蒸気機関車の技術はパソコンと違ってそれを極め既に限界に達しているものと勝手に信じておりました。ところが、従来の技術を超えようとしている機関車があったことを先日ご紹介いたしました。今日10/14にその技術を学ぼうという集まりがありました。あらましはいずれHomepageに記録しておくつもりです。
蒸気機関車の弱点は何と云ってもレシプロエンジンであることです。前後に質量の大きなピストンや弁が往復運動をするのでここに速度の限界が出てきます。蒸気機関車が牽引する列車が速度を上げるとがくんがくんという感覚があることを思い出される方も多いと思います。この作動質量をいかに下げるかという課題を前後するピストン弁の代わりに内燃機関と同じピポット弁に変えて解決し、更に吸排気量を運転状況に適合するように弁を制御して飛躍的に効率アップした機関車がペンシルバニア鉄道のT1でした。100数十kgあった弁がこの方式だと20kg以下です。弁だけの問題ではなく走り装置も改善されています。もっともその実体は私を含め殆ど知られていない、というよりも失敗作ということで世の中に喧伝されているため、その汚名を晴らそうという勉強会でありました。(笑) ご覧のようなスマートな機関車です。1,200頓という重量編成客車を200km/hを超える速度で1950年代に定常的に運行していたのだから驚きです。つまり、蒸気機関車が牽引する新幹線と思っていただければ簡単です。その根幹技術を探ろうというわけです。
北裏鉄道会員の原田さん宅のガレージに10名ほど集まり熱心にFranklin System Of Steam Distribution : FSSDについて拝聴し簡易版ながらこのシステムを実現した模型機関車に触れることで何とかその仕組みを理解しようとしました。
ひと言で云うと、からくりです。コンピュータのない時代にこの方式を実現するにはからくりでしか実現できません。よくもまあ実用化したものであると感銘しました。それぐらいの民生技術が当時のアメリカにあったのですね。恐るべしアメリカです。現在の内燃機関が採用しているバタフライレスキャブレター(BMWの最近のエンジンです。名称失念)と同じ路線を蒸気機関に歩ませようとしていた技術陣の素晴らしさを手前味噌で賞賛してきました。もっともその素晴らしさに多くは気付かず、銀行の抵当になっていたこの機関車が鉄道会社の破綻とともにスクラップにされたのは今の日本にも似て象徴的なことですね。
コンピュータの進化が当時はでくの坊といわれた無尾翼機を最強の飛行機に仕上げております。ひょっとしたら蒸気機関車もこの技術で蘇るのではないかと密かに考える次第であります。(笑) Itabashiさんいかがでしょうか。或いは999はこの技術を実現した機関車かも知れませんね。
最先端技術に触れて大変充実した一日でした。講師の原田さんありがとうございました。
モバイルやコンピュータに比べて何とまあ地に足の着いた技術でありますことか。技術とはかくあらねばいけませんね。(笑)