読む落語
福袋 (講談社文庫) | |
朝井 まかて | |
講談社 |
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職人が寄席看板の名手となるまでを、愛用する"筆"が語る「ぞっこん」。
湯屋の仕事が好きでたまらない少女の明け暮れを描いた「晴れ湯」。
並外れた大食漢ゆえに離縁された女が、大喰い大会で大活躍する「福袋」。
ほか、傑作ぞろいの短編集。
どれを読んでも、泣ける、笑える、人が好きになる!
舟橋聖一文学賞受賞作。
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朝井まかてさんの江戸を舞台とした短編集。
これが、「読む落語」という触れ込みなのですが、まさにそんな感じ。
会話が主体となってポンポンと弾むようなやり取りが心地よいのです。
様々な職業の人々に焦点が当たりますが、冒頭の一作、
「筆」が語り手なのにはちょっと戸惑った・・・。
でもそれも一旦飲み込めば実に面白い。
しかも次第に現代の日本の風潮とどこか似た話になっていくのが
また興味深いところなのです。
古着屋の少女が、自分のちょっとした工夫で"流行"を生み出していく。
そんな彼女の苦境を救ったのが、普段煙たく思っていた兄嫁なのだけれど、
彼女は実は・・・、という「莫連あやめ」
大食らいの姉が婚家から戻ってきて、弟は持て余してしまうのだけれど、
「大食い大会」に出るようになって賞金が入り、人気も出て・・・という「福袋」。
その日暮らしだった男があることがきっかけで商売を始め、
金儲けではなくその面白さに目覚めて、
100円均一的な商売を思いつくという「ひってん」。
話の面白さだけでなく個性的な登場人物それぞれも魅力的です。
舟橋聖一文学賞受賞作というのも納得の一冊。
図書館蔵書にて
「福袋」朝井まかて 講談社(単行本)
満足度★★★★★