新型コロナウイルス感染症のワクチン接種。相変わらず国の見通しや詰めが甘い中、各自治体と医療関係者はほんろうされている。秋田市は高齢者向け(予約開始時の記事)は、まあなんとか進んでいるようだ。
現在の秋田市では、集団接種は、広面の秋田大学医学部体育館と土崎の北部市民サービスセンターが、メイン会場。
どちらも接種以外の利用者も来る施設であるのに加え、接種予約時間のだいぶ前に来てしまう人もいるそうで、駐車場は慢性的に不足。
公共交通機関も鉄道や徒歩だけでは行きづらい場所で、路線バスは予約時間に合わせて行き来できるほど、便利ではなくなった。
そんなわけで、秋田市は対策をした。
土崎では今週から、土崎みなと歴史伝承館裏、旧・チャレンジオフィスあきた(=さらに前は秋田市ガス局庁舎)の駐車場を、接種者臨時駐車場として開放。
そこと会場を結ぶバスを、10分間隔で運行。魁の写真では、貸切専業の工藤興行のマイクロバス。
例えば土崎駅などにも立ち寄れば、より便利そうなものだが、2点を行き来するだけで、車利用者のためだけのようだ。
秋田市ワクチンポータルサイトでは「循環バス」と称しているが、こういうのは「シャトルバス」とか「送迎バス」とするべきではないでしょうか。
バス運行には、当然、費用はかかるわけだが、国に請求できるものなんだろうか。
後述の通り、市がバス会社と直接契約したのではなく、間にJTBが入っている。全国的には接種予約や会場運営も、旅行会社など民間企業に委託しているところがあるが、秋田市のその辺は知らない。
コロナで客が減った、地元バス事業者への支援にはなるし、旅行会社にも、経営支援とともに本業のノウハウを活かしてもらいたいのだろう。
医学部体育館会場も、バスがある。
新聞で報道され、ワクチンサイトにも出ているのが、秋田駅東口と会場のシャトルバス。これはサイトでもそう称している。この件はいったん置いてまた後で。
もう1つが謎のバス。
ワクチンサイトには「秋田大学構内の循環バスのほか(に東口のバスを運行)」という言い回しがある。
これがどうにも分からない。秋大の循環バスなど聞いたことがないし、ネット上にも一切情報がない。【末尾の追記参照】
秋田市保健所保健総務課のメールフォームから「意味が分からない、情報が足りない」と返信不要で送ったのだが、サイトは変わっていない。あちらもたいへん多忙なのは分かるし、なまじJTBが入ってしまってすぐできないのかもしれないけど…
実際には、これも工藤興行のマイクロバスが使われているらしく、医学部敷地内の附属病院正面付近と、敷地内ながら離れて場所が分かりづらい体育館とを結んでいるような感じ。大学病院前の一般路線バスの停留所の裏に乗り場があるので、車で来ても、路線バスで来ても、歩かずに体育館へということなのかもしれない。
再び東口とのバス。30分間隔で運行され、所要15分ほど、若干遅れることもある
ルートは、東口~手形山崎町交差点~手形陸橋の通りは、往復とも共通らしい。
駅行きは未確認だが、体育館行きは、広面小南交差点→広面小学校前→横金線を越えて手形山団地線の通り→大学糠塚宿舎側入口から敷地内へ、というルートのようだ。【10月11日追記】駅行きは、医学部敷地の東側を半周し、路線バス停の隣の出口から公道へ。以降、三吉神社前経由の路線バスと同ルートで手形山崎町まで。
車両の表示
上の「秋田市コロナウイルスワクチン接種会場シャトルバス 様」の札(業界用語で「バスステッカー/ステッカー」と呼ぶそうだ)の右下に「JTB」とある。
下の大きい縦書き両矢印のものは、中央交通本体が受託する、イオンモール秋田のシャトルバスに掲出されるのと同じ形式。
どちらも「秋田大学医学部会場」に言及していないのは、若干問題あり。ほかの接種会場もあるのだし、そこ行きと誤解して乗る人もいないとは言えないのだから。
【8月30日追記・さらに、御所野のイオンモール秋田行きシャトルバスが、同じ乗り場・同じ時刻発となる場合がある。乗り間違えないよう確認を!】
運行初日に、たまたま身内が接種を受けることになっていた。車で行こうか路線バスで行こうかと思っていたが、シャトルバスは本数も多く、帰りに駅前で買い物もできると、喜んで利用した。
結果。体育館直結でとても便利で楽だったが、東口での案内が少なくて、戸惑ったし、ほかにも同様の人がいたとのこと。
そのことも保健総務課へ要望した。これらの点は、当初よりは案内表示(乗り場への看板式の時刻表や、アルヴェ玄関の誘導など)が増やされ、おおむね改善してくれた。
本題は、その車両。報道では「定員20人」とされていた。
