映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ズートピア

2016年10月09日 | 映画(さ行)
動物たちの個性がバツグン



* * * * * * * * * *

動物たちが高度な文明を築いた世界を描いたディズニー・アニメです。
その原点というのが、肉食獣たちがその凶暴さを捨て、
草食獣たちと共存する社会を作り上げたということ。
この世界はこの一点でのみ、平和が築かれていると言ってもいい。



さて、ウサギのジュディ・ホッブスは、子供の頃から警察官になりたいという夢を持っていました。
けれど、ウサギは農場で人参を作るものというのが大方の常識で、
これまでウサギの警察官は一人もいません。
彼女の夢は、周りの大人達からはばかにされてしまいます。
でも、彼女は諦めない。

警察学校でも周りはサイやゾウやカバなど大きな動物ばかりで、始めはとてもムリと思うのですが、
それでも彼女はトレーニングに励み、
持ち前のすばしっこさで切り抜けて、とうとう主席で卒業します。
そしてついに憧れの大都会ズートピアで勤務する日が来ます。



田舎町から列車でズートピアにやって来るジュディ。
列車から見る都会の光景はみな目新しく、何もかもが輝いて見えます。
このジュディのワクワク感が表されているシーンがほんとうに素敵。
今ならなんでもできそうだ!!という高揚感が伝わります。


が、しかし。
現実は甘くない。
さっそくジュディに与えられたのは駐車違反の取締の仕事。
それでも彼女はがんばったのですが、やる気は認められず、
貧しい部屋に一人ぼっちで落ち込んでしまいます。
でも、羊の副市長の後押しで、ある行方不明事件の捜査にあたることに。
ひょんなことから知り合ったキツネのニックとコンビを組みます。



というわけで、探偵もの、犯人探しの興味も加わって、
すごく興味深い内容になっています。
ズートピアは表向きは平和で平等な社会ですが、
動物種による差別や偏見がまだまだ残っています。
草食獣たちは、原始的な肉食獣への恐怖がまだ抜けていない。
結局私たちが今暮らしている社会とあまり変わりはないのですね。
ズートピアを描きながら、私たちの社会を二重写しにしているわけです。



こんな中で、キツネのニックのキャラクターがナイスです。
実は詐欺師だったのですが、それだけに知恵が回り、
それをまたやり込めたりもするジュディとの掛け合いが楽しい。
後半で語られる、ニックのトラウマもまた、テーマに沿った大切なものでした。
そして事件の黒幕は、なんとも意外な人物。
ここでは、肉食獣こそが危険という思い込みを覆すわけです。
なるほど~。
よくできています。


おかしかったのは、免許更新の窓口職員がナマケモノというところ。
何にしてもスローモーなので、ものすご~く時間がかかります。
よほど窓口で待たされた経験がある方が考えたシーンなのだろうなあ。
どんな動物がどんな職業に向いているのか、いないのか。
色々想像すると楽しそうです。
う~ん、でも気になるのは
この動物たちは(特に肉食獣は)何を食べているのだろう・・・?

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「ズートピア」
2016年/アメリカ/109分
監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
わくわく度★★★★★
満足度★★★★☆