九州、それも佐賀へ行く楽しみの一つに焼き物行脚があります。そのメッカは有田、唐津と云うことになりますが、実は武雄市にも黒牟田焼や弓野焼など古くからの窯が幾つかあります。元々は朝鮮からの陶工達が土を探して歩き回り県内の至る所で定住し焼き物を始めた場所の一つのようです。時間軸を追っていくと肥前での焼き物の歴史が分かるかも知れませんが、そこまでの知識はありません。ただ武雄市武内町の黒牟田焼の里には一山が陶片という文化財?がありますから恐ろしく古い窯であることは間違いありません。一昨年はこの黒牟田の丸田窯を拝見し手になじむ酒器やら高台の器を入手しました。 今年はちょっと離れた場所にある金子窯にお邪魔をしご当主からお昼のビールを振る舞われ恐縮した次第です。抹茶茶碗のすてきなものがあったのですが、旅先ゆえに値段を聞くのを恐れてしまいました。大蔵大臣を同伴していないとなかなか冒険はできません。(汗) それでは猪口をといったところ、先生がガラガラと持ってこられ、「好いたとば持っていきんしゃい」と仰せになり有り難く頂戴しました。家に持ち帰ったところカミさんが気に入ってお酒ならぬおつまみ入れにしてしまいましたが、地味ながらも食材が栄えること、飾らぬ豪快な金子先生ありがとうございました。
ペンション・ピクニックの裏にはすてきな茶陶器を焼いている新しい窯があります。一昨年はお茶ならぬ唐津の銚子を購入し愛用しています。友人によるとご当主が茶道を理解して焼いた道具はなかなかなものとのこと。 ということなので今回は古唐津の抹茶茶碗を格安で恐る恐る入手し、カミさんへの土産にしました。食器購入禁止令のある我が家でもこれは気に入って機嫌良く貰ってくれました。(笑)
茶陶 汲古窯 峰松義人氏 0954-23-7401 であります。
武雄にはこの他、日本でも有名な中島宏さんが西川登の弓野?で青磁を焼いています。白の萬二、黒の龍山、青の中島といえばお分かりの方も多いと思います。
その有田へも足を伸ばしました。もっとも曾祖父母の墓参りでしたが、友人の実家の前を通り、ふと思いついてこの窯のお店を鑑賞に立ち寄りました。辻精磁社という 有田のトップブランドです。その昔、曾祖父達が友人だったとか。とても買えないなと思って店の隅を見ると規格外品がありました。こっそりとお土産に入手しましたが、嬉しい。そのあと友人に電話してしまいました。
有田も祖母に連れて行かれた懐かしい町なので報恩寺という菩提寺の側の観音山に登り有田の町を一望してきました。なるほど四方を 山に囲まれてすり鉢の底にあるような町です。これが世界に名高いブランドを作り出した町なのだと感慨深く見てきました。
焼き物を東京へ持ち帰ることになるとは、予定外の行動になってしまいましたが、武雄と武雄から20分程度の有田を歩き回り、その昔は思っても見なかったことどもに感激するようになっているのは年をとった証拠でしょう。新しい武雄市の誕生とそれを支えてくれるであろう樋渡さんの健闘を祈念し、焼き物の話を終わります。 併せて五月連休に有田の陶器市に行けることも願っています。(笑)