本日はちょっと変わったところで管弦楽作品のオムニバスを取り上げます。「ロリポップス」と題されたこの作品はイギリスの往年の名指揮者トーマス・ビーチャムがお気に入りの楽曲をレコーディングしたものです。ほとんどが4~5分程度の小品ばかりでお手軽に聴けることからこのタイトルがついたのでしょう。ただ、選曲は結構シブい。作曲家名だけを見るとモーツァルト、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、ドビュッシーとメジャーどころが並んでいますが、それぞれ取り上げる楽曲はどれも聞き馴染みのないもので、巨匠ならではのヒネリの利いた構成となっています。たとえばモーツァルトは「エジプトの王タモス」というマイナーな劇音楽から間奏曲を、チャイコフスキーもオペラ「エフゲニー・オネーギン」から有名なポロネーズではなくワルツの方を、ドヴォルザークもピアノ連弾を管弦楽に編曲した「伝説曲」第3曲を、ドビュッシーも初期に書いたカンタータ「放蕩息子」から挿入曲を引っ張り出してきています。どれも作曲家の通常のレパートリーには入ってこない作品ですが、小粒ながらも魅力にあふれた曲ばかりです。

他では北欧モノでシベリウスの「悲しきワルツ」とグリーグの「交響的舞曲」を、ベルリオーズからは「ファウストの劫罰」とオペラ「トロイアの人々」からの挿入曲を3曲、他にグノー、シャブリエ、ビダル(誰?)などの作品を取り上げています。ただ、個人的な本盤のハイライトは2曲。1曲目はイギリスの作曲家ディーリアスの「夏の夕べ」。ディーリアスは日本ではお世辞にも有名とは言えませんが、本国では評価も高く、特にビーチャムは活躍していた時代が重なっていることもあり、積極的に彼の作品を演奏していたそうです。「夏の夕べ」は編曲自体もビーチャムが施したとかで、タイトル通り夏の夜の静けさを美しいオーケストレーションで表現した隠れ名曲と言えるでしょう。もう1曲はサン=サーンスの「バッカナール」。もともとはオペラ「サムソンとデリラ」の挿入曲ですが、今では単独で上演されることも多い名曲です。古代オリエントを舞台にしたオペラと言うこともあって中東風のエキゾチックな旋律ですが、徐々に盛り上がりを増して行き、ド派手なクライマックスを迎えます。ビゼーの「カルメン」と並んでクラシック史上最も“血湧き肉躍る”曲ではないでしょうか?以上、時代も国もバラバラな曲の寄せ集めではありますが、エンターテイメント性は非常に高い1枚といえます。

他では北欧モノでシベリウスの「悲しきワルツ」とグリーグの「交響的舞曲」を、ベルリオーズからは「ファウストの劫罰」とオペラ「トロイアの人々」からの挿入曲を3曲、他にグノー、シャブリエ、ビダル(誰?)などの作品を取り上げています。ただ、個人的な本盤のハイライトは2曲。1曲目はイギリスの作曲家ディーリアスの「夏の夕べ」。ディーリアスは日本ではお世辞にも有名とは言えませんが、本国では評価も高く、特にビーチャムは活躍していた時代が重なっていることもあり、積極的に彼の作品を演奏していたそうです。「夏の夕べ」は編曲自体もビーチャムが施したとかで、タイトル通り夏の夜の静けさを美しいオーケストレーションで表現した隠れ名曲と言えるでしょう。もう1曲はサン=サーンスの「バッカナール」。もともとはオペラ「サムソンとデリラ」の挿入曲ですが、今では単独で上演されることも多い名曲です。古代オリエントを舞台にしたオペラと言うこともあって中東風のエキゾチックな旋律ですが、徐々に盛り上がりを増して行き、ド派手なクライマックスを迎えます。ビゼーの「カルメン」と並んでクラシック史上最も“血湧き肉躍る”曲ではないでしょうか?以上、時代も国もバラバラな曲の寄せ集めではありますが、エンターテイメント性は非常に高い1枚といえます。