ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ステンハンマル/ピアノ協奏曲第1番&第2番

2019-03-14 12:25:07 | クラシック(協奏曲)
前回のバラキレフに引き続き今回もナクソスから。本日ご紹介するのはスウェーデンの作曲家ヴィルヘルム・ステンハンマルです。19世紀後半から20世紀前半にかけて北欧からはノルウェーのグリーグ、フィンランドのシベリウス、デンマークのニールセンと世界的な作曲家が誕生しましたが、なぜかスウェーデンからは彼らと並ぶような作曲家は現れませんでした。敢えて言うなら少し前のブログで「夏至の徹夜祭」をご紹介したアルヴェーン、そしてこのステンハンマルが挙げられますが、それにしても知る人ぞ知ると言った感じです。かく言う私も彼の作品に触れるのは本CDが初めてです。



CDはニクラス・シヴェーレフのピアノ、マリオ・ヴェンツォゴ指揮マルメ交響楽団の演奏です。収録曲はピアノ協奏曲2曲。他にも3曲の交響曲を残しているようですがそれらについてはまだ国内盤は発売されていないようです。順番的にはピアノ協奏曲第2番→第1番の順で収録されていますが、ここでは第1番→第2番の順で解説します。

第1番は4楽章形式で40分を超える大作です。CD解説にはブラームス風と表現されていますが、確かに重厚な作りの第1楽章やメランコリックな第4楽章冒頭はいかにもブラームスっぽいですが、それ以外はむしろグリーグに通じる清らかで美しい旋律が主体です。特に♪菜の花畑に~、で始まる唱歌「朧月夜」に似た親しみやい主題で始まる美しい緩徐楽章の第3楽章、熱情的な前半部分から怒濤のフィナーレに行くと思いきや北欧風の春を思わせる爽やかな旋律で幕を閉じる第4楽章が感動的です。

第2番は第1番の10年以上後に書かれた作品です。一応こちらも4楽章形式ですが続けて演奏されるため実質的には単一楽章で演奏時間も30分弱とコンパクトな作りです。内容的にも歌心あふれる旋律に溢れていた第1楽章に比べるとやや重めで内省的な印象を受けます。ただ、第4楽章は霧が晴れたように希望に満ちた力強い旋律が現れ、そのまま感動的なフィナーレへと突き進んでいきます。以上、2曲とも素晴らしい内容で、特にグリーグのピアノ協奏曲が好きな方ならほぼ間違いなく好きになると思います。超お薦めです!
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