足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラと、ページを捲ってみたところ、なかなか、詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、正月になると、必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからである。
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、昨年、一昨年、「春」「夏」「秋」「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログに書き留めたが、今回は、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、書き留めてみようと思っているところだ。
(ネットから拝借画像)
百人一首で「恋」を詠んだ歌 その1
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に あはむとぞ思う
出典 詞花集(巻七)
歌番号
77
作者
崇徳院(すとくいん)
歌意
川の瀬の流れが速いので、岩にせき止められる急流が
二つに分かれても、結局はまた一つに合流するように
私とあなたとの仲が、人に妨害されて、
例え別れることがあっても、
後にはまた必ず一緒になろうと思っているよ
注釈
「瀬をはやみ」・・川の瀬が速いこと。「瀬」とは、浅く流れが急な所。
「岩にせかるる」・・岩にせき止められる。
「滝川の」・・急流のこと。上から流れ落ちる滝とは限らない。
ここでは、二人の恋の激情を意味している。
「われても」・・「水が割れる」、「仲が割れる」の意を掛けている。
「あはむとぞ思う」・・「あは」は、水の流れが「合う」ことと、
二人が「逢う」ことを掛けている。
「む」は、意思の助動詞。
末には、きっと逢おうよという強い意思が込められ、
男性的気勢がこもった作品になっている
崇徳院(すとくいん)
第75代天皇、
鳥羽天皇の第1皇子、わずか5歳で即位、
在位18年で退位、
弟の後白河天皇と対立し、保元の乱を起こしたが敗れて、
讃岐国(香川県)に流され、その地で没した。
参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)
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