北九州美術館が「美人画の系譜」と題して、鏑木清方の作品23点を中心にした展覧会を開催していました。福富太郎氏の蒐集品です。
3章構成で1章は清方の明治から昭和にいたる作品23点、2章が東の美人画、3章が西の美人画となっていました。天保13年の作品が一番古いもので、明治大正昭和の日本画による美人画の系譜が展開されていて、美人の定義、衣装の変遷、着物の図柄の時代による好み、背景に描かれている道具や風景は、一種の風俗史の観がありました。
7月半ばから開催されていたのですが、いまひとつ気が乗らないでいました。いよいよの会期末になって誘いが掛かりました。美人には日ごろ縁がないのだから仕方がない付き合いますかと腰をあげました。
鏑木清方の作品では“緑のショール“と題した額装の小品、”紺屋高雄”これも小さな軸装が印象に残っています。
画題も歌舞伎や物語草紙に採ったものが多いようでした。東西の美人画では、目が行く絵の作者名をみると、上村松園、堂本印象といった西の作家に肩入れしたいものがありました。
別館の版画展示室では“北斎と広重”のコレクション展を開催していました。
北斎の富岳三十六景 神奈川沖浪裏は、何度見ても構図の発想の斬新さも浪の勢いの躍動感にも感嘆します。
広重の京都名所の内 あらし山満花も、思い切りのよい斜めの構図に「ヒロシゲブルー」が風景の中に活かされて、大胆です。“紫陽花に翡翠“”笹に雀“”狂歌ねぼけ百首“”魚づくし“と多彩な幅広い活躍を見ました。