雀の手箱

折々の記録と墨彩画

冬ごもりの日

2011年12月11日 | 日々好日
 冬休みを待ちかねて大山の雪を追って、山陰まで夜行列車で出かけてはスキーに熱中した若い日は、冬の寒さを凛として好ましいと、高村光太郎を真似てたたえたものでしたが、今は、何をするにも億劫が先に立つ体たらくです。
 この冬一番の寒さと報道されると、もうそれを免罪符に、差し迫っている年末の家事もさぼり、部屋に籠って画集を繰っています。
 今日は冬籠りの詩人画家、与謝蕪村と遊びました。やはり「夜色楼台雪万家図」に目がいきます。



 何枚も書いてみるのですが、どこからこの雰囲気が生まれるのかまだてがかりすらつかめません。
 ついでに蕪村の句をたどって、天明の冬籠りに共感したことです。


   桃源の路次の細さよ冬ごもり

   屋根ひくき宿うれしさよ冬ごもり

   細道を埋みもやらぬ落葉哉

   葱買うて枯木の中を帰りけり

   鍋敷に山家集あり冬ごもり

   うづみ火や我かくれ家も雪の中

 これらの句はやはり、齢を重ねないとしみじみと実感することはできないように思います。山形から届いたリンゴのにおいに包まれて、リビングの椅子の回転に寄り添いながらの怠け者の冬籠りです。

 芭蕉の元禄の冬も、冬籠りまたよりそはん此はしら でした。