麒麟琳記〜敏腕Pの日々のつぶやき改題

還暦手前の身の回りのこまごま。
スポーツや映画演劇など。

転宅

2019年09月26日 | 俳優座
アリにパンダに鳩にツバメ……etc.
引越業者のマークはきっともっとある。
それはまた競争の激しさを物語る。
   

昔は親戚やご近所の力で行うもの。
で、時代そのものも長閑だったから、
荷台に人が乗るのは当たり前。
箱車はまだ希有で、平ボディが大半。
シートもたやすく手に入らず、
毛布やロープで押さえるわけだけれど、
完全には効かないから人の手で……
という理由に加えて、転居先に移動する
自家用車に乗り切れない者を運ぶ
という側面もあったと記憶している。

高度経済成長期
一家に一台マイカーがある時代では、
まだなかった1960年代後半の話だ。

私は二歳。
川崎市川崎区藤崎から同市麻生区王禅寺へ。
その道すがら、やかんが転がり落ちて、
道路を跳ねて去っていく画像が
(実際は車が猛スピードで
やかんを置き去りにしたのだが……)
私のまなこに強く焼き付いている。

大好きだった美津枝お姉ちゃん
・・・実の姉ではなく、親戚でもない
ご近所の少し年上の幼なじみ・・・
との訣別が、やかんのカランコロンと
結びついている。……というか、
彼女とバイバイした絵は記憶にない。
何故なのだろう? 説明が難しいが
でも、この拙文を読んで、
頷く方も多いように思わないでもない。

以上長いイントロダクション。



劇団俳優座は、長年お世話になった
北戸田の倉庫から寄居へ、今日転宅。

♪親父が初めて負けて 大きな家を払った♪

さだまさしの『転宅』は、
事業に失敗した父が屋敷を手放し、
家族でちいさな借家住まいになる
・・・という、普通は歌にしない世界を
詩情豊かに描いてみせた。
それはそれとして。

多くの劇団が大道具などの倉庫を、
都内近郊から群馬や山梨へと移している。
それはかなり前からの傾向で、
道具や衣装に相応の規模と、
その費用対効果を考えれば当然だ。



さて、アウトロダクション。
寄居……最寄駅でいえば小川町に向け、
単身東武東上線で下ったのだけれど。

やかんのカランコロンから約20年後、
私は大学へ通うのに、白地に青いラインの
東上線を使うことになるのだった。
キャンパスのあった朝霞台、
その周辺駅には下宿組の友人宅、
さらには体育の授業のあった鶴ヶ島
・・・それらを通り越した場所が
俳優座の新たな倉庫になった。

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