モード・レコードというレーベルがあります。演奏スタイルのいわゆるモード・ジャズとは何の関係もなく、むしろモード・ジャズという言葉が誕生する前の1957年にわずか半年だけ存在した幻のレーベルです。ただ、短期間に集中的に録音したため30枚前後のカタログがあり、CDでも何度も再発売されているのでジャズファンの間では結構知られています。このレーベルの特徴はジャケットデザイン。エヴァ・ダイアナという女性画家が描いたアーティストの水彩画で基本的に統一されており、これがまた味があるとマニア心をくすぐるようです。今日ご紹介する「エディ・コスタ・クインテット」もその水彩画シリーズの一つです。
コスタについては以前にコーラル盤のところでご紹介しましたが、ピアニスト兼ヴァイブ奏者として50年代のジャズシーンで活躍したものの、1962年に自動車事故で亡くなった夭折のジャズマンです。モード・レーベルは西海岸を拠点としていたため、基本的にはウェストコーストの白人ミュージシャンの録音が多いですが、本作はリーダーのコスタはじめアート・ファーマー(トランペット)、フィル・ウッズ(アルト)、テディ・コティック(ベース)、ポール・モティアン(ドラム)と東海岸のミュージシャンが名を連ねています。なお、ジャケットでのコスタはヴァイブを演奏していますが、7曲中5曲はピアノを演奏しており、ヴァイブは2曲のみです。どちらもバラードで1曲はデイヴ・ブルーベックの”In Your Own Sweet Way"、もう1曲はロジャース&ハートの"I Didn't Know What Time It Was”です。コスタのヴァイブの後ろでピアノが伴奏していますが、どうやらフィル・ウッズが弾いているらしいです。ただ、出来自体は正直可も不可もなくといったところ。オリジナル曲の方が良いですね。中でもおススメはオープニングのフィル・ウッズ作の"Get Out Of The Road"。力強いハードバップ調の曲でファーマー→コスタ→ウッズとエネルギッシュなソロをリレーします。その他ではコスタのオリジナル"Blues Plus Eight"やラストのファーマー作"Stretch In F"もドライヴ感たっぷりの演奏。特に後者ではコスタが彼独特のうねるようなタッチのピアノソロを披露します。モード・レコードには他にも良い作品がいくつかありますので、定期的に取り上げたいと思います。
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