先日に続いて、仁井田地区。
先日は「農業試験場跡地は、ぐるりと住宅に囲まれている」と書いたけれど、よく見ると一方向だけ雰囲気が違う。
前回アップした地形図をご覧いただくと分かるが、三方(牛島南、大住、仁井田新田)は、直線的な道路が張り巡らされ、それに沿ってびっしりと家が並んでいる。いかにも新興住宅地の家並み。
一方、雄物川に近い南側は、若干カーブがある1本の道に沿って、ややまばらに家屋が並ぶ。
高校の地理で習った集落の形態の1つ、「路村」というヤツだろう。日本では江戸時代の新田集落によく見られるものだそうで、仁井田集落の成立とも一致する。
ここは現在は「仁井田字大野」という地名。秋田市民には単に「大野」で通じる場合が多いだろう。
秋田中央交通の路線バスに「(牛島経由)大野線」という路線がある。元から中央交通のオリジナル路線であり、秋田市交通局からの移管路線ではない。
【2019年補足・↓この略図は、市営バス時代~記事アップ時の2011年時点のものです。その後、2010年代中盤以降のさらなる路線再編には触れていないので、当時の資料としてご覧ください】
牛島方面の路線は市営バスと中央交通が競合していたが、両者で行き先が重複していたのは御野場団地だけで、それ以外は市営バスが秋田市中心部寄りの各地、中央交通が郊外側の各地と両者で行き先をすみ分けていた。
その中で、中央交通でいちばん秋田市中心部寄りが終点が、大野線の「大野四区」だった。
僕は以前、1度だけ大野集落を通ったことはあったが、ほとんどなじみがない地域であるとともに、路線バス・大野線の存在も多少は意識していた。
大野線は以前は、平日上り6本・下り5本、土日は上下4本ずつ(2009年の時刻表で確認)されていたのだが、この10月の中央交通の全体的な大幅減便に伴い、平日上り5本・下り3本、土日は上下2本ずつにまで減らされてしまった。
大野線と大野地区がにわかに気になりだして、大野線のルートをたどりながら大野を訪れてみた。
大野線(9月以前の旧表示)現在は「530 大野四区」と表示される
大野線は秋田営業所の中型バスで運行される。系統番号は「530」のみで派生系統はなし。全便が大川反車庫発着、県庁・秋田駅西口経由。秋田駅西口から大野四区までの所要時間は24分。
国道13号線「二ツ屋」交差点。秋田市街地方向
いわゆる二ツ屋の三叉路。左奥が秋田南高校。
右の細い道が旧羽州街道。大野線はじめ牛島経由の各路線はここから国道に出る。
二ツ屋三叉路から国道を南へ400メートル強進むと次の交差点で、その直前にバス停がある。そこが大野への入口。
無名の丁字路交差点で、交わり方は直角ではない。時差式信号(秋田市街から右折する青が長い)。
大野まで1キロ
バス停の名前は、
「大野口」
特定の地名や施設への入口にあるバス停や駅に「◯◯口」という名前が付けられるのは、全国的にあることだが、秋田のバス停では「◯◯入口」という名称のことが多く(笹岡入口、港入口などなど)、「大野“口”」は特殊な例と言えるかもしれない。
写真のローマ字表示の通り「おおのぐち」と読むはずだが、現在の車内放送では「おおの“く”ち」と言っているように聞こえたけれど…
バス停のポールは2本あり、1本は中央交通の一般路線バス用。御野場、御所野方面などの路線が毎時3本程度は通る。
これは市営バスがあった頃、競合路線のポールを1本にまとめようという動きがあり、それで設置されたタイプだ(この記事参照)。
もう1本は、羽後交通のポール。かつては2010年春で廃止された急行角館線も停まっていたはずだが、現在は横手・湯沢方面の高速バス専用の停留所となっている。
でも、その高速バスは羽後交通と中央交通の共同運行だし、1日わずか6本だから、一般路線バス用にポールをまとめてもいいんじゃないだろうか。
大野線は、この交差点を右折して大野へ向かう。
大野への道
待ち時間が長い横断歩道を渡って、いよいよ大野への道に足を踏み入れる。
国道沿いの辺りは「仁井田蕗見町(ふきみちょう)」。秋田フキにちなんだ名称だが、広い仁井田の中で、なぜここが蕗見町となったのかは分からない。
仁井田蕗見町は住居表示実施前は、全域が「仁井田字潟中島(かたなかじま)」だった。(字潟中島は、現在も一部残存)
曲ってすぐ、左側にバス停を発見!
