ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

エラ・フィッツジェラルド/エラ・スウィングス・ライトリー

2020-11-11 17:43:38 | ジャズ(ヴォーカル)

本日はヴォーカルものでエラ・フィッツジェラルドの「エラ・スウィングス・ライトリー」を取り上げます。エラはご存知のとおり“ジャズ界のファーストレディ”と呼ばれており、特に1950年後半から1960年代前半にかけてヴァーヴに残した作品群(「エラ&ルイ」、「ポーギーとべス」、「アット・ジ・オペラ・ハウス」、「エラ・イン・ベルリン」)はジャズ・ヴォーカルの古典として多くの人々に親しまれています。1958年録音の本作は上記の作品群の中では比較的目立たない存在ですが、内容的にはとても充実しており、エラの隠れ名盤と言って差し支えない出来です。

計16曲、有名スタンダードは“Just You, Just Me”“As Long As I Live”ぐらいで、後は比較的マイナーな曲が中心ですが、“You Hit The Spot”“Teadrops From My Eyes”“My Kinda Love”はじめ魅力的な小品が並んでいます。また、本作は以前に当ブログでも取り上げた「ウィスパー・ノット」と同じくマーティ・ペイチをアレンジャーに迎えており、彼が率いるウェストコーストの俊英達の演奏も大きな聴き所となっています。メンバーは計10人でドン・ファガーキスト&アル・ポーシノ(トランペット)、ビル・ホルマン(テナー)、バド・シャンク(アルト)、メッド・フローリー(バリトン)、ボブ・エネヴォルセン(トロンボーン)、ヴィンス・デ・ローザ(フレンチホルン)、ルー・レヴィ(ピアノ)、ジョー・モンドラゴン(ベース)、メル・ルイス(ドラム)と言う布陣です。各自が長々とソロを取るわけではありませんが、“You Hit The Spot”“720 In The Books”ではシャンク&エネヴォルセン、“Just You, Just Me”ではホルマン&エネヴォルセン、“Teadrops From My Eyes”ではホルマン、“Gotta Be This Or That”ではシャンク、エネヴォルセン、フローリーが短いながらもキラリと光るソロを聴かせてくれます。もちろんあくまで主役はエラで、彼女の貫禄たっぷりのヴォーカルが知られざるマイナーな曲達に命を吹き込んでいます。ロイ・エルドリッジ作のインストゥルメンタル・ナンバー”Little Jazz”ではエラお得意のスキャットも存分に堪能できます。

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