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雀の手箱

折々の記録と墨彩画

出光美術館の午後

2010年11月19日 | 日々好日
 小春日和の穏やかな陽射に誘われて、門司港の出光美術館まで出かけました。
 風邪の気はまだ残っていますが、奈良への旅で留守をしたこともあって、誘いを断れませんでした。

 開館10周年記念の出光コレクションの第4回は「日本陶磁名品展」です。
 縄文時代の火焔型土器から、奈良、平安を経て桃山までの古陶磁と、鍋島、古九谷、柿右衛門、そして近代の板谷波山までの出光自慢のコレクションが展示されていました。

 絵唐津の柿文三耳壺は何度も見ていますがやはり目を惹きます。渋い唐津の土肌に墨だけで無造作に置かれる点が巧まない変化で力を感じます。(桃山時代 重文)
 そのほか志野橋文茶碗。織部の千鳥の向う付けの絵変わりは、どれもモダンで緑の釉薬が上手く文様とマッチして現代風でした。
 きらびやかな古九谷や、鍋島も勢いがあって美しく、いいものですが、やはり、私には桃山の志野や織部に目が行きます。鼠志野の草花文が青みを帯びた灰色の中にさっと描かれた本歌の前ではしばらく立ち止まっていました。よくこの図柄はお借りして絵付けをしました。

 同じく桃山の絵唐津葦文の壺(水指)の別面には、蔦唐草が描かれているのに初めて気付き、迂闊ながら今日の収穫でした。好きな形、絵付けです。

 仁清の色絵鶏の香合、色絵尺八の香合など珍しく拝見しました。チラシの重文・芥子文茶壺は、金、銀、赤の芥子が穏やかな張りをもつ大壺の造形の中で咲き誇っていました。

 会場を出て、何時ものコースで、海峡の、本州と九州を繋ぐ関門橋のたもとで早鞆の急流を行き交う大型船を眺めながらしばらく散策して引揚げました。海峡の紅葉の盛りはもう1週間ほど先でしょう。



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2 コメント

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豊かな時間 ()
2010-11-22 00:07:01
 誘いをお断りできなかったふくら雀さんが微笑ましく親しみを感じました。 おかげさまで、こちらに伺うようになって、やきものの魅力にとり憑かれています。
 仁清の「色絵芥子文茶壺」のように優雅なやきものにも惹かれますが、「渋い唐津の土肌 墨だけで無造作…」な絵柄、唐津の野趣にとむ素朴な味わいもすてきですね。 迷います。
 拝見するたび発見がある、豊かな時間をありがとうございます。
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新たな巡りあい (ふくら雀)
2010-11-22 05:39:06
何度もお訪ねする出光ですから、余り新しいものを期待していなかったのですが、訪ねる度にやはり新たなものに気付かされます。
つまりは、それ程いい加減に見ていたということでもあるのですが。
秋の午後に相応しいひとときでした。絵唐津の味と、鼠志野の青みを帯びた灰色が目に焼きついています。
古いみ仏に埋め尽くされた時間に一服の清涼をいただきました。

紅葉も今週あたりが一番の見ごろでしょう。蛙さんの紅葉狩りは次はどちらでしょう。
いつも、抒情詩を読むような写真を楽しみにしています。
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