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ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ラフマニノフ/交響曲第3番

2020-01-22 20:05:12 | クラシック(交響曲)
本日はラフマニノフの交響曲第3番をご紹介します。ラフマニノフは生涯に3曲の交響曲を残し、うち第2番が最も有名ですが、この第3番はその30年後の1936年に作曲されました。なぜこれほど長いブランクが空いたかについては彼のキャリアを振り返る必要があります。ラフマニノフがピアノ協奏曲第2番や第3番、前述の交響曲第2番らの傑作群を発表したのは彼が20代半ばから30代半ばまで、年代にして1900年から1910年までの間です。その後1917年にロシア革命が起こり社会主義体制が成立するとラフマニノフは西側に亡命。アメリカを拠点にコンサートピアニストとして活動するようになります。もともとピアノのヴィルトゥオーゾとして知られたラフマニノフの演奏活動は大いなる成功を収めましたが、一方で作曲活動は低調で、亡命後に書いたオーケストラ作品は25年あまりでわずか4曲。「ピアノ協奏曲第4番」、「パガニーニ狂詩曲」、「交響的舞曲」と本曲のみです。ラフマニノフの作品はロシア音楽の王道とでも言うべき濃厚なロマンチシズムに溢れていますが、やはり祖国から遠く離れた外国での生活からは作曲家としてのインスピレーションは湧かなかったのかもしれません。

ただ、上記の4作に凡作は一つもなく、どれも丁寧に作りこまれたことがわかる佳曲ばかりです。作風的には全てロマン派でこの頃にもてはやされていた無調音楽やストラヴィンスキーらの新古典主義とは完全に一線を画しています。そのため、当時の評論家からは保守的、時代遅れと評されることも多かったようですが、現代の我々からすればやはりラフマニノフはメロディの美しさがあってこそですよね。今日ピックアップする交響曲第3番も全編にわたって華やかなオーケストラサウンドと色彩豊かなメロディに彩られています。特に素晴らしいのが第1楽章で、エネルギッシュに始まる冒頭部分から次々と胸躍るような旋律があふれ出て来ます。第2楽章は前半は哀調を帯びたアダージョで、後半は一転して勇ましいスケルツォに変わります。第3楽章は再びオーケストラが爆発するようなエネルギッシュな始まり方で、途中様々な主題をはさみつつフィナーレはド派手に締めくくります。



CDですが、古今の指揮者による演奏が目白押しの第2番に比べると第3番はやや寂しいラインナップ。そんな中で私が購入したのはアンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団のものです。プレヴィンは交響曲第2番も歴史的名盤とされていますが、この第3番も充実の出来です。本盤には他にラフマニノフのオペラ「アレコ」から「間奏曲」と「女たちの踊り」が収録されています。こちらは第3番から遡ること44年前、なんとラフマニノフが19歳の時の作品です。どちらも3〜4分程度の短い曲ですが、前者は幻想的な美しい旋律が、後者はややオリエンタルな響きが印象的で、若きラフマニノフの才能が感じられるなかなか魅力的な小品です。
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