クラシックファンなら「ロシア五人組」という言葉を聞いたことがあると思います。19世紀のロシアの国民音楽の成立に寄与した5人の作曲家のことで、ボロディン、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフ、バラキレフ、キュイの5人のことを指します。このうちボロディン、ムソルグスキー、リムスキー=コルサコフの3人については名前を聞いただけで複数の有名曲がパッと思い浮かぶぐらいポピュラーな存在ですが、バラキレフとキュイについては一般的に知られているとは言い難いですね。本日はそのうち前者のバラキレフを取り上げたいと思います。ご紹介するCDはバラキレフの2曲の交響曲のうち第1番の方。その他に彼の代表曲であるピアノ曲「イスラメイ」の管弦楽編曲版、そして交響詩「タマーラ」です。発売レーベルはこういったマイナー作品に無類の強さを発揮するナクソス。演奏はイーゴリ・ゴロフスチン指揮ロシア国立交響楽団です。
まず交響曲第1番ですが、4楽章形式のオーソドックスな構成で、旋律も親しみやすい上にスケールも雄大な、実に堂々とした交響曲です。にもかかわらずほとんど知られていないのは実にもったいない話ですが、チャイコフスキーの交響曲が好きな人は100%気に入ること間違いなしです。とりわけ第3楽章アンダンテはチャイコフスキーの有名な交響曲第5番アンダンテ・カンタービレを彷彿とさせるセンチメンタルな旋律で、もっとポピュラーになっても良いのではないでしょうか?最終楽章の盛り上がりもなかなかのものです。
続く「イスラメイ」はバラキレフの最も有名な曲で、ピアノ独奏で演奏されることが多いですが、彼の弟子であるリャプノフが管弦楽用に編曲し、本CDにはそのバージョンが収録されています。“東洋風幻想曲”という副題が付いているように、カフカスやタタールの民謡にインスピレーションを受けて作曲したそうです。9分弱の作品ですが、全編が魅力的な旋律に彩られた名曲中の名曲です。曲は民族舞曲風の力強い旋律で始まり、2分過ぎに美しい第2主題が現れますが、これがまた胸を焦がすような名旋律で、思わず恍惚としてしまいます。その後は再び冒頭の舞曲に戻ってエネルギッシュなフィナーレを迎えます。ボロディンの「だったん人の踊り」と並んでロシア音楽が生み出した屈指の名曲と言ってよいのではないでしょうか?
最後の交響詩「タマーラ」は20分を超す大作で、これもまたカフカス地方の伝説に題材を取ったエキゾチックな作品です。タマーラとは伝説の女王の名前で、彼女が旅人達を歌声で誘惑し、愛を交わした後、そのままとり殺してしまうという美しくも残酷な話です。この曲も魅力的な旋律が散りばめられており、特に中間部の民族舞曲風の主題、そして消え入るように終わるフィナーレの美しい主題が印象的です。全体的にチャイコフスキーらに比べるとオリエンタルな雰囲気が漂いますが、それもまたバラキレフの魅力と言えるかもしれません。とにかく、全ての曲が名曲揃いで大満足の1枚でした。ナクソスにはもう1枚バレキレフのシリーズがあるので、そちらも近いうちに購入してみようと思います。
まず交響曲第1番ですが、4楽章形式のオーソドックスな構成で、旋律も親しみやすい上にスケールも雄大な、実に堂々とした交響曲です。にもかかわらずほとんど知られていないのは実にもったいない話ですが、チャイコフスキーの交響曲が好きな人は100%気に入ること間違いなしです。とりわけ第3楽章アンダンテはチャイコフスキーの有名な交響曲第5番アンダンテ・カンタービレを彷彿とさせるセンチメンタルな旋律で、もっとポピュラーになっても良いのではないでしょうか?最終楽章の盛り上がりもなかなかのものです。
続く「イスラメイ」はバラキレフの最も有名な曲で、ピアノ独奏で演奏されることが多いですが、彼の弟子であるリャプノフが管弦楽用に編曲し、本CDにはそのバージョンが収録されています。“東洋風幻想曲”という副題が付いているように、カフカスやタタールの民謡にインスピレーションを受けて作曲したそうです。9分弱の作品ですが、全編が魅力的な旋律に彩られた名曲中の名曲です。曲は民族舞曲風の力強い旋律で始まり、2分過ぎに美しい第2主題が現れますが、これがまた胸を焦がすような名旋律で、思わず恍惚としてしまいます。その後は再び冒頭の舞曲に戻ってエネルギッシュなフィナーレを迎えます。ボロディンの「だったん人の踊り」と並んでロシア音楽が生み出した屈指の名曲と言ってよいのではないでしょうか?
最後の交響詩「タマーラ」は20分を超す大作で、これもまたカフカス地方の伝説に題材を取ったエキゾチックな作品です。タマーラとは伝説の女王の名前で、彼女が旅人達を歌声で誘惑し、愛を交わした後、そのままとり殺してしまうという美しくも残酷な話です。この曲も魅力的な旋律が散りばめられており、特に中間部の民族舞曲風の主題、そして消え入るように終わるフィナーレの美しい主題が印象的です。全体的にチャイコフスキーらに比べるとオリエンタルな雰囲気が漂いますが、それもまたバラキレフの魅力と言えるかもしれません。とにかく、全ての曲が名曲揃いで大満足の1枚でした。ナクソスにはもう1枚バレキレフのシリーズがあるので、そちらも近いうちに購入してみようと思います。