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男鹿三山

2014-07-30 23:51:58 | 秋田の地理
7月25日付秋田魁新報 県央地域面のコラム「地方点描」で、男鹿支局長が「男鹿三山とは?」というのを書いていた。
男鹿三山とは、男鹿半島にある山をまとめた呼び名。具体的にはどの山を指すかという話。

男鹿半島にある山は、真山(しんざん)、本山(ほんざん)、寒風山(かんぷうざん)、毛無山(けなしやま)の4つが有名(他には名前のある山はあるのかな?)。
個人的な感覚では、真山、本山、寒風山はメジャーで、毛無山はマイナーなイメージがあった。我が家には男鹿出身の者がいたのだが、毛無山のことはその存在すら聞かされたことがなかった。

その4つの中で「三大名山」的な総称が「男鹿三山」だと思い込んでいたので、男鹿三山とは真山、本山、寒風山を指すのだと思い込んでいた。
ところが、地方点描で間違いだった(他の解釈もある)ことを知った。

現在主流の解釈では、真山、本山、毛無山が男鹿三山なのだそうだ。
この3つの山は、男鹿半島西側の海沿いに位置する連続した山で、山岳信仰に関わりが深い。3つの山を縦走することは「お山かけ」と呼ばれ、中世の修験道がルーツ。
したがって、真山神社の宮司もこの説を支持する。

しかし、毛無山の代わりに半島東側の付け根寄りの寒風山を入れて三山とする解釈も古くから存在したそうだ。1995年刊行の「男鹿市史 下巻」でも、寒風山を三山に入れているという。
江戸後期の紀行家で秋田県内をくまなく歩いて記録した菅江真澄は、毛無山を「毛無臺(=台)」と表記しており、「独立した一つの山とみなされていなかったのかもしれない」。秋田市から男鹿半島を眺めた時は「毛無山の頂上はなだらかで山のように見えない。」だから、三山ではないということになる。
(再掲)秋田市下浜から。左が毛無山・本山・真山、離れて右側が寒風山

「地理院地図」より。右が寒風山。左の赤丸で囲ったのが上から真山、本山。その下の丸だけのが毛無山
頂上の標高は真山567メートル、本山715メートル、毛無山677メートル。寒風山は355メートル。
ちなみに、Googleマップやマピオンなどの地図サイトでは、本山と毛無山の名称は表示されるが、真山は表示されない。(地名の「北浦真山」は表示される)


これを知って思い出したこと。
「日本三大○○」の中には、2つについては異論はないが、3つ目は諸説あるというのがたまにある。
「三大大仏」は奈良と鎌倉と?とか、「三大稲荷」は伏見と豊川と?とか。それぞれ身近なものを著名なものに入れたいという気持ちの現れだろうか。

地方点描では「論争に決着をつけるのは難しそうだ。」「新聞上で「男鹿三山」はなるべく使わないことにしよう。」としている。あやふやな点は触れずにおこうってこと?
それにしても、知っているつもりの秋田にも、まだまだ知らないことや誤解していることがあるものです。
コメント (2)
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