たけじいの気まぐれブログ

記憶力減退爺さんの日記風備忘雑記録&フォト

有馬山 猪名の笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやはする

2023年11月04日 09時53分53秒 | 懐かしい小倉百人一首

足腰大丈夫な内に、出来る限り不要雑物整理をしようと決心してから久しいが、正直あまり捗っていない。書棚や天袋、押入れ等に詰め込まれていた古い書籍や辞書、百科事典等の類も、ここ数年間で大胆に整理処分してきたつもりだが、中には、「これ、面白そう?」等と目に止まり、残してしまったものも結構有る。その中のひとつに、多分、長男か次男かが、学生時代に使っていたものに違いない、小町谷照彦著 文英堂の「小倉百人一首」(解説本・参考書)が有る。パラパラとページを捲ってみたところ、なかなか詳しく、分かりやすく、決して、「今更 向学心?」なーんてものではなく、子供の頃、作者や歌意も分からないまま、「けふ、けふ、けふ・・」「なほ、なほ、なほ・・・」等と、正月になると必ず家族でやっていた「百人一首かるた取り」を思い出して懐かしくなってしまったからで、今更になって、「へー!、そういう歌だったのか・・」、目から鱗・・になっているところだ
「小倉百人一首」は、奈良時代から鎌倉時代初期までの百人の歌人の歌を、藤原定家の美意識により選び抜かれた秀歌であるが、時代が変わっても、日本人の心情が呼び起こされるような気がしてくる。
ブログネタに?、頭の体操に?、いいかも知れない等と思い込んでしまい、2~3年前、「春」、「夏」、「秋」、「冬」、季節を詠んだ歌を取り上げて、ブログ・カテゴリー 「懐かしい小倉百人一首」に書き留めたが、続いて、最も数の多い、「恋」を詠んだ歌を取り上げて、順不同、ボツボツ、書き留めてみることにしている。
しばらく中断していたが、秋も深まりつつある季節、再開することにした。


百人一首で「恋」を詠んだ歌 その34

有馬山 猪名の笹原 風吹けば
いでそよ人を 忘れやはする

出典
後拾遺集(巻十二)

歌番号
58

作者
大弐三位

歌意
有馬山の麓の猪名の笹原に風が吹くと
笹の葉が、「そよ」と音を立てますが
さて、そのことですよ、
そよそよ揺れて不安定なのは、あなたの心で
私があなたのことを忘れましょうか。
(いーえ、決して忘れはしませんよ)

注釈
「有馬山(ありまやま)」は、神戸市有馬温泉地域の山の総称、
「猪名(ゐな)」は、兵庫県川辺郡から尼崎市に流れる猪名川付近の野のこと、
笹の葉が風で鳴る音を表す擬声語が「そよ」であることから
「有馬山猪名の笹原風吹けば」が、
次の「そよ」の序詞(じょことば)になっている。
「いでそよ」は、「さあ、それですよ」の意、

「いで」は、感動詞、「そ」は、指示代名詞、「よ」は、感動の終助詞、
「人を忘れやはする」の「人」は、相手の男性を指している。

「やは」は、反語を意の係助詞、

後拾遺集の「詞書(ことばがき)」には
冷たくなって離れかけた男性から、
女性(作者)が、「心が不安定だ」と言われ、
それに対して、詠み贈った歌であると記されている。
「猪名(いな)」に、「否(いな)」を響かせ、
「いでそよ」と強く言いなしているところに
反発の意志が込められている。


大弐三位(だいにのさんみ)

藤原宣孝(のぶたか)と紫式部の娘、
実名 藤原賢子(かたこ)
正三位(しょうさんみ)・大宰大弐(だざいのだいに)であった
高階成章(たかしなのなりあきら)の妻となったことから、
大弐三位(だいにのさんみ)と呼ばれた。


参照・引用
小町谷照彦著「小倉百人一首」(文英堂)


(つづく)


コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 「旅愁」(再) | トップ | 古い写真から蘇る思い出の山... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
幾つになっても勉強ですね (onecat01)
2023-11-04 11:51:43
 たけじい殿

 普通の恋歌と思っていましたので、貴方の説明を読み、「ああ、そう言うことだったのか」と納得しました。

 勉強をさせていただき、一つ賢くなれました。感謝します。
返信する
onecat01さん、こんにちは、 (takezii)
2023-11-04 12:30:38
和歌の歌意等を考えるなんてことは、学生の頃のテストの時だけだったような気がしますね。
今更、覚えられませんが、脳トレのつもりで、ブログに書き留めている次第です。
コメントいただき有難うございます。
返信する

コメントを投稿

懐かしい小倉百人一首」カテゴリの最新記事