世論)違憲である事は決着がついている。②法案の必要性でも、今国会での成立の必要はないとの意見が体勢をしめている。③これ以上審議をしても、政府にまともな説明をする気がなさそうな事がわかってきた。 ③したがって、否決廃案以外にはない。
細谷氏:前回の選挙で自民党が勝って、反対する政党が勝てなかったにも関わらずこの状況は、国民がどうなるのかわからない不安を持っているからだ。法案の必要性の理解・不安の解消が、法案が通った後も必要だ。
岡本氏:6割も反対しているのは、政府の責任が大きい。法案が成立しても「のど元過ぎれば」とはならない。理解を得る努力がずっと必要だ。日本が歴史的転換点にたっているからだ。
反論:「日本が歴史的転換点にたっている」というならなお、こんなやり方、こんな状態で採決はありえない。近隣諸国とうまくいっていない状態で、国連常任理事国入り・国連改革も無理だろう。拒否権を持つ中国を仮想敵国にするようでは、改革などとても、とても無理だろう。