「バスで行こう」のキャッチコピー付きでオレンジ色が特徴的な、以前の中央交通標準タイプのポール(以前の記事)。移管路線ではなく、本来の中央交通の路線なのだと実感させられる。
そのバス停の名前は…
これも「大野口」!?(奥の左右が国道)
ポールは下り側だけで、上り側にはない。
時刻表に親切にも注記があり「秋田駅方面(=上り)へは大野口信号を左折したところ(=国道)のバス停から乗ってね」とのこと。
つまり、こういう位置関係。
「大野口」停留所は、大野線の上りと他路線の上下は国道上のバス停を使うが、大野線の下りだけ、細い道に専用のバス停があることになる。
右折のため車線変更する都合上、国道のバス停は使用できないための対処ということか。
※2018年頃までに大野口のバス停の表示板が更新された。下記、小中島入口も合わせてこちら。
バス運賃は(牛島東五丁目の次の)二ツ屋上丁・二ツ屋下丁・大野口が同料金で、秋田駅からは300円。
大野口を過ぎて運賃が変わる(上がる)が、駅からは310円で、10円しか上がらない。
狭い道の両側やその裏にも、家屋が並ぶ。
やや古めの住宅や医院・薬局、美容院、工務店などが目に付く。
国道から200メートルほどで、道路の右は「仁井田小中島(こなかじま)」、左が「仁井田新田(しんでん)」となり、前回紹介した、旧農業試験場跡を抜けて大住小学校付近へ抜ける新しい道路との交差点。信号機なしの丁字路。
試験場跡地は、住居表示されていない、仁井田「字潟中島」と「字小中島」。
そこに次のバス停が。
右が試験場跡・大住方向。大野線は正面の狭い道を走る
「小中島入口」
やはり秋田では「口」ではなく「入口」じゃなくちゃ。(なんで大野口だけ口なんだ?)
でも、ここの所在地が既に「仁井田小中島」なのだから、「入口」はいらないのでは?
「バスで行こう」タイプのポールなのに手書きでなく、活字&ローマ字併記なのが珍しい。
以上の写真は上り側。
下り側はこれ
枠もオレンジ色で、しかもサビサビの古いタイプか。表示部分だけ、こちらもローマ字入りの新しいものに替えているが、上部の社紋がない。
なお、前回紹介した、「試験場跡・あきたこまち誕生の地」碑やJA秋田教育研修所が、この小中島入口バス停からすぐ。
しかし、JA秋田中央会の公式サイトでは、研修所へのアクセスは「大野口下車、徒歩5分」となっていて、小中島入口は無視されている。この本数の少なさでは仕方ないけれど。
これでも対面通行でバスが通ります
同じような道を350メートルほど進むと、狭い道どうしが交わる信号機付き交差点。
右側は、交差点の先からついに「仁井田字大野」になる。なお、左折して直進すると国道の仁井田小学校の所に至る。
その交差点手前に、次のバス停。その名も
「大野」
ポールが立つのは、下り側だけで、上り側のポールが見当たらない。
時刻表を見ると、
上り下り両方が1枚に掲出されている
つまり、道が狭いから1本のポールで上下を兼用しているということのようだ。下りに乗る時は、向かい側に立っていればいいのだろう。(終点間近のここから上りに乗る人はいないだろうから、下り側にポールを立てたほうがよさそうにも思うが)
青森の弘南バスでは、こういう設置方法がわりとあり、僕は初めて見た時は、失礼ながら「田舎だ!」と驚いたものだった。
秋田でも同じ設置方法があるとは知らなかった。
なお、弘南バスでは、現在は千畳敷駅前のように「反対方向のバスは向かい側でお待ち下さい」と注記している(昔はなかった)。ここでは注記なし。
小中島入口の運賃は1停留所だけの適用で、大野ではまた運賃が上がるものの、駅から320円でまた10円だけ上がる。ここはなぜか運賃設定が小刻み。
大野を過ぎるとまた運賃が変わるが、今度は70円も上がって390円になる。(終点まで同額)
ここからいよいよ大野の中に入っていくのですが、続きは後日。
先日は「農業試験場跡地は、ぐるりと住宅に囲まれている」と書いたけれど、よく見ると一方向だけ雰囲気が違う。
