ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

バド・パウエル/タイム・ウェイツ

2017-03-07 22:26:44 | ジャズ(ピアノ)
前回のユタ・ヒップに続き、本日もブルーノートからピアノトリオの名盤をご紹介します。バド・パウエルについては以前に本ブログでも「バド!」を取り上げましたが、本作「タイム・ウェイツ」はその翌年の1958年に発表されたものです。この作品の特徴は全てがパウエルの自作曲ということですね。“Un Poco Loco”“Parisian Thoroughfare”はじめ多くの名曲を書き残しているパウエルですが、全曲オリジナルというのは珍しく、本作と同年発表の「ザ・シーン・チェンジズ」の2枚のみだそうです。ジャズ評論家からはパウエルの全盛期は40年代であって、50年代以降は下り坂と良く言われますが、この頃のパウエルも創作意欲に満ち溢れていたのではないかと思います。個人的には40年代のパウエルよりもこの頃の方が取っつきやすくて好きですね。



曲は全9曲、ただし2曲は別テイクなので実質7曲です。メンバーはさすが天下のブルーノートだけあってサム・ジョーンズ(ベース)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラム)と大物が脇を固めています。アルバムはまずラテン調の賑やかな“Buster Rides Again”で幕を開けます。これはパウエルにしては珍しく陰のない明るい曲です。続く2曲目“Sub City”は典型的なバップ・チューン。3曲目は本作のタイトル曲でもある名曲“Time Waits”。哀調を帯びたメロディが胸に染みる珠玉のバラードで、パウエルの数多いバラード演奏の中でも決定曲と言ってよいでしょう。続く急速調バップ“Marmalade”、調子っ外れのメロディが変てこりんな“Monopoly”を経て、本作のもう一つのハイライトでもある“John's Abbey”へ。パウエルが独特のうなり声をあげながら快調に飛ばしていきます。エンディングが「おじいさんの古時計」に聞こえるのは私だけでしょうか?ラストの“Dry Soul”はアフターアワーズ的なスローブルースです。以上、全てが名曲というわけではありませんが、“Time Waits”と“John's Abbey”だけでも購入の価値はあるのではないでしょうか?

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