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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

夏の臨時列車/ハーバー函館

2017-06-28 00:00:20 | 秋田のいろいろ
JR東日本秋田支社の臨時列車。
最近は、各地のイベントなどに合わせて、秋田駅から往復する「クルージングトレイン(元・リゾートしらかみ青池編成の2両)」を使用した快速列車が設定されることが多い。毎年定番となっているものもある。
(再掲)クルージングトレイン
今年夏は、秋田から奥羽本線・大館経由で青森県津軽方面へクルージングトレインの快速列車が以下の2つ設定されている。いずれも全席指定、停車駅は土崎、追分+特急停車駅。
青函アフターDC号
7月15~17日、9月16~18日
秋田8時54分→青森12時14分、青森17時50分→秋田21時35分

田んぼアート号
7月1、8、22日、9月9日
秋田7時19分→弘前9時45分、弘前17時08分→秋田19時31分

この2つとほぼ同じ趣旨の列車は、昨年夏にも運行されていた。
・クルージング青函DC号
2016年7月16~18日
秋田9時33分→青森12時41分、青森17時50分→秋田21時30分

・田んぼアート号
2016年7月27日(水)、8月22日(月)、9月30日(金)
秋田7時19分→弘前9時48分、弘前17時08分→秋田19時44分

青森まで行く列車は、昨年は津軽海峡をはさんだ青函デスティネーションキャンペーン、今年はそのアフターキャンペーンに合わせて、3連休に運行。
日帰りでも、泊りがけでもということだろうか。
JR東日本秋田支社のホームページには「新青森駅での「北海道新幹線」への乗り継ぎも便利です。青森、函館へのご旅行にぜひご利用ください。」とある。なるほど北海道にも行ける。
上りの秋田着が遅めだが、弘前始発の最終普通列車よりは30分ほど先行。

弘前までの列車は、田舎館村の田んぼアートを、日帰りで見に行きましょうということになる。設定日がちょっと不思議で、特に昨年は曜日がまちまちで3回。今年は土曜日に統一されたものの、7月3回、9月1回。稲の生長具合からして、7月よりは8月以降のほうがベターな見え方になるのだけど、その期間の設定は少ない。車両や夏祭りなど他のイベントの都合なんでしょうけど。
こちらは下りの秋田発が早く、日帰りにふさわしい。ただし、10分後に定期普通列車の弘前行きがある。

各地で行われる田んぼアートの中でも、田舎館村はその先駆けかつレベルの高さで有名。しかし、秋田県民にとっては会場へのアクセス方法(JRから、弘南鉄道または弘南バスに乗り換えが必要。下の※参照)を知る人は少ないし、秋田内陸縦貫鉄道沿線でも田んぼアートを実施していてそちらのほうを連想してしまうかもしれない。
したがって、「田んぼアート号に乗れば、田舎館村へ直行できる」とか「田んぼアートで内陸線の田んぼアートを見られる」と誤解・早とちりされてしまう可能性がある。
※田んぼアート号での往復に、弘前-田んぼアート駅間の弘南鉄道乗車券をセットにしたびゅう旅行商品も出てはいる。個人的には、夏の弘南鉄道は冷房がないのがキツイので、弘南バスで訪れたいものです…(ちなみに、「津軽フリーパス」ならどちらも乗れる。第1会場の村役場にはバスが、第2会場の道の駅へは弘南鉄道が最寄りで、両会場を結ぶ無料ワゴン車が運行されている。)
【28日追記】まぎらわしいことに、秋田内陸縦貫鉄道でも「田んぼアート号」が運行されていた!(少なくとも2016年、2017年)。7・8月の土日祝日に、角館-阿仁合の定期普通列車1往復を阿仁前田まで延長するもの。


クルージングトレインは、特急と同じ座席が、ゆったりとした間隔で設置されており、座り心地は良好(車両としての乗り心地はキハ40系なので、そこそこ)。
乗車券+指定席券520円で乗れるのだから、“乗り得”な列車。どれかに乗ってみようかな。


なお、9月23日・土曜・秋分の日と24日・日曜には、秋田-弘前で高崎支社の「リゾートやまどり」を使った旅行商品専用の列車が運行されるそうだ。
どんな旅行商品かはまだ分からないけれど、内容(弘前でフリーとか)と値段によっては、これもいいかも。

欲を言えば、アフターDCでも夏休みでもいいから何か理由をつけて、フリーきっぷを発売してくれればいいのに。
あと、元リゾートしらかみ・ブナ編成だった車両は、引退後、秋田車両センターと秋田総合車両センターの間で行ったり来たりしているようだ。元青池編成のように「クルージングトレイン2」として使えば、このような時に重宝するのではないでしょうか。車齢はほぼ同じなんだし。



ここから思い出話。
青函アフターDC号や田んぼアート号の、「週末の朝早くに秋田から北へ向かう臨時列車」というダイヤ、「函館へのご旅行にぜひご利用ください。」という宣伝文句を見て、とある列車を思い出した。
ハーバー函館」である。

