こういう古い本をディグってると、やはり、
大きな発見がある。それは、人生と云う歴史
であり、それは、決して見逃せないものだ。
ぼくは、文章修行だと思って、このブログ
を運営しているが、と云っても、ただ、ア
ップしているだけだが。
今日のお作品はとても古いですよ。そ
して、未だに読み継がれている伝説的な作品
です。
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野火 新潮文庫 昭和二十七年
これは多分に、創作が入っているのだな、と思った
のは、大岡氏の戦後の動向で、愛人を囲ったりして、
妻が自殺したりしていることにある、と云える。
所謂、昭和の文豪クソ野郎である。
本書はもの凄い作品である。力強いし、作品として、
伝説になっている通り秀でている。或る意味、詩的だし、
文章が立体的で際立っていると云える。特に、彷徨し
ているラストの部分などは一読に値する。これだけ読むと
体験していないと描き得ないのではないか、と思い、ぼくも
実体験から描いたのではないか、疑いの余地のないところ
では、と一瞬信じたが、いやいや、この人は狡猾ですよ。
一を十にも二十にも膨らませて書ける筆力があるのですよ。
人肉を喰えば、狂うと云うから、宗教的、キリスト教的
着地点も、合理性があり、精神に異常をきたしたと云う
ラストも納得がいく。けど、戦争と云うものは本当に
恐ろしいものですよ、と心底思った次第。
(読了日 2024年12・17(火)17:03)
(鶴岡 卓哉)
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