前回アップした地形図をご覧いただくと分かるが、三方(牛島南、大住、仁井田新田)は、直線的な道路が張り巡らされ、それに沿ってびっしりと家が並んでいる。いかにも新興住宅地の家並み。
一方、雄物川に近い南側は、若干カーブがある1本の道に沿って、ややまばらに家屋が並ぶ。
高校の地理で習った集落の形態の1つ、「路村」というヤツだろう。日本では江戸時代の新田集落によく見られるものだそうで、仁井田集落の成立とも一致する。
ここは現在は「仁井田字大野」という地名。秋田市民には単に「大野」で通じる場合が多いだろう。
秋田中央交通の路線バスに「(牛島経由)大野線」という路線がある。元から中央交通のオリジナル路線であり、秋田市交通局からの移管路線ではない。
【2019年補足・↓この略図は、市営バス時代~記事アップ時の2011年時点のものです。その後、2010年代中盤以降のさらなる路線再編には触れていないので、当時の資料としてご覧ください】
牛島方面の路線は市営バスと中央交通が競合していたが、両者で行き先が重複していたのは御野場団地だけで、それ以外は市営バスが秋田市中心部寄りの各地、中央交通が郊外側の各地と両者で行き先をすみ分けていた。
その中で、中央交通でいちばん秋田市中心部寄りが終点が、大野線の「大野四区」だった。
僕は以前、1度だけ大野集落を通ったことはあったが、ほとんどなじみがない地域であるとともに、路線バス・大野線の存在も多少は意識していた。
大野線は以前は、平日上り6本・下り5本、土日は上下4本ずつ(2009年の時刻表で確認)されていたのだが、この10月の中央交通の全体的な大幅減便に伴い、平日上り5本・下り3本、土日は上下2本ずつにまで減らされてしまった。
大野線と大野地区がにわかに気になりだして、大野線のルートをたどりながら大野を訪れてみた。
大野線(9月以前の旧表示)現在は「530 大野四区」と表示される
大野線は秋田営業所の中型バスで運行される。系統番号は「530」のみで派生系統はなし。全便が大川反車庫発着、県庁・秋田駅西口経由。秋田駅西口から大野四区までの所要時間は24分。
国道13号線「二ツ屋」交差点。秋田市街地方向
いわゆる二ツ屋の三叉路。左奥が秋田南高校。
右の細い道が旧羽州街道。大野線はじめ牛島経由の各路線はここから国道に出る。
二ツ屋三叉路から国道を南へ400メートル強進むと次の交差点で、その直前にバス停がある。そこが大野への入口。
無名の丁字路交差点で、交わり方は直角ではない。時差式信号(秋田市街から右折する青が長い)。
大野まで1キロ
バス停の名前は、
「大野口」
特定の地名や施設への入口にあるバス停や駅に「◯◯口」という名前が付けられるのは、全国的にあることだが、秋田のバス停では「◯◯入口」という名称のことが多く(笹岡入口、港入口などなど)、「大野“口”」は特殊な例と言えるかもしれない。
写真のローマ字表示の通り「おおのぐち」と読むはずだが、現在の車内放送では「おおの“く”ち」と言っているように聞こえたけれど…
バス停のポールは2本あり、1本は中央交通の一般路線バス用。御野場、御所野方面などの路線が毎時3本程度は通る。
これは市営バスがあった頃、競合路線のポールを1本にまとめようという動きがあり、それで設置されたタイプだ(この記事参照)。
もう1本は、羽後交通のポール。かつては2010年春で廃止された急行角館線も停まっていたはずだが、現在は横手・湯沢方面の高速バス専用の停留所となっている。
でも、その高速バスは羽後交通と中央交通の共同運行だし、1日わずか6本だから、一般路線バス用にポールをまとめてもいいんじゃないだろうか。
大野線は、この交差点を右折して大野へ向かう。
大野への道
待ち時間が長い横断歩道を渡って、いよいよ大野への道に足を踏み入れる。
国道沿いの辺りは「仁井田蕗見町(ふきみちょう)」。秋田フキにちなんだ名称だが、広い仁井田の中で、なぜここが蕗見町となったのかは分からない。
仁井田蕗見町は住居表示実施前は、全域が「仁井田字潟中島(かたなかじま)」だった。(字潟中島は、現在も一部残存)
曲ってすぐ、左側にバス停を発見!
