図書館から借りていた、藤沢周平著 「花のあと」(文春文庫)を読み終えた。本書には、表題の「花のあと」の他、「鬼ごっこ」「雪間草」「寒い灯」「疑惑」「旅の誘い」「冬の日」「悪癖」の短編時代小説8篇が収録されている。
読んでも読んでも、そのそばから忘れてしまう爺さん、読んだことの有る本を、うっかりまた借りてくるような失態を繰り返さないためにも、その都度、備忘録として、ブログ・カテゴリー「読書記」に 書き留め置くことにしている。
「鬼ごっこ」
主な登場人物・吉兵衛、おやえ、南岳坊、おきぬ、小山宇右衛門(定町廻り同心)、政吉(岡っ引)、半左衛門(蝮の市蔵)
吉兵衛が場末の岡場所から身請けしたおやえが殺された。何故?、誰が?、元むささびの吉と呼ばれていた吉兵衛は・・。
「しかし、むささびの吉が姿を消してから10年にもなるし、大体人殺しはしなかった男だ」「しかし、匂います」
「雪間草」
主な登場人物・松仙(凰光院、松江)、服部吉兵衛、谷村新左衛門、寺井権三郎、信濃守勝統、白幡蔵之助、
藩主信濃守勝統の側妾だった松江は、10年前に世を捨て凰光院、女僧松仙としてほそぼそ暮らしていたが、元許嫁だった服部吉兵衛が、罪を犯したとして、国送りされ、監禁され、切腹命令が出されると聞き・・・、江戸へ助命嘆願に。男勝り、豪力の松仙は、
「あ、つ、つと言って信濃守は腰を浮かせた。はなせ、何をするか、これ、はなさんか、お松・・ご返答は、いかがですか、わかった、わかった、とにかく手をはなせ」・・・これで、一区切りがついたと、松仙は思った。服部吉兵衛のことも、信濃守とのことも・・・。
「寒い灯」
主な登場人物・清太、おせん、おかつ、喜三郎、
姑おかつ(清太の実母)と馬が合わず家を飛び出したおせんが、おかつが病気になったことを景気に、心が動く物語。
「帰ろうか・・・、と、はじめて思った」、「おせんは、来た道を、とぼとぼもどった。永堀町の家の障子に映る灯影が、次第にあたたかくまたたくのを感じていた」
「疑惑」
主な登場人物・笠戸孫十郎(定町廻り同心)、伊勢蔵(岡っ引)、河内屋庄兵衛、おるい、鉄之助、神谷三斎(祈祷師)
定町廻り同心笠戸孫十郎が、蝋燭問屋河内屋主人庄兵衛殺しの真犯人を突き止める推理小説的物語。
「おるいは、かすかに笑った。殺さなくとも、あの人は抜け殻のような、かわいそうな人でしたもの・・・月のない暗い夜で、孫十郎の気分は闇が心の中にまで押し入ってきたように、暗く重くなっていた」
「旅の誘い」
主な登場人物・安藤広重(徳太郎、安藤重右衛門、鉄蔵、一幽斎広重、一立斎広重)、竹内孫八、池田英泉、北斎、歌川豊広、
浮世絵師安藤広重の視点から、版元、絵師仲間等との関わり合い、事情等を描いた物語。父母が死去、定火消同心安藤源右衛門の養子となった徳太郎が、家督を継ぎ、定火消同心安藤重右衛門となったが、祖父安藤十右衛門に子が出来たため、直系の仲次郎に家督を譲り、居候のような立場になってしまった広重。歌川豊広に弟子入りし、内職のように絵を描いていたが、「東海道五十三次」が売れ出した。
町絵師として、一介の町人として、この女と二人で暮らすのだ、と思った。
「先生、旅に出ませんか・・・」・・・あんたは淋しい人だと英泉は言ったが、淋しい人間として、今度は木曽街道を歩いてもよいと思った」
「冬の日」
主な登場人物・清次郎、おいし、善六、政吉、
清次郎が、偶然に入った飲み屋に、昔奉公していた店但馬屋の娘おいしがいた。半信半疑だったが、気にかかり、半月後再会、お互いに紆余曲折、苦労を重ねてきたことを知ることになり・・・、
「そのおいしが清次郎の小さな店先に、ひょっこり姿を現したのは、師走に入って10日ほど経ったころだった・・・」
「悪癖」
主な登場人物・渋谷平助、茂登(平助の妻女)、帯屋助左衛門、内藤惣十郎、服部内蔵助(中老)、萩原十内、
飲み過ぎると誰彼構わず相手の顔を嘗めるという悪癖が有る渋谷平助を描いたユーモラスな物語。家禄35石という小禄の渋谷家入婿の平助は、算盤は確か、口が固いことで通る勘定方だったが、藩の派閥争いの中、河川改修工事の不正調査を命じられ・・・、
「中老は高笑いした。・・・・、とてもこれ以上はがまんできない。「おもしょい」、ほとんどわめくように平助は言った・・・・」
「花のあと」
主な登場人物・寺井以登、甚左衛門(以登の父親)、江口孫四郎、加世、藤井勘解由、加納幾之助、津勢、片桐才助(以登の許嫁、後の寺井甚左衛門)、おふさ、
老女以登が、「祖母(ばば)は・・」の語り口で、外孫加納幾之助に、若かった頃の話を聞かせる形式の物語である。娘盛りを剣の道に生きた以登にも、秘かに想う相手がいた。二ノ丸の花見で声を掛けられた、羽賀道場随一の遣い手江口孫四郎だった。その孫四郎が自裁、その真相は?、許せぬ。夕雲流の以登、藤井勘解由を呼び出し・・。風采の上がらない許嫁片桐才助が入婿、後に筆頭家老にまでなるという筋書きである。
「祖母(ばば)は、それっきり、花見にいかんなんだ」、「江口孫四郎と出会ったときの二ノ丸の花は、ありありと目に残っているが、その後は、花盛りを見ても、さびしい色に見え、花が終わったあとのように、気持ちまでしんしんとさびしくなるばかりじゃった。祖母(ばば)の花の季節も終わったせいであろうかの」
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