ハードバピッシュ&アレグロな日々

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ショパン/ピアノと管弦楽のための作品集

2020-01-09 23:52:55 | クラシック(協奏曲)
新年第1弾はショパンを取り上げたいと思います。有名な「別れの曲」「ノクターン」を始め多くの名曲で知られるショパンですが、ほとんどの作品がピアノ独奏のための曲でオーケストラ付きの作品となると以前に当ブログでも紹介した2曲のピアノ協奏曲の他には、今日ご紹介する「ラ・チ・ダレム変奏曲」「ポーランド民謡による大幻想曲」「ロンド・クラコヴィアク」「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」の4曲のみです。いずれもピアノ独奏付きの管弦楽曲で広い意味でのピアノ協奏曲のようなものとも言えます。同時代に活躍し、ピアニストとしてショパンと並び称される存在であったリストが作曲面ではピアノ曲以外にも交響詩等の面で大きな足跡を残したのに対し、ショパンはあくまでピアニストとして演奏することを前提に曲を作っていたようです。2曲のピアノ協奏曲はともかく、これらの管弦楽作品を録音したディスクはあまりありませんでしたが、このたびヤン・リシエツキのピアノ、クシシュトフ・ウルバンスキ指揮北ドイツ放送エルプフィルハーモニー管弦楽団のCDを入手しましたのでそれをもとにご紹介します。



曲紹介は収録順ではなく作曲年順に行います。ますはショパンが17歳の時に書いた「ラ・チ・ダレム変奏曲」から。こちらは正式名称を「モーツァルトの『ドン・ジョヴァンニ』の『お手をどうぞ』による変奏曲」と言いますが、長すぎるので『お手をどうぞ』のイタリア語ラ・チ・ダレムを取ってこう呼ばれています。タイトル通りモーツァルトのオペラの有名なアリアを題材にした曲で、♫タンタタタンタンタンと軽快な旋律を緩急織り交ぜたさまざまなスタイルで演奏して行きます。続いて20歳の時に書かれた「ポーランド民謡による大幻想曲」と「ロンド・クラコヴィアク」。どちらもポーランドの民族音楽の要素が濃厚で、前者は第2楽章に「もう月は沈み」と言う美しい民謡が主題に使われていますし、後者もクラコヴィアクと言うクラクフ地方の民族舞踊に着想を得て作曲されています。ショパンはピアノ曲でも生涯にわたってマズルカやポロネーズと言オったポーランドの民族音楽にちなんだ作品を発表し続けましたので、これら管弦楽付きの曲もその一環と言えます。最後は「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」。ショパン24歳の時の作曲でこの曲を最後に生涯を通じてオーケストラ付きの作品を1曲も書きませんでした。実際この曲も前半のアンダンテ・スピアナートの部分はピアノ独奏ですし、後半のポロネーズもオーケストラが目立つのは最初と最後のみで途中はピアノの伴奏程度です。ショパンがオーケストラに力を入れなかった原因としては、彼が管弦楽法を熟知していなかったからと言う説もありますし、性格的に内向的なため多くの聴衆の前より少人数のサロンで演奏する方を好んだためピアノ独奏曲ばかりになったとも言われています。とは言え、ピアノ曲であろうがオーケストラ付きであろうが、旋律自体はどれも魅力的なことに変わりなく、スローテンポの曲は夢見るような美しさですし、ポロネーズやロンド等の舞曲ではきらびやかで明るさに満ち溢れた音の世界を堪能できます。



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