シャロン・テートについての予習を怠るべからず!
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私はたいてい映画を見る前には、その映画の内容について、
簡単なあらすじ程度しか確認しません。
でも本作については、もう少し予習をすべきだったと深く思います。
というのも本作、1969年に起こったある事件が下敷きとなっているのです。
当時の時代の寵児ロマン・ポランスキー監督の妻であり新進女優であった
シャロン・テートがカルト集団により惨殺されたという事件。
しかも当時妊娠中でした・・・。
それはしっかり私も生きていた時代でしたが、
まだ映画ファンになるような年齢でもなく、その事件のことは知りませんでした。
けれど、これからこの作品を見る方は、ぜひこのことを心に留めて見ていただきたい。
そうすると、本作の満足度がアップすること間違いありません。
さて本作のストーリーといえば、
主人公は、テレビ俳優としての人気のピークを過ぎて、やや落ち目・・・、
今度は映画スターへ転身を目指しているリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、
その専属スタントマンのクリフ・ブース(ブラッド・ピット)、二人のコンビです。
リックは自信を失っていて、将来への不安を拭い去る事ができません。
一方、リックの仕事がうまく行かなければ当然自分の暮らしも成り立たなくなるはずのクリフは、
そんなことに頓着せず、常に自分らしく楽天的。
リックはプール付きの豪邸に住んでいます。
リックの送り迎えの運転もするクリフは、トレーラーハウス住まい。
そんな二人だけれど、妙にウマが合うのです。
60年代のハリウッド事情、風俗、流行の曲や、車、もちろんファッション、
全てが再現されていて素晴らしい!
車のことなどよくわからない私ではありますが、
道路を走る車が、主人公の乗っている車はもちろんのこと、
多く行き交う車も全て当時のモデル、というのがなんともすごい・・・
と、感動してしまいました。
リックは結局、イタリアのマカロニウエスタン作品に出演することになるのです。
そんなこんなで、二人の日々が綴られるのと交互に、
リックの隣人、ポランスキー夫妻のエピソードがまじります。
シャロン・テート(マーゴット・ロビー)が自らヒロインとして出演した映画を、
劇場で実に楽しそうに見るシーンがすごく可愛らしい♡
しかしそもそもシャロン・テートをよく知らない私は、このシーンがなんのためにあるのか、
特にリックとクリフとも関連がなさそうなこの隣人たちのエピソードが
何を意味するのか?・・・と訝ってしまったのです。
シャロン・テートのことを知っていれば、とても興味深いシーンの数々だったはずなのですが。
結局本作は、タランティーノ監督の60年代への懐古と、
そして監督のある願いとか、祈りとか、夢、そういうものなのではないかと思う次第。
実のところ私、映画を見た直後は、
面白くなくはないけどなんだか腑に落ちない感じでいっぱいだったのですが、
後にシャロン・テートの事件のことを知って、すごく納得してしまいました。
2大俳優の起用も納得。
素敵な作品なのでした!・・・と、噛みしめるように思う。
<シネマフロンティアにて>
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
2019年/アメリカ/161分
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、エミール・ハーシュ、ダコタ・ファニング、アル・パチーノ
時代再現度★★★★★
満足度★★★★.5