朝の水やりをしていて、沖縄に近づきつつある台風の影響もあってか、風の気配に秋を思わせるものを感じました。ふと目を上げると、夏の入道雲の合間に秋の筋雲を思わせる柔らかな線がありました。 明日あたりはもっとこの対比が明らかになることでしょう。
「ゆきあひの空」と思わず口をついて出ました。夏から秋への季節のうつろいを告げる空の佇まいをいう雅やかな日本語で、好きな言葉です。
七夕の彦星と織姫星が出会う頃の空をも匂わせるロマンを背景に持っているから余計にゆかしさがあるのかもしれません。
まだまだ暑い日が続く中で、季節は確実な歩みをたどっていて朝晩は「片へ涼しくなりぬ」と感じることも多くなってきました。
新古今集 夏 282 夏衣かたへ涼しくなりぬなりよや深けぬらむゆきあひの空 慈円
金葉集 秋 168 万代に君ぞ見るべき七夕の行合の空を雲の上にて 土佐内侍
夏と秋と行きかふ空のかよひぢはかたへすずしき風やふくらむ 凡河内躬恒 (古今集 一六八)
路の片側を秋風が通ります。
実行に至らなくとも思いめぐらすことはできますから。
何時になったら身辺をさっぱりとすがしく悟りの境地にもっていけるのでしょう。
妄執の雑念を、人はその好奇心を大切にと言ってくださいますが、絵も生っぽさが抜けず、年下の方の描く絵が最近とみにさっぱりして、俗臭が抜けてきました。自分なりの絵を描けばいいとは思っていてもひそかに焦ってしまいます。
秋の気配が漂う空を見上げていて、漢詩でもひも解くかという気になりました。