人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

千鳥橋の夕日は美しかった...

2021-08-17 11:30:11 | 回想
誰しもが、人生で後悔していることがあるものでしょう。"後悔先に立たず"って言うけれど、いつもそのことを振り返させられたりするものです。
私にとってその一つは、大阪で働いていた頃、私の一番の得意先の方に東京に帰ることになった際、キチンと、それまでお世話になったことへの感謝、御礼をしなかったことです。
もうとにかくその時は、年末である上に、急にそういう話が決まって、引っ越し準備とかなんやらでテンテコ舞いでして...って言い訳にもなりませんが...
私はその時営業マンをしていたのですが、その会社は大阪、此花区にある中小企業で、親会社の顧客だったものを私が引き継いで担当をさせてもらっていたのです。
私の前任者のじいさんと初めてそこを訪問した時は、杜撰な管理、サービスが要因で、契約打ちきりのピンチに立たされている状態なのでした。もし、そのまま打ちきりになっていたら、私の関西での生活はおそらく途中で挫折していたでしょう。
私はただペコペコ頭を下げていただけでしたが、その場はその社長さんとじっ懇の関係だった、親会社の専務の口利きで、どうにかなったのでした。
とにかく、世間知らずの私が、どうにかこうにか社会人(らしきもの)の空気を吸うことになり、キチンとしたそういう教育も受けていないにも関わらず、ネクタイの締め方から、電話の応対の仕方、失礼の無い接客態度とか、基本的なマナーについて教わったのは、大阪の"高額納税者名簿"にも載っている、地元の名士の、その社長さんからだったのです。(もっと多く接していた、零細企業の社長さんと違って、"もっと、勉強せんかいi"、なんて言葉はついぞ聞いたことありません。大いに勉強になりましたよi)
そんな私を先の件もあるというのに、それから大阪を離れるまでの20年以上もよくお付き合いさせてもらったものだなあ、と思います。
その会社の専務兼経理の社長夫人と初めて会った時は、何かのミスで、鬼のような目つきで睨まれ、きつーくお叱りを受け、"おお、コワ~i"、とさっさと引き上げた記憶があります。
しかし、そう感じたのはその時だけで、集金などで会う時は、大概長居をすることが多かったです。
夫人はとても話好きで...雑談、親会社の人間の人となりのこととか、あまりおおっぴらに話せないことでも、訊かれたら、「いやあ、それは一寸...いや、実はですね...」と、何でも答える私...横でそれを聞いていて...「は、は、は、そーかいな、ホンマか、それはi」と、笑っている社長...という具合に付き合わされてしまい、私も結構楽しい思いをさせてもらっていたのです。
商店街をブラつくのが趣味ということで一致して、大阪の商店街談義が多かったですかね。横で忙しそうにしながら聞いていた社長からは「君はちゃんと仕事しとるんか?」と言われたりしましたが、「も、勿論ですとも(片手間に...)」と答える私。
その会社に行った折、暇をみては近くの千鳥橋や四貫島の商店街をブラついていたものです。
やがて「USJ」が出来た頃は、夫人から「もう、行かれました?」とよく訊かれましたが、一度も行ってません。
ある時、社長から「君はちっとも営業マンに見えんなi」と多分、見たまんまのことを言われたことがあったのですが、夫人からは「そこがいいのよ、貴方は...私は気に入ってるわ、何かフツーの人には感じないものを感じるわね...」と、援護をするように...
このヒトはどこかそういう風に、人の性格を感じ取るようなところがあったようですが、社長からは、いや、多分それ以上に夫人から結構信頼されていたようです。
又ある時、社長のデスクの上に、原始福音の雑誌「生命之光」の特集号が置いてあったのを見たことがありましたが、社長に、ある種の人生哲学、経営哲学に造詣があることを伺われたことは多々あったものの、信仰のことととかは知りません。夫人から聖書の話をチラッと聞いたことがありましたが、あるいは...しかし、分からずじまいです。
ともあれ、社会の荒波にもまれたことも、時折思い出すこともあるのですが...いや、大阪で働いていた20数年間、荒波にもまれたことなんか一度だってあっただろうかという気さえしてきます。
"大阪はイヤだ、水に合わん、東京に帰りたいi"、といつも思っていたものですが...その東京に帰って来た時の方が、よっぽど人生の厳しい場面に向き合わされたのではないか、と思えます。
この縁を初め、感謝を忘れてはならないでしょう。
その会社の帰り、確か平成10年、盆明けの頃だったでしょうか、千鳥橋から大阪湾の方を望み、夕日がとても美しかったことが思い出されます。

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