こちらは中央交通系列に委託。半日運行の平日でも、1日2台が使われる。
場合によっては、秋田中央交通本体の大型貸切バスが入る日もあるが、多くが、子会社・秋田中央トランスポート(秋田中央観光)の担当。※イオンモールシャトルバスも、火曜日に運行していた当時は、トランスポートが担当することもあった。
ある日の使用車両はこの2台
中央交通本体とは、色づかいは似ているがデザインが異なる「AKITA CHUO KANKO」の、小さい観光バス。観光仕様車には詳しくないので、小型か中型の短尺か微妙なサイズ。
左奥で待機しているのは、公式サイトで「小型スケルトン」と紹介される、正座席24席の車。
こんな2台のほか、たいへん珍しい車も、けっこうな頻度で使われている。
路線バスに混じって異彩を放つ1台
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ボンネットバス!!
と言っても、何十年も前に製造された、ほんとうのボンネットバスではない。まあ、ボンネットは存在し、そこにエンジンが入っているようなので、「ボンネットバス」なのは間違いないが。
ボンネットでない普通のバスを改造し、ボンネットを作ってしまった特装車。結婚式場の送迎とか観光地の路線バスなどでたまに見かける。「レトロバス」と呼ばれることもあるが、「レトロ風/レトロ調」でしょう。
この車は、日産のマイクロバス「シビリアン」を、日産系列の「オーテックジャパン」が改造した、正式には「クラシックバス」と呼ばれるもののようだ。車内はほぼ原型のままらしい。
【11日追記】秋田中央交通グループのバスとしては、唯一の日産車(旧・日産ディーゼルは除く)かもしれない。タクシーでは日産車もあるので、取り引きはあるだろう。
そんな車を、どうして秋田中央トランスポートが持っていて、ワクチン接種会場シャトルバスに使っているのか。
ネット上の情報では、もともとは山形県の庄内交通が、鶴岡市の観光客向け「庄内藩レトロバス」用(+貸切用)に2009年に購入した車。庄内日報サイトによれば、20人乗り750万円(改造費込みなんだろうか? もうちょっとしそうだけど)。
塗装の色合いは、今と同じで、正面上の黄色い部分に太い楷書体で「庄 内 藩」と書いていた。
庄内藩レトロバスは、利用低調で2012年頃で運行終了したらしく、その直後どうしていたかは不明。
その後、秋田中央トランスポートが中古で購入。
庄内交通には、中古バスの仲介をする関連会社があるそうで、中央交通の路線バスの何台かはそこ経由のものがあるそうだけど、庄内交通自身の中古は初めてでしょう。
秋田での用途は、2018年秋に試験運行を開始した、南秋田郡五城目町のコミュニティーバス「きゃどっこ号」。
正面の「庄内藩」跡には「きゃどっこ号」と書かれたが、黄色地に、縁取りが黒いだけで黄色い文字なので、あまり目立たない。だけど、HG創英角ポップ体なので、独特の存在感。
庄内時代には後方に控えめに書かれていた側面窓下は、前寄りに黄色いHG創英角ポップ体で「五城目町コミュニティバス きゃどっこ号」。
運行開始時には、秋田魁新報で「ボンネットバスで運行」と報道されていた。写真も載ったが、ほんとうの古いボンネットバスなのかと、誤解した読者がいそう。
ところが、きゃどっこ号の利用もまた低調で、試験期間内の2019年6月で運行終了。またも使いみちを失ってしまった。
中央交通創業地である五城目は、町内のバス路線がどうにも定着しない。2019年秋には、八郎潟町と大潟村とともに「南秋地域広域マイタウンバス」が運行を開始し、約2年は持っていることになるが、今後はどうなるか。
すっかり忘れていた昨2020年6月頃、NHK秋田のニュースにこの車が映った。
トランスポート社では、県立特別支援学校のスクールバス運行を受託している。車両は県所有の白ナンバーバス(それを受託運行することが可能ならしい)。
新型コロナウイルス感染症流行で、「密」を避けることが求められるようになり、児童生徒の通学時の不安を解消しようと、スクールバスを増車して分散しているという報道。それに抜擢されたのが、元きゃどっこ号だった。その時点で「きゃどっこ号」表示は消え、現在と同じになっていたと思う。
今、正面のナンバープレートの右上に、何かを表示できそうな金属板がある。きゃどっこ号時代にはなかったので、スクールバス関係の識別表示をしていたのか。
スクールバスがその後どうなったか知らないし、存在をまた忘れていた。報道から1年後、今度は秋田駅に現れ、やはりコロナ絡みながら別の用途に使われていた。以前は五城目営業所所属だったが、今は秋田へ転属したのか?
