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葉室麟著 「暁天の星」

2025年01月09日 20時20分52秒 | 読書記

図書館から借りていた、葉室麟著 「暁天の星(ぎょうてんのほし)」(PHP)を読み終えた。
本書には、故・葉室麟氏が、最期に「これだけは書いておきたい」と願い、病と闘いながら書き続けたとされる長編の「暁天の星」と、特別収録として、短編の「乙女がゆく」が、収録されている。


読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう老脳。
読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、
その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に、書き留め置くことにしている。



▢目次
  「暁天の星」 (一)~(十八)
  特別収録 「乙女がゆく」
  解説 細谷正充
  刊行によせて 葉室涼子


「暁天の星」

▢主な登場人物
 陸奥宗光(むつむねみつ、伊達小次郎)・亮子(りょうこ)・清子、
 伊藤博文・梅子、勝海舟、木戸孝允(桂小五郎)、大久保利通、西郷隆盛、
 岩倉具視、大隈重信、
伊藤馨・武子、大山巌・捨松、板垣退助、福沢諭吉、
 伊藤祐享、
戸田極子(きわこ)、
 馬場辰猪(ばばたつい)、川上操六、
 坂本龍馬、中岡慎太郎
▢あらすじ等
 本書の主人公は、陸奥宗光。幕末に、徳川御三家の紀州藩の藩士伊達宗広の第6子として
 生まれたが脱藩、
 坂本龍馬に愛され、海援隊で頭角を現し、明治新政府では県知事などを務めたが、政府転覆を
 企てたとして投獄されてしまい、不遇の時代を経て、明治新政府で外交官として、その才能を
 花開かせた人物。
 第二次伊藤博文内閣では、外務大臣として欧米列強と対峙し、不平等条約の改正に尽力した。
 日本の尊厳を賭けて強国に挑んだ陸奥の気概が描かれている。
 不平等条約改正、鹿鳴館、外交、赤煉瓦造り、銀座、自由民権運動、駐米公使、独立戦争、
 日英通商航海条約、日清戦争、
   「目指す頂はひとつでも、登る道はいくつも有るぜよ」
   「おまん、ちいとやりすぎちょる」、
   龍馬なら、痛快だと思ってくれるだろうか。叱るだろうか。

   博文が言う。
   「わしらはこれから国民の大きな欲望を抱えて奔ることになるぞ」
   もし、そうだとすると、そうならないために、
   自分は暁に輝く明けの明星として、国家の行く末を照らさねばならない。
   陸奥はそう思った。
   明治28年3月下旬、下関で講和会議が始まった。陸奥は講和交渉に臨んだ。
   新たな闘いの始まりだった。
で終わっており、「未完」となっている。
本書は、歴史的事実記載多く、他の葉室麟著の時代小説とは、やや作風が異なっているが、
著者が、最後に本当に伝えたかったこと、「日本の近代化とは何か」を、溢れる想いで描いている作品だ。

著者のご令嬢葉室亮子氏は「刊行によせて」の中で、
  陸奥宗光の半生を描こうとした「暁天の星」は、明治維新を問う、父にとって欠かすことの
  出来ない小説でした。条約改定に取り組む陸奥と、その心に寄り添い支え続けた妻亮子を
  通して、
幕末から明治時代にかけて日本の歴史がどのように動いたのかが描かれています。
  読むだけで心が暗くなってしまうような戦争の悲惨な事実に目を背けず、日本の歴史と
  正面から向き合い、その意味を考えること、それが父の望んだことなのかもしれません。

と、記述されている。


「乙女がゆく」

▢主な登場人物
 坂本竜馬・お龍(おりょう)、
 乙女・岡上樹庵、
 お登勢(寺田屋女将)、
 平井かほ、千葉さな子、
 木戸孝允(木戸貫治、桂小五郎)、西郷隆盛(吉之助)、
▢あらすじ等
 薩長同盟工作中の坂本竜馬が投宿していた京の寺田屋に、突然、竜馬の姉乙女が、土佐から
 訪ねてきて、お龍、お登勢と対面、乙女の一面を描いている短編作品。

   「ほなら、寺田屋はその門出どすな」
   お登勢はうなずいた。なぜか目に涙がたまっていた。
   乙女も涙ぐみそうになったが、ひとに泣き顔を見られるのは嫌だった。
   立ち上がると笠を手に土間を降りた。


 


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