尾花の揺れに秋を感じていますが気温は相変わらずの31度。それでも朝夕の肌に感じる風の気配は、先月のものとは異なってきました。
夕刻、郵便を出しに出かけた折、雲ひとつない空には満月が懸かっていました。
広く知られた牧水の歌
白玉の 歯にしみ通る 秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり
かたはらに秋ぐさの花かたるらく ほろびしものはなつかしきかな
を思う季節の到来です。
こよなく酒を愛した牧水も、醸造を家業とする家に生まれた白秋も九州の人です。
この季節は酒の詩人達を思い浮かべますが、どういう巡り会わせか、私のブログを訪問される方たちは、おなじ遺伝子を持つはらからは別にして、お酒を嗜まない人が多いようです。でも、お酒の楽しみは飲むことだけにあるのではありません。詩歌に歌われ、カクテルストーリーに描写されるその楽しみを読むことで、害のない喜びを味わうことができます。
勿論、飲酒運転などは論外です。これは酒の罪ではなく、お酒への冒涜、飲む人の罪です。
得歓当作楽 歓を得なば当に楽しみを作すべく
斗酒聚比隣 斗酒もて比隣を聚めん
盛年不重来 盛年 重ねては来たらず
一日難再晨 一日 再び晨なり難し
及時当勉励 時に及んで当に勉励すべし
歳月不待人 歳月 人を待たず
(陶淵明『雑詩十二首』其一からの抜粋)
人生のはかなさを説き、時に及んで行楽すべしとうたうこの詩は、陶淵明の詩の中でも有名で、特に最後の四句は切り離されて人口に膾炙してきましたが、意味は、儒教道徳の影響で転用されて、歳月は人を待たないから、寸刻を惜しんで勉強すべしというふうに、曲解して教訓に利用されることが多かったようです。ここで成人向けに正解も理解しておきたいものです。
原文に即していうなら、“盛りの年は二度とはない、今日という日は再びは来ない、時に及んでまさに行楽を楽しもう、歳月は人を待ってはくれないのだ”です。
今時、近隣の人を集めての酒盛りなど考えられません。私の好みはやはり牧水流で、ゆっくり、自分の適量を静かに、秋の夜長を虫の音をBGMにと・・・。
秋の楽しみのもう一つは、絵画展の企画のよいものが多いことです。門司の出光美術館でも、4日から「琳派と江戸絵画 ―宗達・光琳・抱一を中心に―」と題した展覧会がはじまりました。やはり、私にとっては「秋は琳派」です。展示替えで、会期の後半に見たいものが集中しているようですが、近いので前半も出かけるつもりです。
画像は酒井抱一 十二ヶ月花鳥図より。
夕刻、郵便を出しに出かけた折、雲ひとつない空には満月が懸かっていました。
広く知られた牧水の歌
白玉の 歯にしみ通る 秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり
かたはらに秋ぐさの花かたるらく ほろびしものはなつかしきかな
を思う季節の到来です。
こよなく酒を愛した牧水も、醸造を家業とする家に生まれた白秋も九州の人です。
この季節は酒の詩人達を思い浮かべますが、どういう巡り会わせか、私のブログを訪問される方たちは、おなじ遺伝子を持つはらからは別にして、お酒を嗜まない人が多いようです。でも、お酒の楽しみは飲むことだけにあるのではありません。詩歌に歌われ、カクテルストーリーに描写されるその楽しみを読むことで、害のない喜びを味わうことができます。
勿論、飲酒運転などは論外です。これは酒の罪ではなく、お酒への冒涜、飲む人の罪です。
得歓当作楽 歓を得なば当に楽しみを作すべく
斗酒聚比隣 斗酒もて比隣を聚めん
盛年不重来 盛年 重ねては来たらず
一日難再晨 一日 再び晨なり難し
及時当勉励 時に及んで当に勉励すべし
歳月不待人 歳月 人を待たず
(陶淵明『雑詩十二首』其一からの抜粋)
人生のはかなさを説き、時に及んで行楽すべしとうたうこの詩は、陶淵明の詩の中でも有名で、特に最後の四句は切り離されて人口に膾炙してきましたが、意味は、儒教道徳の影響で転用されて、歳月は人を待たないから、寸刻を惜しんで勉強すべしというふうに、曲解して教訓に利用されることが多かったようです。ここで成人向けに正解も理解しておきたいものです。
原文に即していうなら、“盛りの年は二度とはない、今日という日は再びは来ない、時に及んでまさに行楽を楽しもう、歳月は人を待ってはくれないのだ”です。
今時、近隣の人を集めての酒盛りなど考えられません。私の好みはやはり牧水流で、ゆっくり、自分の適量を静かに、秋の夜長を虫の音をBGMにと・・・。
秋の楽しみのもう一つは、絵画展の企画のよいものが多いことです。門司の出光美術館でも、4日から「琳派と江戸絵画 ―宗達・光琳・抱一を中心に―」と題した展覧会がはじまりました。やはり、私にとっては「秋は琳派」です。展示替えで、会期の後半に見たいものが集中しているようですが、近いので前半も出かけるつもりです。
画像は酒井抱一 十二ヶ月花鳥図より。
歳月不待人… 存命の喜び、日々に楽しまざらんや。 旅人の十三首も読みました。
いっそ酒壺になってお酒に染みていたかった… ああ、もうフラフラですが、吾亦紅がそよいでいます。桔梗も木槿も鶉も確かに見えました。ありがとうございます。 千鳥足にて ピョンぴょんピョン・・・ 琳派と江戸絵画も楽しみですね。
酒壺の傍にいるだけで吾亦紅と顔を赤くした蛙さん。旅人の憂愁の深さはよくご理解で。
ところでこの絵、もしかして其一の代作?おおらかな徒弟制度ですから、もしやと想像が膨らみます。
芙蓉も酔芙蓉で、夕方見ると赤く変わっていたりして・・・・
酒飲みは李白でしょう。酔って水に映る月を捉えようとして落ちて溺死したという伝説も、その生涯に相応しいですね。白髪三千丈の国はスケールが違いますね。これからは冷酒よりお燗をしたほうが・・・楽しい季節です。