地方のバス事情により2度、役目を失い、コロナウイルス感染症により2度、活躍の場を与えられた、なんとも波乱万丈なバス。トランスポートとしては、きゃどっこ号がポシャった時点で、持て余しているのだろうけど…
通学やワクチン接種という目的で乗るバスが、レトロ調なのはどんな気分でしょう。とりあえず、外からは注目はされる。東口では、待機中の宮城交通の高速バスの運転士さんも降りてきて、見学していた。
個人的には、これに限らず、レトロ風バスは好きではない。
たいていT型フォードみたいな戦前&外国っぽい雰囲気があって、国産の昭和半ばのボンネットバスとは違い、日本の町並みを走っても、懐かしさより違和感が出てしまうと思うので。
なお、能代市二ツ井の第一観光バスでも、大きさや色合いがそっくりな「白神ボンネットバス」を所有していて、2019年からきみまち阪の観光シーズンなどに運行している。
トランスポートのは「秋田200 あ255」、第一観光のは「同258」と別だし、細部の作りは異なる。
運行開始当時の秋田魁新報では、1998年日産製で「九州や群馬県などで観光施設の送迎用」だった中古と、マニアックに紹介していた。
側面
きゃどっこ号を消した跡に「貸切」の用途が表示された。バス協会のNBAシールは、ドア前から後ろに貼り直し。
ツーステップで、運賃箱は残っている。一般のマイクロバスでは、運転席より後ろにドアが来てしまい、運賃収受がスムーズでなくなるが、ボンネット改造では普通のバスのような配置になるのか。
後ろはレトロ感は薄い
きゃどっこ号時代は、リアウインドウ下の黄色い部分に「きゃどっこ号」、下の枠の中に「五城目町コミュニティバス」。
おもしろいのがナンバープレートが付いている部分。木目柄の茶色い箱になっている。庄内時代から変わっていない。
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持ち手が付いて、ベルトが2本巻いてある。「手提げトランク」か。
本来のシビリアンでは、ここが用具などを収納するトランクルームになっている。この車でも鍵穴と開くための取っ手があり、緑の車体ごと上に開きそう。トランクとトランクを掛けたダジャレ?
