図書館から借りていた、葉室麟著 「蝶のゆくへ」(集英社)を読み終えた。
本書は、旧仙台藩士星喜三郎の三女として生まれた星りょう(後の相馬黒光)を主人公にして、自分らしく生きたいと願い、新しい生き方を希求した、明治時代の女性達の、希望と挫折、喜びと葛藤を、感動的に描いた長編歴史小説だった。
読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。
▢目次
第一章 アンビシャスガール
第二章 煉獄(れんごく)の恋
第三章 かの花今は
第四章 オフェリアの歌
第五章 われにたためる翼あり
第六章 恋に朽ちなむ
第七章 愛のごとく
▢主な登場人物
星りょう(相馬りょう、相馬黒光)・相馬愛蔵・俊子・安雄・千香・襄二、
斎藤冬子、石川梅代、町田辰子、尾花梅代、小平小雪、
巌本善治・賤子(若松賤子)・清子・荘民(まさひと)・民子、
北村透谷(北村門太郎)・美那子、
島崎藤村(島崎春樹)、佐藤輔子(すけこ)、鹿討(ししうち)豊太郎、
諏訪より子(芸者小蝶)
国木田独歩・信子(佐々城信子)・浦子、
佐々城本支・豊寿(美穂)・愛子・義江、
武井勘三郎・
有島武郎、武者小路実篤、
勝海舟・民子・小鹿・四郎・夢・孝子・逸子・八重・義徴・たえ、
増田糸・小西かね・香川とよ
梶玖磨(勝海舟の三男)・梶クララ(クララ・ホイットニー)
星野天知、島貫兵太夫、
片倉奈緒、沖津美紗子、佐藤稠松(加藤重松)、
三宅花圃(田辺花圃)、半井桃水、
樋口一葉、斎藤緑雨、
津田梅子、
瀬沼恪三郎・瀬沼夏葉(山田郁子)・ニコライ・アントレーエフ・文代子(ふよこ)
荻原守衛(荻原碌山)、高村光太郎、
▢あらすじ等
その利発さから「アンビシャスガール」と呼ばれた星りょうは、自分らしく生きたい、
何事かをなしたいと願い、明治28年(1895年)に、東京の明治女学校へ入学する。
女子教育向上を掲げる校長の巌本善治から「蝶として飛び立つあなた方を見守るのがわたしの
役目」と語りかけられ、夢と希望を胸に、学び舎に飛び込むが・・・。
明治女学校の生徒、斎藤冬子と教師、北村透谷の間に生まれた悲恋とは?。
夫・国木田独歩のもとから逃げたりょうの従妹・佐々城信子が辿った道のりは?、
義父の勝海舟との間に男女の関係を越えた深い愛と信頼を交わした英語教師の
クララ・ホイットニーとの出会い。
校長・巌本善治の妻であり、病を抱えながらも翻訳家、作家として活躍した若松賤子とは?、
賤子に憧れ、その病床へ見舞いに訪れた樋口一葉との出会いと別れ。
明治女学校を卒業したりょう、相馬愛蔵との結婚への迷いを吹っ切るが・・・。
信州穂高での養蚕業で心身困憊し、再び上京、パン屋を開業、
そこは、美術家や文学者出入りのサロンとなり、
多くの人達との出会いと離別死別と向き合いながら生き、りょうは、昭和30年、78歳で
生涯を終える。