前回のベビーフェイス・ウィレットに引き続き、本日もブルーノートのオルガン・ジャズを取り上げます。フレディ・ローチに関しては以前に「ダウン・トゥ・アース」でも取り上げました。一応ジャンル的にはソウル・ジャズになるのでしょうが、単なるノリ重視のR&B風の演奏に終始せず、ハードバップ的な要素も感じられます。1963年発表の本作も基本メンバーはローチ(オルガン)、エディ・ライト(ギター)、クラレンス・ジョンストン(ドラム)から成るオルガン・トリオですが、8曲中4曲でテナーとトランペットを加えたクインテット編成となっており、しかもそれがハンク・モブレーとブルー・ミッチェルと来れば、ハードバップ愛好者も思わず食指が動いてしまいますよね。
実際、クインテット編成の曲はマイナーキーのハードバップ”When Malindy Sings”、ローチ自作曲で哀愁漂う”On Our Way Up”と佳曲揃い。リチャード・ロジャースの知られざるスタンダード”Lots of Lovely Love”も軽快なハードバップに仕上がっています。ブルー・ミッチェルはともかくハンク・モブレーとオルガンの組み合わせは異色ですが、ローチのオルガンと違和感なく馴染んでいます。一方、トリオ編成の方もバラエティ豊かで、エロール・ガーナ―作の美しいバラード”Pastel”、サイ・オリヴァー作の軽快な”'Tain't What You Do”と魅力的なナンバーが揃っています。ギトギトしたR&B系が苦手と言う人にもお薦めできる良質のソウル・ジャズです。