見た限り、東口シャトルバスの利用者は、皆無のことは少なそうではあるが、せいぜい1~5人程度の乗車。マイクロバスでなくてもワゴン車のジャンボタクシーで済みそう。【13日追記・乗車が短時間で、高齢者や足の悪い人の乗車もあるので、一般路線用のワンステップ/ノンステップ車を使うという手もある。】【9月3日追記・この後、実際にノンステップ路線車も使われていた。末尾追記も参照】
ただ、接種直後に車を運転するのは不安だ(実際の事故の話などは聞こえないが)し、地理不案内や車が使えない人もいる。今後、接種対象年齢が下がっても、ある程度は会場への移動手段を確保してほしい。
そして、日産シビリアン。2021年6月で製造販売を終了したという。
幼稚園や宿泊施設などの送迎バスでよく見かける車なのに、普通のシビリアンも、いずれなくなってしまうのだった。
【8月24日追記】その後、接種する世代が下がると、予約システムが変更されて、アクセスの説明も変更された。
秋田大学医学部会場については、
一方、八橋の秋田市保健センター会場は、
【9月3日追記】9月2日には、トランスポートの小さい貸切車とともに、中央交通の一般路線車両も使われていた。
臨海営業所の小田急中古の中型ノンステップ10-79号車。行き先表示は、イオンモールシャトルと同じ「シャトルバス」表示。【11月3日追記】このほか「貸切」や「秋田中央交通」表示の場合もある。
【9月9日追記】9月9日には、中央交通秋田営業所の一般路線仕様の小型車、日野リエッセ12-69号車が使われていた。前週までは、秋田市中心市街地循環バスの代走に多用されていたが、新車が入ったため、新たな任務。
【10月9日追記】10月6日には、トランスポートの小さい貸切車と、中央交通秋田営業所の一般路線用中型ノンステップ924号車が充当。両車とも、札はJTBロゴがなく秋田中央交通名義。いつの間にかJTBが抜けたのか。
【10月11日追記】レトロ風バスは、トランスポートが受託するスイミングスクールの送迎バスの代走もやっていたようだ。そこそこ使いみちがありそう。
※接種を受けに行った時の記録。
※2022年に、レトロ風バスはまったく別の新たな用途に使われることになった。
現在の秋田市では、集団接種は、広面の秋田大学医学部体育館と土崎の北部市民サービスセンターが、メイン会場。
どちらも接種以外の利用者も来る施設であるのに加え、接種予約時間のだいぶ前に来てしまう人もいるそうで、駐車場は慢性的に不足。
公共交通機関も鉄道や徒歩だけでは行きづらい場所で、路線バスは予約時間に合わせて行き来できるほど、便利ではなくなった。
そんなわけで、秋田市は対策をした。
土崎では今週から、土崎みなと歴史伝承館裏、旧・チャレンジオフィスあきた(=さらに前は秋田市ガス局庁舎)の駐車場を、接種者臨時駐車場として開放。
そこと会場を結ぶバスを、10分間隔で運行。魁の写真では、貸切専業の工藤興行のマイクロバス。
例えば土崎駅などにも立ち寄れば、より便利そうなものだが、2点を行き来するだけで、車利用者のためだけのようだ。
秋田市ワクチンポータルサイトでは「循環バス」と称しているが、こういうのは「シャトルバス」とか「送迎バス」とするべきではないでしょうか。
バス運行には、当然、費用はかかるわけだが、国に請求できるものなんだろうか。
後述の通り、市がバス会社と直接契約したのではなく、間にJTBが入っている。全国的には接種予約や会場運営も、旅行会社など民間企業に委託しているところがあるが、秋田市のその辺は知らない。
コロナで客が減った、地元バス事業者への支援にはなるし、旅行会社にも、経営支援とともに本業のノウハウを活かしてもらいたいのだろう。
医学部体育館会場も、バスがある。
新聞で報道され、ワクチンサイトにも出ているのが、秋田駅東口と会場のシャトルバス。これはサイトでもそう称している。この件はいったん置いてまた後で。
もう1つが謎のバス。
ワクチンサイトには「秋田大学構内の循環バスのほか(に東口のバスを運行)」という言い回しがある。
これがどうにも分からない。秋大の循環バスなど聞いたことがないし、ネット上にも一切情報がない。【末尾の追記参照】
秋田市保健所保健総務課のメールフォームから「意味が分からない、情報が足りない」と返信不要で送ったのだが、サイトは変わっていない。あちらもたいへん多忙なのは分かるし、なまじJTBが入ってしまってすぐできないのかもしれないけど…
