広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

おやきパン

2011-12-04 19:55:50 | ランチパック等パン類
「おやき」といえば、全国的には信州の郷土食を連想される方が多いと思う。
でも、秋田にも「おやき」があります。
ただ、信州のおやきと秋田のおやきには、「具を包んだ丸型のものに火を通した」点は共通しているが、相違点も多い。
まとめてみると、
「おやき」のアクセント 信州:「や」が強い(「お菓子」「おやつ」のような)、秋田:平板(「おかず」「同じ」のような)
皮の材料 信州:小麦粉やそば粉(一部米粉を使う地域もある模様)、秋田:米粉(小麦粉も混ぜる?)
中身 信州:ナス、野沢菜など野菜類、あんこなどさまざま、秋田:粒あん
火の通し方 信州:蒸し焼き、蒸す、焼くなど、秋田:焼く。必ず焦げ目がつく
大きさ 信州:大きめ、秋田:小さめ
厚さ 信州:厚め、秋田:薄め
皮の色 信州:黄色~茶色、秋田:白(一部ではヨモギやカボチャなどを混ぜた色付きも)
外見 信州:まんじゅうに似ている、秋田:平べったいタイプの大福餅に似ている
知名度 信州:高い、秋田:低い
鳥取県にも、米粉の「おやき」があるようで、秋田とほぼ同じようだが、詳細は分からないので、ここでは割愛。

秋田のおやきの大きな特徴は「米粉を使う」ことと「中はあんこである」ことだと思う。
個人的には、おやきといえば五城目町の朝市で売られるものや能代市の菓子店「セキト」の製品が思い浮かぶので、秋田市より少し北側のエリアが発祥なのだろうかと思っていたが、岩手県寄りの仙北市や沿岸南部の由利本荘市大内でも作っているようだ。(県北発祥のきりたんぽが現在は県内全域の名物かのようになっているのと同じように、最近県内各地に広まったのかもしれないけれど)
※セキトの商品紹介ページ http://www.sekito.net/wagashi.html
※秋田県農林水産部 流通販売課の「あきた食の国ネット」では、レシピを紹介している http://common.pref.akita.lg.jp/aktshoku/100sen/index.html?article_id=102
 ページのタイトルは「そばおやき」となっているが、通常のおやきとそば粉を混ぜたもの両方が紹介されている。技術提供者は北秋田市と上小阿仁村の人。

地域や製造者によって違いがあるかと思うが、個人的にイメージするおやきは、大福よりは皮が硬くて粘りが少なく(引っ張っても伸びないが、餅の食感はある)、表面が毛羽立っているような印象。大福より素朴なお菓子といったところか。
形は違うが、三重県桑名や四日市の「安永餅」「なが餅」、秋田市の新しいお菓子屋「一乃穂(1993年創業? かおる堂系列)」の「しとぎ餅」と味としては同じ。


秋田のおやきの起源を調べようにも、信州のおやきの情報ばかりがヒットしてしまい、分からない。
根拠はないけれど、おやきの起源は同じもので、それが各地に広がる段階において、イネが育ちにくくムギやソバがよく食べられた信州の風土と、米どころ秋田の風土にあわせて、それぞれ変化していったのかもしれない。
ガラパゴス諸島の動物たちがそれぞれの環境に合わせて進化したり、日本のモバイル機器が他の国のものとかけ離れたものになってしまったりしたのと同じく、おやきは「ガラパゴス化」してしまったのかもしれない。


秋田のおやきは、ネームバリューのある「秋田米」を使ったものであるし、現在は「米粉」が注目されている。だから、もっと宣伝すれば人気が出るのではないだろうか。
信州との混同・誤解を避けるため、例えば「秋田おやき」とか「米粉おやき」という独自のネーミングをつけて売りだしたらどうでしょう?

※この後の秋田のおやきに関する記事(リンク先後半)
同様のものが、津軽地方では「しとぎ餅」と呼ばれるそうだ。
秋田市内の店のおやき。秋田ではこのタイプが典型的なおやき
おやきは、12月の「山の神の日」と関わりがあった
(以上追記)



前置きが長くなりましたが、たけや製パンの新商品の話。(だからランチパックカテゴリー)
今のところ、フレッシュランチの12月の新商品は未確認。
いとくでこんなものが88円で売られていた。
「あきた大好き! 秋田のおやき風パン」303kcal
「おやき風」ということは、小麦粉でなく米粉でも使ったのかと思ったが、包装には「白生地で、つぶあんを包み米粉をつけて秋田のおやきをイメージしました。」とある。(わざわざ「秋田のおやき」としているところは、信州のじゃないという配慮か?)
原材料欄は「つぶあん・小麦粉・上生粉…」とあり、小麦粉が多い(さらにあんこが多い)。
「上生粉」というのは、ネットで調べると秋田にしかないようで、米の粉で「じょうきこ」と読むらしい。

開けてみると、
うーん(左は比較用の単3電池)
外見は、「(少なくとも秋田の)おやき」としては存在し得ないほど巨大。
そして質感はどう見てもパン。
表面にうっすらと微細な粉がまぶされていて、それが米粉(上生粉)だろうか。大福の表面の粉のような感じだが、それほど量が多くないし、手についても邪魔なほどではない。

割ってみると、
生地に気泡があり、どう見てもパン
味も、どう考えても、粒あんのアンパン。

秋田のおやきを“イメージした”だけなんだろうけど、こんな潰れたアンパンを「秋田のおやき風」と言われては、ますます誤解されてしまう。
せめて、米粉をまぶすだけでなく、生地にも使うとかしてほしい。
でなきゃ、中におやきを丸々1個入れた「フレッシュランチ(ランチパック)秋田おやき」を作るとか…(炭水化物in炭水化物!)

※2018年3月には続編(?)が発売された。この記事後半にて。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする