広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

「わたしたちの秋田市」

2023-12-02 22:39:49 | 昔のこと
小学校3・4年生(中学年)の社会科では、1年生から社会科があった昔も、生活科ができて3年生からになった現在も、自分たちが住む市や県を題材にして学習を進める。
全国で全員に無償配布される検定教科書では、地域ごとのフォローができないため、別に「副読本」が作られ、配布されることが多い。教育分野において「副読本」とは、検定教科書に対する補助的な教材全般を指すようだが、小学校中学年社会科(および一部では中学校も)向けのものを、特に「地域副読本」と称するそうで、Wikipediaにその項もある。
各地の社会科教育研究会や教育委員会が執筆・発行する。制作支援を商売にする出版社もある。

地域副読本の書名は、自治体名そのものズバリや、「のびゆく○○(自治体名)」も見られるが、圧倒的に多いのが「わたしたちの○○(自治体名)」。
秋田市でも「わたしたちの秋田市」。

自治体によっては、ホームページで閲覧できたり、市民向けに販売するところがあるが、秋田市ではやってなさそう(現行版は「非売品」扱いのようだ)。秋田市立各図書館と秋田県立図書館では、過去のものも含めて収蔵されている(貸出はできないものもあり)。
蔵書検索してみると、秋田市立図書館では、1960(昭和35)年版と、1981(昭和56)年版以降のほぼすべてを所蔵。県立図書館は、市立で抜けている1965~1976年をちらほらと持っている。※未所蔵の年の中には、そもそも発行されなかった年(=前年度版をそのまま配布)があるのかもしれない。

「わたしたちの秋田市」には、少なくとも60年以上の歴史があるのだった。
神奈川県相模原市の「さがみはら ―3・4年生 社会科副読本―(現在の書名)」は、1962(昭和37)年に初版本を作ったとのことで、全国的にそんな感じなのだろうか。

図書館のデータベースでは、いずれの年も基本的に著者は「秋田市教育委員会/編」、出版者は「秋田市教育委員会」。
ただ、初期は異なり、1960年版は「秋田市社会科教育研究会/編」、出版者は県立図書館では市教委だが、市立図書館では「教育書籍」というところ。1965年版は「秋田市社会科教育研究会/編 」、「秋田協同書籍」。
この記事で少し触れたが、秋田協同書籍は現存する教科書の取次供給所の1つ。「秋田県教育図書株式会社」は、現存するか不明だが、協同書籍と関連がある企業のようで、かつては取次供給所の上位の特約供給所だったようだ。

本のサイズは、1960年から1990(平成2)年までが21cmだから、A5判?
(1991年は図書館になく)1992年以降は26cm。これはAB判とかワイド判というサイズだろうか。おそらく、それぞれの時代で主流の教科書の判型に合わせているのだろう。
小学校の社会科の教科書は、現在は左綴じ・横書きだが、昭和末期は右綴じ・縦書きだった(中学校はすでに横書き)。「わたしたちの秋田市」もそれに合わせて、縦書きから横書きに変わっているようだ。

ページ数は、1960年が72、1976年が80、1985年が90、1990年が104、1992年が97、2023年が117。
文字のサイズ、図表や写真が増えたであろうことを踏まえると、掲載総量としては減っているかも。


Wikipediaには、地域副読本の使用義務はないから、未使用の学校も存在するとある。
僕が小学校3年生だった1985年度は、「わたしたちの秋田市」をかなり使った。検定教科書(当時の秋田市は「中教出版」を採択。関連記事。)のほうはあまり使わなかった。4年生では、「わたしたちの~」はほぼ使わなかったはず。

どこかに保管してあるはずだが、すぐには出てこない(図書館に行けば見られるけど)。
表紙は、白地に黄緑色(秋田市の色・若草色?)の細かい縦縞模様が入ったような感じで、横書きの手書き風明朝体で「わたしたちの秋田市」と書かれていたような記憶がある。
中身は、県内他地域との比較として、豪雪地帯の山内村(現・横手市山内)と温暖な象潟町(現・にかほ市象潟町)が取り上げられたり、郷土の偉人として防風林【3日訂正】防砂林植樹を行った栗田定之丞が掲載されたりしていた。社会科見学・市内めぐりの事前・事後学習にも使ったはず。


それから40年近く。合併、市街地空洞化、少子高齢化・人口減少などを経験した、わたしたちの秋田市。人口は1989年に30万人を越えたが、2002年から減少(2005年の河辺・雄和合併後も)に転じ、先日、ついに30万人を割った。

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3 コメント

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懐かしいです! (FMEN)
2023-12-02 23:19:14
1994年式でした。
表紙は金足西小学校の水かるた。
広小路のアーケードや古い市場や市営バス、イトーヨーカドー4階のこども広場などもう撮れない写真もたくさん。
これで秋田市の大字を覚えましたし、いなふく米菓の煎餅づくりや中央市場など遠足の題材に。
最後は今後も大都会に向かうなんて希望に満ちた記事が書かれ、秋田自動車道完成や秋田新幹線、港開発などによる未来を外れ予言して終わり。
あとは合併と学校開校年。ちなみに河辺雄和後は追記されてました。

かなりためになる本ですが、特定の地域に取材が偏っていたり秋田温泉などの観光や土崎や浜田の漁業などの産業が抜けていたりというあたりも。
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Unknown (Unknown)
2023-12-03 10:55:22
こういった冊子を市民なり研究者に自由配布できるといいはずですけどね。
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コメントありがとうございます (taic02)
2023-12-03 20:40:12
>FMENさん
明るい未来を目指して、“きらめく北の人間都市あきた“だった頃ですね。
1985年版の細かい中身はまったく記憶にないですが、将来についての具体的な構想はあったかどうか。御所野ニュータウンくらいは出ていたかもしれません。食品工業については習わなかったような。

もう1つ小3社会といえば、我々世代はチョーさんの「たんけんぼくのまち」。
自分の町の産業、他の町との比較、街の将来について取り上げる回もあって、教科書・副読本と連動し、指導要領を踏襲していたことが分かります。

>Unknownさん
転入者が新しい町を理解するのにも役立つでしょう。気軽に見られるようになればいいのですが。
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