実際には、これも工藤興行のマイクロバスが使われているらしく、医学部敷地内の附属病院正面付近と、敷地内ながら離れて場所が分かりづらい体育館とを結んでいるような感じ。大学病院前の一般路線バスの停留所の裏に乗り場があるので、車で来ても、路線バスで来ても、歩かずに体育館へということなのかもしれない。
再び東口とのバス。30分間隔で運行され、所要15分ほど、若干遅れることもある
ルートは、東口~手形山崎町交差点~手形陸橋の通りは、往復とも共通らしい。
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上の「秋田市コロナウイルスワクチン接種会場シャトルバス 様」の札(業界用語で「バスステッカー/ステッカー」と呼ぶそうだ)の右下に「JTB」とある。
下の大きい縦書き両矢印のものは、中央交通本体が受託する、イオンモール秋田のシャトルバスに掲出されるのと同じ形式。
どちらも「秋田大学医学部会場」に言及していないのは、若干問題あり。ほかの接種会場もあるのだし、そこ行きと誤解して乗る人もいないとは言えないのだから。
【8月30日追記・さらに、御所野のイオンモール秋田行きシャトルバスが、同じ乗り場・同じ時刻発となる場合がある。乗り間違えないよう確認を!】
運行初日に、たまたま身内が接種を受けることになっていた。車で行こうか路線バスで行こうかと思っていたが、シャトルバスは本数も多く、帰りに駅前で買い物もできると、喜んで利用した。
結果。体育館直結でとても便利で楽だったが、東口での案内が少なくて、戸惑ったし、ほかにも同様の人がいたとのこと。
そのことも保健総務課へ要望した。これらの点は、当初よりは案内表示(乗り場への看板式の時刻表や、アルヴェ玄関の誘導など)が増やされ、おおむね改善してくれた。
本題は、その車両。報道では「定員20人」とされていた。
こちらは中央交通系列に委託。半日運行の平日でも、1日2台が使われる。
場合によっては、秋田中央交通本体の大型貸切バスが入る日もあるが、多くが、子会社・秋田中央トランスポート(秋田中央観光)の担当。※イオンモールシャトルバスも、火曜日に運行していた当時は、トランスポートが担当することもあった。
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中央交通本体とは、色づかいは似ているがデザインが異なる「AKITA CHUO KANKO」の、小さい観光バス。観光仕様車には詳しくないので、小型か中型の短尺か微妙なサイズ。
左奥で待機しているのは、公式サイトで「小型スケルトン」と紹介される、正座席24席の車。
こんな2台のほか、たいへん珍しい車も、けっこうな頻度で使われている。
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と言っても、何十年も前に製造された、ほんとうのボンネットバスではない。まあ、ボンネットは存在し、そこにエンジンが入っているようなので、「ボンネットバス」なのは間違いないが。
ボンネットでない普通のバスを改造し、ボンネットを作ってしまった特装車。結婚式場の送迎とか観光地の路線バスなどでたまに見かける。「レトロバス」と呼ばれることもあるが、「レトロ風/レトロ調」でしょう。
この車は、日産のマイクロバス「シビリアン」を、日産系列の「オーテックジャパン」が改造した、正式には「クラシックバス」と呼ばれるもののようだ。車内はほぼ原型のままらしい。
【11日追記】秋田中央交通グループのバスとしては、唯一の日産車(旧・日産ディーゼルは除く)かもしれない。タクシーでは日産車もあるので、取り引きはあるだろう。
そんな車を、どうして秋田中央トランスポートが持っていて、ワクチン接種会場シャトルバスに使っているのか。
ネット上の情報では、もともとは山形県の庄内交通が、鶴岡市の観光客向け「庄内藩レトロバス」用(+貸切用)に2009年に購入した車。庄内日報サイトによれば、20人乗り750万円(改造費込みなんだろうか? もうちょっとしそうだけど)。
塗装の色合いは、今と同じで、正面上の黄色い部分に太い楷書体で「庄 内 藩」と書いていた。
庄内藩レトロバスは、利用低調で2012年頃で運行終了したらしく、その直後どうしていたかは不明。
その後、秋田中央トランスポートが中古で購入。
庄内交通には、中古バスの仲介をする関連会社があるそうで、中央交通の路線バスの何台かはそこ経由のものがあるそうだけど、庄内交通自身の中古は初めてでしょう。