ネット上にもあまり情報はない。「ハーバー(HABA)」という化粧品メーカーの函館の店のことが出てしまったりする。
「ハーバー函館」とは、秋田-函館間を青函トンネルをくぐって直通運行されていた、臨時列車の愛称。
はっきりとした運行期間は分からないが、青函トンネル開業(1988年)間もない頃から21世紀まで運行されていた。少なくとも1991年から2003年までは確実。
主に観光シーズンの週末に設定され、期間中は毎週走っていた時もあった。
土曜日や3連休初日の朝に秋田を発って函館へ行き、休みの終わりの日の夜に秋田へ戻るダイヤ(Wikipediaによれば、夜行で運行された時もあったらしいが、記憶にない)。

青函トンネルができても、秋田から北海道へ直通する列車は、寝台特急「日本海」1往復だけだった中、臨時ではあるが実質的に唯一の直通列車だったと言えよう。
また、当時の青森-函館では、特急「はつかり」のほか快速「海峡」が運行されていたから、青森-函館であえてハーバー函館を利用する人は少なかったと思われる。秋田から北海道へ向かう人のための列車であったのだろう。
なお、札幌-青森の夜行急行「はまなす」を秋田まで延長したこともあったが、短期間で終わったはず。
※津軽海峡線や快速海峡についての過去の記事

ハーバー函館の列車種別は、初期は急行、末期は特急。急行の期間のほうが長かったはず。
使用車両は、初期は14系座席車(機関車にひかれて走る客車)、末期は485系電車。いずれも全席指定のはず。
485系は「はつかり」(の予備?)用だった青森の国鉄色6両編成で、ヘッドマークは「臨時」。
14系時代が急行、485系になって特急になったのかもしれない。ただし、14系座席車の設備は485系とほぼ同じ。
14系時代は、初期は5両編成、後に3両編成程度で運行されていたようだ。団体(貸切)用として、ボックスシートの12系客車を併結したこともあったとのこと。

ハーバー函館は、急行「ハーバーレインボー」として運行される時もあった。
1992年に登場したJR北海道のジョイフルトレイン「ノースレインボーエクスプレス」が使用されることがあり、その時の列車名。
Wikipediaには、途中から列車名が全部「~函館」から「~レインボー」に変わったかのように受け取れる記述があるが、そうではなく、車両によって使い分けていた。
余談だが、「ハーバーレインボー」という競走馬がいたらしい。列車との関係は不明。
(再掲)ノースレインボーエクスプレス
ノースレインボーエクスプレスはキハ183系気動車(ディーゼルカー)。青函トンネル内は火災防止のため気動車は自走できないことになっていて、函館-青森は電気機関車にひっぱられて走行したそうだ。
一部サイトでは、青森-秋田も機関車牽引だったとの情報もあるが、奥羽本線は自走していたと思う。
1997年には、北海道内の踏切事故によってノースレインボーエクスプレスの1両が破損。修理の間、普通の特急用のキハ183が代車として連結され、その状態でハーバーレインボーに使われたこともあったはず。


今夏の臨時列車からハーバー函館を連想したのは、田んぼアート号の秋田発土曜7時15分というのが、かなり似た時刻のような気がしたから。
実際はどうだろう。ネットや自分の記録から、ハーバー函館のダイヤ(設定日も)を拾ってみた。

・1994年9月~10月 秋田7時31分発→函館14時26分着
毎週運行。うち10月の2度はハーバーレインボー。

・2001年11月 秋田8時11分発
毎週運行。485系化されていたはず=レインボーはなし?

・2002年7月 秋田8時24分発
下旬の金曜と土曜に2回ずつ運行。

・2003年7月25日・金曜 秋田6時30分発→函館11時59分着
上りは27日・日曜 函館13時56分発→20時09分着。期間中、この上下1回のみ運行。

客車時代は7時間もかかっていた。485系でも5時間半。
末期には函館にかろうじて午前中に着くまで時刻が繰り上がったのは、函館での滞在時間を少しでも多く取ろうとしたのだろうか。
ちなみに、今夏の秋田8時54分発のアフターDC号で新幹線、函館本線を乗り継ぐと、函館着は14時06分。


実は、昔「ハーバー函館」に乗ったことがある。あいまいな記憶ですが。
1992年の夏~秋かな。
たしか鷹ノ巣【28日訂正】大館まで行った時で、下り寝台特急の立席特急券による座席利用(いわゆる「ヒルネ」)をしようと、当日朝に窓口へ行ったら、売り切れ(立席特急券は枚数が決まっていたらしい)。
続行でハーバー函館があることを教えられ、指定席急行券(自由席と同額の立席特急券よりは高い)を買って、ガラガラの14系座席車に乗った。
ダイヤは覚えていないが、「寝台特急の続行」ということからすれば、7時頃の「あけぼの」の後か、8時半過ぎの「日本海3号」の後か。
1994年には7時31分発だったそうだから、あけぼのの後かな…【28日補足】当時はまだ上野-青森の急行「津軽」が定期列車で走っており、日本海3号の続行(秋田で9時前後?)だったはずで、そこにさらにハーバー函館を走らせないだろうし、我々も最初から津軽の自由席にしていたはず。やっぱりあけぼの後か。
乗車率は低かったけれど、その後10年は運行が続けられた。たまたま空いていたのだろうか。

そして、今夏の臨時列車。来年は青函デスティネーションキャンペーンはないわけだが、運行は続くだろうか。
コメント (2)
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