広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

元日営業・2日配達とNHK県域局

2017-01-06 00:04:15 | 秋田のいろいろ
昨年から「働き方改革」とかいって、労働環境を変えようとする動きが出ている。その例として、「ファミリーレストランの24時間営業廃止」などが挙げられている。
その延長ということか、年末年始には、「初売りを1月1日より後に行う百貨店」と「年賀状の1月2日の配達廃止」を取り上げるマスコミが複数あった。
その中には、「これまでずっと初売りは1月1日だった」とか「これまでずっと1月2日も年賀状を配達していた」と受け取れる(明言はしないにしても)説明をするものも見受けられた。長く生きている方ならご存知かと思うが、それは間違い。どちらも比較的最近始まったものである。

初売りについては、前にも触れているが、昔は1月1日はどこの大型店も休みで、初売りは2日や3日だった。1990年代中頃から大型スーパーが元日営業を初め(秋田県では1996年のダイエー秋田店が最初)、21世紀になってから多くの百貨店も追随することになったようだ。
年賀状も、少なくとも20世紀は1月2日は配達がなかった。いつから始まったかと調べたら、2005年からだそう。(1972年までも2日に配達されていた?)

そんなわけで、どちらもここ10年ちょっとだけやっていたことを、元に戻すに過ぎないのである。
この10年ちょっと、我々がいかにムリをしていたかを象徴する事態、とは言い過ぎか。


過剰に便利な世の中よりも、メリハリをつけて休む時は休むべきだと思うけれど、そうはいかない業界もある。
その1つが報道であろう。
ところが、それを放棄しているのではないかと思えるのが、日本放送協会である。

当ブログでは近年、NHKの各県の放送局が、初詣をどのように報道しているか(過去の原稿を使い回しているか)、取り上げてきた。※2016年の記事
しかし、今年からはほぼできなくなってしまった。(ほんとは面倒だったから、ちょうどいいけど…)

理由は、秋田放送局などで初詣の報道を、というか年末年始は県域ニュースをまったく放送しない局が出現したから。
全国的には知らないけれど、少なくとも東北6県では、今年度(2016年4月)から、祝日は各県ごとのローカルニュース(つまり青森とか盛岡のスタジオから、その県内向けだけに伝えるニュース)を一切放送しなくなり、代わりにローカル枠全編を仙台放送局から東北ブロック向け(6県共通のニュース)として放送するようになった。
ブロックニュースの内容は、各県の放送局が取材したものだが、時間も限られているので6県すべてを取り上げられないし、天気予報もいつもと違う(これはかえって分かりやすかったり…【8日追記】東京から気象予報士が伝える全国の気象情報はカットされた。この点ではマイナス)。これでは、民間放送局のニュースのほうがよほど県内のことが分かる。
NHKの本部に対して、これはあんまりではないかと意見を送ったが、返信はなかった。(現在のNHK本部では、問い合わせか意見かを送信者が指定できず、返信をするかしないかはNHKの判断次第らしい)

この年末年始も、祝日と同じ扱いになった。12月29日から1月3日まで6日間も、秋田放送局のアナウンサー・キャスターにお目にかかれず、天気カメラの映像も、見慣れた天気予報画面も見られない。
といっても、秋田放送局は完全休業だったわけではなく取材業務はしており、なまはげの話題などは仙台から放送されたし、ホームページでは、ほそぼそと毎日更新された(データ放送も?)。ホームページよりも放送でニュースを伝えてこそ放送局であって、本末転倒だと思うけど。
1月3日夜のNHK秋田のニュースサイト。12月30日分がまだ掲載、31日付はなし。一部は順番が逆転している
そんなわけで、例えば秋田局が初詣を取材したとしても、放映されるとは限らないから、取材しなかったのだろう。

6日間も各県の放送局からニュースが送出されないのって、考えてみればNHK始まって以来では?
帰省した人は、テレビを見て「秋田のニュースは?」と戸惑ったかもしれない。
新聞社の休刊日のような感じかもしれないし、職員の休暇が必要なのも分かるけど、連続6日ってのは…
地方の年末年始なんて大したニュースがないことが多いけれど、仮に大地震など重大な災害や事件事故がこの間に発生したら、充分な取材と報道(=被災者への情報提供)はできるのだろうか。不安だ。

細やかな報道あってこそNHKではないだろうか。
地域を舞台にしたドラマよりも、うどん自販機に72時間張り付くドキュメントよりも、オリンピック中継、甲子園、大相撲、紅白歌合戦などよりも、NHKにはやるべき大事なこと、受信料の使いみちがあるのではないかと思う。現状では「報道機関」としての自覚が足りないと言わざるを得ない。

NHKにしてみれば、法律の定めなどでやめるにやめられずに全国展開していて、本心は県域放送局などたたみたいのかもしれない。この調子では、「2040・“70万社会”と向き合う」なんてやっている秋田放送局自身が、その頃には撤退してたりして… 撤退まではいかなくても、県域放送局は、もう20年もすれば「支局」とかに格下げされるかもね。

そうそう。取材自体は行っているのだから、その原稿を「モヤモヤさまぁ~ず2」の「VoiceText」ショウ君のような音声合成ソフトで読み上げるニュースを放送したらどうだろう。下手な人間のアナウンサーより聞きやすくいていいかも?!

【8日追記】
年末年始に仙台から6県向けに出演したアナウンサーは、アナウンス専任部長という役職(若いけどおそらく東北でいちばんエライ)の小寺康雄アナウンサー、おなじみ津田喜章アナウンサー、今夏山形から異動した島田政男アナウンサーなど。
小寺さんはよくある管理職が対応ってやつか。津田さんは実家が宮城県内だから「休みは後でいいです」と出勤したのか。島田さんは俳句を詠んでくれることにほのかな期待をしたが、かなわず(異動後は俳句発表の機会があるのだろうか…)。「各局のニュースなくなり年暮れる」なんて。
あと、最後に映るカットで、仙台局ニューススタジオのカメラが、日立製であることが分かった。放送用カメラは、池上通信機、キヤノン、ソニー、パナソニック辺りが主流で、NHKでその各社を採用しているのは見ていたが、日立も作っていて、かつNHKが使っていたとは初めて知った。

【5月26日追記】翌年度・2017年春からは、祝日と同じく、土日も県域ニュースが廃止された。視聴者への説明はなし。
コメント (13)
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