秋田での用途は、2018年秋に試験運行を開始した、南秋田郡五城目町のコミュニティーバス「きゃどっこ号」。
正面の「庄内藩」跡には「きゃどっこ号」と書かれたが、黄色地に、縁取りが黒いだけで黄色い文字なので、あまり目立たない。だけど、HG創英角ポップ体なので、独特の存在感。
庄内時代には後方に控えめに書かれていた側面窓下は、前寄りに黄色いHG創英角ポップ体で「五城目町コミュニティバス きゃどっこ号」。
運行開始時には、秋田魁新報で「ボンネットバスで運行」と報道されていた。写真も載ったが、ほんとうの古いボンネットバスなのかと、誤解した読者がいそう。
ところが、きゃどっこ号の利用もまた低調で、試験期間内の2019年6月で運行終了。またも使いみちを失ってしまった。
中央交通創業地である五城目は、町内のバス路線がどうにも定着しない。2019年秋には、八郎潟町と大潟村とともに「南秋地域広域マイタウンバス」が運行を開始し、約2年は持っていることになるが、今後はどうなるか。
すっかり忘れていた昨2020年6月頃、NHK秋田のニュースにこの車が映った。
トランスポート社では、県立特別支援学校のスクールバス運行を受託している。車両は県所有の白ナンバーバス(それを受託運行することが可能ならしい)。
新型コロナウイルス感染症流行で、「密」を避けることが求められるようになり、児童生徒の通学時の不安を解消しようと、スクールバスを増車して分散しているという報道。それに抜擢されたのが、元きゃどっこ号だった。その時点で「きゃどっこ号」表示は消え、現在と同じになっていたと思う。
今、正面のナンバープレートの右上に、何かを表示できそうな金属板がある。きゃどっこ号時代にはなかったので、スクールバス関係の識別表示をしていたのか。
スクールバスがその後どうなったか知らないし、存在をまた忘れていた。報道から1年後、今度は秋田駅に現れ、やはりコロナ絡みながら別の用途に使われていた。以前は五城目営業所所属だったが、今は秋田へ転属したのか?
地方のバス事情により2度、役目を失い、コロナウイルス感染症により2度、活躍の場を与えられた、なんとも波乱万丈なバス。トランスポートとしては、きゃどっこ号がポシャった時点で、持て余しているのだろうけど…
通学やワクチン接種という目的で乗るバスが、レトロ調なのはどんな気分でしょう。とりあえず、外からは注目はされる。東口では、待機中の宮城交通の高速バスの運転士さんも降りてきて、見学していた。
個人的には、これに限らず、レトロ風バスは好きではない。
たいていT型フォードみたいな戦前&外国っぽい雰囲気があって、国産の昭和半ばのボンネットバスとは違い、日本の町並みを走っても、懐かしさより違和感が出てしまうと思うので。
なお、能代市二ツ井の第一観光バスでも、大きさや色合いがそっくりな「白神ボンネットバス」を所有していて、2019年からきみまち阪の観光シーズンなどに運行している。
トランスポートのは「秋田200 あ255」、第一観光のは「同258」と別だし、細部の作りは異なる。
運行開始当時の秋田魁新報では、1998年日産製で「九州や群馬県などで観光施設の送迎用」だった中古と、マニアックに紹介していた。
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きゃどっこ号を消した跡に「貸切」の用途が表示された。バス協会のNBAシールは、ドア前から後ろに貼り直し。
ツーステップで、運賃箱は残っている。一般のマイクロバスでは、運転席より後ろにドアが来てしまい、運賃収受がスムーズでなくなるが、ボンネット改造では普通のバスのような配置になるのか。
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きゃどっこ号時代は、リアウインドウ下の黄色い部分に「きゃどっこ号」、下の枠の中に「五城目町コミュニティバス」。
おもしろいのがナンバープレートが付いている部分。木目柄の茶色い箱になっている。庄内時代から変わっていない。
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持ち手が付いて、ベルトが2本巻いてある。「手提げトランク」か。
本来のシビリアンでは、ここが用具などを収納するトランクルームになっている。この車でも鍵穴と開くための取っ手があり、緑の車体ごと上に開きそう。トランクとトランクを掛けたダジャレ?
