昨日の第50期棋王戦挑戦者決定戦変則二番勝負第一局。対戦成績は増田康宏八段が1勝,斎藤明日斗五段が1勝。
振駒で増田八段の先手。後手の斎藤五段が横歩取りを志向したと思われますが先手が早々に拒否したため,相居飛車の力戦形に進みました。
この局面が最も重要な分岐だったようです。
後手は☖2八銀不成として駒を取りにいきました。先手は☗2四歩で攻め合いに。これは☗2三歩成☖同玉☗2八飛と王手で銀を取る手を狙いとしているので受ける必要があり,☖2九銀成としました。ただそれでも☗2三歩成以下の攻めが厳しく,後手が非勢に陥りました。
ここでは☖6五歩と突く手があり,そう指されると先手は☗5八歩と受ける予定だったようです。これだと上述の変化のうち☗2八飛という手がなくなります。よって後手は実戦とは別の手順を模索することができ,それならまだ大変だったようです。
勝者組の増田八段が勝って挑戦者に。プロ入りから10年2か月で初のタイトル戦出場を決めました。第一局は来年2月2日に指される予定です。
吉田が想定しているのは,ステノNicola Stenoはおとり捜査のような仕方でチルンハウスEhrenfried Walther von Tschirnhausからバチカン写本を読ませてもらい,それがスピノザが書いたものだと思ったから,チルンハウスを問い詰め,チルンハウスがそうであると告白したということです。この想定は,おとり捜査という部分,すなわち吉田が発刊されたバチカン写本の解説から読み取っているところが正しいなら,見当外れの想定とはいえないと思われます。ですからたぶん読ませてもらったその部分だけで,ステノはその内容が危険思想,これはカトリックの立場からみたときの危険思想ですが,そうしたものが含まれていたということは分かったと思うのです。そうでないとそれがスピノザの手によるものだということに感づくことがあり得ないように思えますし,著者がだれであるかチルンハウスに問い詰める根拠にも欠けると思われるからです。
なのでステノは,その内容を精査するまでもなく,これは危険な書物であるというように異端審問機関に伝達することができたと僕は思います。それでもその内容を精査した上で提出したのは,ステノの性格を表しているのではないかと僕には思えます。つまりステノは,バチカン写本の全体の内容を精査しなければ,それを資料として異端審問所に届けることができないような人物だったのではないでしょうか。このことはもしかしたら,ステノが以前は科学者として実績をあげていたことと関係するかもしれません。いい換えれればステノはそれがカトリックにとって危険であるか否かということを精査するときにも,科学的思考をするようなタイプの人だったと思うのです。つまりそれくらいの理知性がステノにはあったのであって,精査した内容がどのようなものであるのかということ,つまりバチカン写本に書かれている内容を,完全にとはいわないまでも一定程度は理解することができたろうと思います。ステノがその内容を精査した上で異端審問所にバチカン写本を提出したということのうちから,僕はこうしたことが読み取れると考えています。
ステノはバチカン写本と自身で書いた上申書を付して提出したのですが,この上申書の方も同時に発見されています。
振駒で増田八段の先手。後手の斎藤五段が横歩取りを志向したと思われますが先手が早々に拒否したため,相居飛車の力戦形に進みました。
この局面が最も重要な分岐だったようです。
後手は☖2八銀不成として駒を取りにいきました。先手は☗2四歩で攻め合いに。これは☗2三歩成☖同玉☗2八飛と王手で銀を取る手を狙いとしているので受ける必要があり,☖2九銀成としました。ただそれでも☗2三歩成以下の攻めが厳しく,後手が非勢に陥りました。
ここでは☖6五歩と突く手があり,そう指されると先手は☗5八歩と受ける予定だったようです。これだと上述の変化のうち☗2八飛という手がなくなります。よって後手は実戦とは別の手順を模索することができ,それならまだ大変だったようです。
勝者組の増田八段が勝って挑戦者に。プロ入りから10年2か月で初のタイトル戦出場を決めました。第一局は来年2月2日に指される予定です。
吉田が想定しているのは,ステノNicola Stenoはおとり捜査のような仕方でチルンハウスEhrenfried Walther von Tschirnhausからバチカン写本を読ませてもらい,それがスピノザが書いたものだと思ったから,チルンハウスを問い詰め,チルンハウスがそうであると告白したということです。この想定は,おとり捜査という部分,すなわち吉田が発刊されたバチカン写本の解説から読み取っているところが正しいなら,見当外れの想定とはいえないと思われます。ですからたぶん読ませてもらったその部分だけで,ステノはその内容が危険思想,これはカトリックの立場からみたときの危険思想ですが,そうしたものが含まれていたということは分かったと思うのです。そうでないとそれがスピノザの手によるものだということに感づくことがあり得ないように思えますし,著者がだれであるかチルンハウスに問い詰める根拠にも欠けると思われるからです。
なのでステノは,その内容を精査するまでもなく,これは危険な書物であるというように異端審問機関に伝達することができたと僕は思います。それでもその内容を精査した上で提出したのは,ステノの性格を表しているのではないかと僕には思えます。つまりステノは,バチカン写本の全体の内容を精査しなければ,それを資料として異端審問所に届けることができないような人物だったのではないでしょうか。このことはもしかしたら,ステノが以前は科学者として実績をあげていたことと関係するかもしれません。いい換えれればステノはそれがカトリックにとって危険であるか否かということを精査するときにも,科学的思考をするようなタイプの人だったと思うのです。つまりそれくらいの理知性がステノにはあったのであって,精査した内容がどのようなものであるのかということ,つまりバチカン写本に書かれている内容を,完全にとはいわないまでも一定程度は理解することができたろうと思います。ステノがその内容を精査した上で異端審問所にバチカン写本を提出したということのうちから,僕はこうしたことが読み取れると考えています。
ステノはバチカン写本と自身で書いた上申書を付して提出したのですが,この上申書の方も同時に発見されています。