スピノザの『エチカ』と趣味のブログ

スピノザの『エチカ』について僕が考えていることと,趣味である将棋・競馬・競輪などについて綴るブログです。

棋聖戦&人間の精神

2007-06-09 22:17:09 | 将棋
 棋聖戦五番勝負第一局は期待通りの大熱戦になりました。
 振駒で先手を得たのは佐藤康光棋聖。挑戦者の渡辺明竜王との対戦では,昨年の竜王戦第一局第五局と同様の,角換り相腰掛銀先後同型になりました。
 僕が観戦を始めたのが2時前で,64手目の△3七歩成の局面。この後,68手目の△3五角は▲2三飛成を許すだけに驚きました(このあたり,渡辺竜王はやってみたかった手順とのこと)。
 ここで佐藤棋聖が1時間を超える長考の末,▲2三飛成を決断。70手目の△3三同銀に▲同歩成からの二枚換えは△2九飛からと金を抜かれますので73手目の▲3三歩成までは必然の手順でしょう。
 78手目の△8八歩は詰めろ。▲7九歩の受けに△3二歩と後手が2枚の飛車で受けに回ったところ,▲8三銀。この手は思いつきませんでしたが,取れば▲4二金以下,後手玉が1一に逃げたところで▲2三歩で先手が勝つのでしょう。
 86手目の△3二玉にまた手が止まりました。ここで指された▲1五香は,香を逃げたのか,歩を取ったのか,香の利きを通したのか,僕には真意が分かりません。これに対する△9五歩(渡辺竜王は△8八歩も考えたとのこと)も,いい手なのかどうか,僕の能力では判断できないです(この2手について,Logical Spaceさんが解説してくれました)。
 89手目の▲6二飛(この王手はあまりよい手ではなく,▲5一飛ならもっと楽に先手が勝てたようです)に逃げると,玉が3四にいったときに△5二角から7四の金を抜く筋があるので,△4二桂は仕方がないのだと思います。
 96手目,△2一玉と逃げた局面は後手玉が詰めろでもない上に先手玉が詰めろなので,後手が勝つのではないかと思いました。詰めろを防いで▲9一銀不成。実はこれに対しても△8八桂成~△7七金で後手の勝ちと思い込んでいたのですが,▲同銀△同桂成▲9八玉で先手が勝つようです。
 よって100手目は△7七金ではなく△7六歩。これは△7七歩成▲同銀△同桂成▲同玉△7九龍以下の詰めろ。▲2三香△同龍▲同角成で龍を抜いても,今度は香車を渡しているので△7七金で詰み(この手順中▲2三同角成ではなく▲7八歩なら先手が勝つそうです)。今度こそ後手が勝ちかと思いきや,▲8九桂。どうもこれで先手玉は逃れていたようです。
 この後,104手目の△9六歩に▲2四香(遠山四段はこの手が妙手といっています)が最終的な決め手。△同角では詰んでしまうので仕方のない△同飛成ですが,▲7七桂が詰めろになって万事休す。佐藤棋聖の先勝となりました。
 僕の能力の問題もあるかと思いますが,最後までどちらが勝つのか分からない大熱戦で,やはりこのシリーズは大いに期待できそうです。楽しみな第二局は23日に指されます。

 明日から富山記念です。間隔が詰まっているのが気にはなりますが,やはりここは小嶋選手が中心でしょう。

 人間の身体が外部の物体に刺激されると,第二部定理一七によりその外部の物体を,また第二部定理一九により自分自身の身体を,その人間の精神は表象します。そして前者は第二部定理二五,後者は第二部定理二七により,どちらも混乱した観念であるということが理解できます。
 一方,『エチカ』上巻の117ページの第二部自然学②要請六から分かるように,人間の身体というのは,外部の物体を刺激し,また外部の物体から刺激されるのにきわめて適したある物体なのです。したがってこれらのことから,人間の精神のうちには実に多くの混乱した観念が現実的に生じるということが分かるのではないかと思います。
 さらにこれだけではありません。こうして人間の精神のうちに生じた混乱した観念を原因として,さらに別の観念が生じるということが考えられます。こうした場合,そうして新たに生じる観念については,とくにその内容を吟味するまでもなく,その原因が混乱した観念である以上はやはり混乱した観念であると断定してよいということもすでに明らかになっています。
 人間の精神というのは,第一には観念によって構成されます。これは思惟の様態の第一のものが観念であるという第二部公理三から明白だと思います。そこで,人間の精神を現実的に構成している観念の多くは,実は混乱した観念であるということになると思います。
コメント
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