見た限り、東口シャトルバスの利用者は、皆無のことは少なそうではあるが、せいぜい1~5人程度の乗車。マイクロバスでなくてもワゴン車のジャンボタクシーで済みそう。【13日追記・乗車が短時間で、高齢者や足の悪い人の乗車もあるので、一般路線用のワンステップ/ノンステップ車を使うという手もある。】【9月3日追記・この後、実際にノンステップ路線車も使われていた。末尾追記も参照】
ただ、接種直後に車を運転するのは不安だ(実際の事故の話などは聞こえないが)し、地理不案内や車が使えない人もいる。今後、接種対象年齢が下がっても、ある程度は会場への移動手段を確保してほしい。
そして、日産シビリアン。2021年6月で製造販売を終了したという。
幼稚園や宿泊施設などの送迎バスでよく見かける車なのに、普通のシビリアンも、いずれなくなってしまうのだった。
【8月24日追記】その後、接種する世代が下がると、予約システムが変更されて、アクセスの説明も変更された。
秋田大学医学部会場については、
【シャトルバス】
秋田駅東口5番乗り場より、会場へ直通のシャトルバスをご利用ください。
【路線バス】
手形山経由大学病院秋田駅西口12番線→手形山団地→大学病院前
赤沼、太平、松崎団地、各線秋田駅西口11番線→三吉神社前→谷内佐渡→大学病院前
赤沼線秋田駅東口2番線→碇→南団地→大学病院前
路線バス乗り場から接種会場の「医学部体育館」までは、構内の巡回バスをご利用ください。
と詳細に。やっと医学部構内バスが説明された。路線バスは経由地まで示してやたら丁寧だけど、今は経路が変わって、西口→大学病院では谷内佐渡は通らなくなったのですが…秋田駅東口5番乗り場より、会場へ直通のシャトルバスをご利用ください。
【路線バス】
手形山経由大学病院秋田駅西口12番線→手形山団地→大学病院前
赤沼、太平、松崎団地、各線秋田駅西口11番線→三吉神社前→谷内佐渡→大学病院前
赤沼線秋田駅東口2番線→碇→南団地→大学病院前
路線バス乗り場から接種会場の「医学部体育館」までは、構内の巡回バスをご利用ください。
一方、八橋の秋田市保健センター会場は、
中央交通 寺内経由土崎線 秋田駅から15分
(秋田市保健所・サンライフ秋田前下車)
市役所から徒歩約10分
医学部に比べて大雑把。市役所から歩かせるのならば、路線バスなら本数が多い、県立体育館前も挙げるべき。(秋田市保健所・サンライフ秋田前下車)
市役所から徒歩約10分
【9月3日追記】9月2日には、トランスポートの小さい貸切車とともに、中央交通の一般路線車両も使われていた。
臨海営業所の小田急中古の中型ノンステップ10-79号車。行き先表示は、イオンモールシャトルと同じ「シャトルバス」表示。【11月3日追記】このほか「貸切」や「秋田中央交通」表示の場合もある。
【9月9日追記】9月9日には、中央交通秋田営業所の一般路線仕様の小型車、日野リエッセ12-69号車が使われていた。前週までは、秋田市中心市街地循環バスの代走に多用されていたが、新車が入ったため、新たな任務。
【10月9日追記】10月6日には、トランスポートの小さい貸切車と、中央交通秋田営業所の一般路線用中型ノンステップ924号車が充当。両車とも、札はJTBロゴがなく秋田中央交通名義。いつの間にかJTBが抜けたのか。
【10月11日追記】レトロ風バスは、トランスポートが受託するスイミングスクールの送迎バスの代走もやっていたようだ。そこそこ使いみちがありそう。
※接種を受けに行った時の記録。
※2022年に、レトロ風バスはまったく別の新たな用途に使われることになった。
観光じゃなくワクチンでしょ、と。
遠足使用で全車がワンロマの意識をもてと設計された市営バスと違い中央交通は設計が厳しかったのでしょうが。
(市営なら秋田八丈や羽後風塗装ワンロマが「会場ゆき」の幕を出して走らせたかな)
中央交通がムリなら秋田観光や浮田グループに依頼しても良かったのでは?
実態を見れば、ワゴンタクシーを基本とした運用にしたほうが、無駄がない気がします。
あるいは普通の路線バス用車両でも充分かもしれません。ノンステップで乗降しやすいし。
医学部会場に限れば、路線バスがだいぶ減らされてしまって、土日を中心にかなり待たされる事態もあるという問題はありますが。