古民家ギャラリーうした・ガレッジ古本カフェ便り

古民家ギャラリーうしたと隣のガレッジ古本カフェで催している作品展、日々の発見!、書評、詩などを紹介していきます。

野火   大岡昇平

2025-01-14 11:39:43 | 小説の紹介

こういう古い本をディグってると、やはり、

 

大きな発見がある。それは、人生と云う歴史

 

であり、それは、決して見逃せないものだ。

 

ぼくは、文章修行だと思って、このブログ

 

を運営しているが、と云っても、ただ、ア

 

ップしているだけだが。

 

今日のお作品はとても古いですよ。そ

 

して、未だに読み継がれている伝説的な作品

 

です。

 

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野火 新潮文庫   昭和二十七年

 

これは多分に、創作が入っているのだな、と思った

 

のは、大岡氏の戦後の動向で、愛人を囲ったりして、

 

妻が自殺したりしていることにある、と云える。

 

所謂、昭和の文豪クソ野郎である。

 

本書はもの凄い作品である。力強いし、作品として、

 

伝説になっている通り秀でている。或る意味、詩的だし、

 

文章が立体的で際立っていると云える。特に、彷徨し

 

ているラストの部分などは一読に値する。これだけ読むと

 

体験していないと描き得ないのではないか、と思い、ぼくも

 

実体験から描いたのではないか、疑いの余地のないところ

 

では、と一瞬信じたが、いやいや、この人は狡猾ですよ。

 

一を十にも二十にも膨らませて書ける筆力があるのですよ。

 

人肉を喰えば、狂うと云うから、宗教的、キリスト教的

 

着地点も、合理性があり、精神に異常をきたしたと云う

 

ラストも納得がいく。けど、戦争と云うものは本当に

 

恐ろしいものですよ、と心底思った次第。

 

(読了日 2024年12・17(火)17:03)

                 (鶴岡 卓哉)


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