広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

美大のショウキサマ

2025-01-27 23:31:51 | 秋田の季節・風景
1月25日のあらや大川散歩道 雪まつりで訪れた、秋田市新屋の秋田公立美術大学。
(再掲)サークルプラザと大学校舎正面
大学正面(エントランス)に、今までなかったものがあった。
右から新屋高校生のやまはげ登場
正面玄関ドアの右にある。

巨大な藁人形?!
コンクリート打ちっぱなしの校舎(前身の秋田公立美術工芸短期大学が開学して、今年4月で30年)に似つかわしくない感じがしなくもなくて、戸惑った。
芸術作品などではなく、民俗行事のアイテムであろうことは想像ができる。類似ではなく、これそのものをどこかで見たような気もするが、天井ギリギリの高さがあり、巨大さに驚いた。

説明表示などなく、雪まつりとは関係なさそう。暗くなると闇にまぎれてしまった。
帰ってから、画像で検索すると、正体が分かった。※以下、誤解があるかもしれません。詳しく知りたいかたは、各自調べてください。
これは「末野のショウキサマ」。

秋田に限らず、東日本で見られる風習として、集落の入口に藁や木で作った人形を掲げて祀って神(道祖神の一種。「人形道祖神」とも)とし、災いが入ってこないようにする。それを秋田県内では「鍾馗様(ショウキサマ)」、「鹿島様」、「仁王様」などと呼ぶ。
鹿島様といえば、美大がある新屋地区の日吉神社の「鹿嶋祭」があるが、それは藁でない人形を舟に載せて、練り歩いて雄物川に流す行事なので、別タイプ。

末野というのは、横手市大森町(旧・大森町)の地名(上溝字末野?)だそうで、これも実際にそこの人たちが作った。
美大横を流れる雄物川の、はるか上流の支流沿いという、遠くのショウキサマが、美大に来た経緯。

さらに遠くの埼玉県所沢市に、2020年に「角川武蔵野ミュージアム」が開館。開館記念で展覧会「荒俣宏の妖怪伏魔殿2020」が開催され、秋田県からいくつかの人形道祖神が出展。各地域の人たちが制作した、本物が展示された。
展覧会終了後もミュージアムで保管されていたが、美大に寄贈されることになり、2023年3月30日に横手を越えて秋田市へ帰ってきた。
当初は、倉庫棟にある大学の関連団体「アトリエももさだ」内に展示され、2023年11月に大館市樹海ドームで行われた「新・秋田の行事」に出張。おそらく大館から戻った時(2023年11月19日付でインスタグラムに投稿あり)に、大学エントランスに設置。
横手→所沢→秋田→大館→秋田と移動して、落ち着いたようだ。

ほかの神様たちは、ももさだ内にあるということだろうか。末野のショウキサマは1年以上、屋根があるものの外で風と雨と雪にさらされていることになる。現地では、定期的に作り替えているが、こちらもいずれはそうなるのか。
秋田市にこのようなものがあったとは知らなかったし、美大が所有していても、積極的には存在を知らせていない。短大時代よりも、大学の守備範囲【28日補足・学際的というか扱う学問分野の幅広さ】が広くなったからこそなのだろうが、美大にこんなものがあるとは想像できなかった。部外者が立ち寄りにくい場所にあるので、あまり公開したくないのかもしれないが、それももったいないようにも思う。差し支えなければ、もっと周知してはどうだろうか。
【30日追記】前日24日には「複合芸術会議 2024」の1つとしてシンポジウム「人形道祖神と鹿島行事」が、美大講義室で開催されていた。
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