「バスで行こう」のキャッチコピー付きでオレンジ色が特徴的な、以前の中央交通標準タイプのポール(以前の記事)。移管路線ではなく、本来の中央交通の路線なのだと実感させられる。
そのバス停の名前は…
これも「大野口」!?(奥の左右が国道)
ポールは下り側だけで、上り側にはない。
時刻表に親切にも注記があり「秋田駅方面(=上り)へは大野口信号を左折したところ(=国道)のバス停から乗ってね」とのこと。
つまり、こういう位置関係。
「大野口」停留所は、大野線の上りと他路線の上下は国道上のバス停を使うが、大野線の下りだけ、細い道に専用のバス停があることになる。
右折のため車線変更する都合上、国道のバス停は使用できないための対処ということか。
※2018年頃までに大野口のバス停の表示板が更新された。下記、小中島入口も合わせてこちら。
バス運賃は(牛島東五丁目の次の)二ツ屋上丁・二ツ屋下丁・大野口が同料金で、秋田駅からは300円。
大野口を過ぎて運賃が変わる(上がる)が、駅からは310円で、10円しか上がらない。
狭い道の両側やその裏にも、家屋が並ぶ。
やや古めの住宅や医院・薬局、美容院、工務店などが目に付く。
国道から200メートルほどで、道路の右は「仁井田小中島(こなかじま)」、左が「仁井田新田(しんでん)」となり、前回紹介した、旧農業試験場跡を抜けて大住小学校付近へ抜ける新しい道路との交差点。信号機なしの丁字路。
試験場跡地は、住居表示されていない、仁井田「字潟中島」と「字小中島」。
そこに次のバス停が。
右が試験場跡・大住方向。大野線は正面の狭い道を走る
「小中島入口」
やはり秋田では「口」ではなく「入口」じゃなくちゃ。(なんで大野口だけ口なんだ?)
でも、ここの所在地が既に「仁井田小中島」なのだから、「入口」はいらないのでは?
「バスで行こう」タイプのポールなのに手書きでなく、活字&ローマ字併記なのが珍しい。
以上の写真は上り側。
下り側はこれ
枠もオレンジ色で、しかもサビサビの古いタイプか。表示部分だけ、こちらもローマ字入りの新しいものに替えているが、上部の社紋がない。
なお、前回紹介した、「試験場跡・あきたこまち誕生の地」碑やJA秋田教育研修所が、この小中島入口バス停からすぐ。
しかし、JA秋田中央会の公式サイトでは、研修所へのアクセスは「大野口下車、徒歩5分」となっていて、小中島入口は無視されている。この本数の少なさでは仕方ないけれど。
これでも対面通行でバスが通ります
同じような道を350メートルほど進むと、狭い道どうしが交わる信号機付き交差点。
右側は、交差点の先からついに「仁井田字大野」になる。なお、左折して直進すると国道の仁井田小学校の所に至る。
その交差点手前に、次のバス停。その名も
「大野」
ポールが立つのは、下り側だけで、上り側のポールが見当たらない。
時刻表を見ると、
上り下り両方が1枚に掲出されている
つまり、道が狭いから1本のポールで上下を兼用しているということのようだ。下りに乗る時は、向かい側に立っていればいいのだろう。(終点間近のここから上りに乗る人はいないだろうから、下り側にポールを立てたほうがよさそうにも思うが)
青森の弘南バスでは、こういう設置方法がわりとあり、僕は初めて見た時は、失礼ながら「田舎だ!」と驚いたものだった。
秋田でも同じ設置方法があるとは知らなかった。
なお、弘南バスでは、現在は千畳敷駅前のように「反対方向のバスは向かい側でお待ち下さい」と注記している(昔はなかった)。ここでは注記なし。
小中島入口の運賃は1停留所だけの適用で、大野ではまた運賃が上がるものの、駅から320円でまた10円だけ上がる。ここはなぜか運賃設定が小刻み。
大野を過ぎるとまた運賃が変わるが、今度は70円も上がって390円になる。(終点まで同額)
ここからいよいよ大野の中に入っていくのですが、続きは後日。