女子の賞金は男子の8分の1
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実話に基づいています。
1973年。
女子テニス世界チャンピオン、ビリー・ジーン・キング(エマ・ストーン)は、
女子の優勝賞金が男子の8分の1であるというテニス界の激しい男女格差に異議を唱えます。
そして、仲間とともにテニス協会を脱退し、女子テニス協会を立ち上げます。
そんな頃、元男子世界チャンピオンのボビー・リッグス(スティーブ・カレル)が、
男性優位主義の代表として女性陣に挑戦状を叩きつけます。
キングVSリッグス、世紀のテニスデスマッチ「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」が始まります。
そもそもテニス界のことには全く疎い私です。
しかし、ビリー・ジーン・キング女史が当時日本でキング夫人と呼ばれていたということで、
かすかに思い出しました。
「エースをねらえ!」のコミックの中で、
岡ひろみが憧れ、目指していた一人がそのキング夫人ではなかったか・・・。
そういう時代のお話、ということですね。
全く、驚いてしまいますが、男女のチケットの売上は同じだというのに、
女子の賞金額は男子の8分の1だという。
その理由を問えば
「男には養う家族がいる」とか「男子の試合のほうが早くて強くて面白い」とか。
理由にもならない理由ですが、それが実際まかり通っていたわけで・・・。
女子の試合などただの余興、
女子供に大金なんか必要ないだろう、
という男性の身勝手ないやらしい匂いがプンプンしますね。
ビリーはいいます。
「どちらが上とか下とかではなくて、女性に敬意を払ってほしい」と。
様々な映画を見て気づきます。
いろいろな場所でいろいろな立場の女性が奮闘してきたおかげで、
私たちの今があるのだなあ・・・と。
それはまだまだ道半ばではありますが、この流れを途絶えさせてはいけませんね。
さて、本作でボビーは55歳。
シニア選手としてはまだ現役です。
で、彼は賭け事が大好きで、彼自身が女性の社会進出を阻もうと思っているわけではないのです。
ただ、自分と現役女性選手の試合を組めば盛り上がるだろう、と。
そのため彼は自ら「男性至上主義のブタ」を名乗り、
ひょうきんな振る舞いをして世間の注目を浴びます。
そういうことがわかっているので二人の関係性はそう悪くはありません。
ジーンはわかっているのです。
本当の敵は、一見紳士でキレイ事ばかりを並べる男たちであることを。
そしてもう一つ、驚くべきことに、キング夫人というくらいですから、彼女は結婚しているのです。
ところが美容師のマリリンに惹かれていく、
つまり実のところ同性愛者であることに目覚めて行くわけです。
彼女がレズビアンであることをカミングアウトしたというのも実話なんですね。
自分が自分らしくあること、そのことは何者にも非難されるいわれはないのだということ、
そういうことを貫き通す、実生活の上でも強い女性。
私も、憧れます。
それと本作、つい最近の作品なのですが、70年代の再現性が半端じゃないです。
当時作られた映画をそのまま見ているような感じ。
人々の服装や髪型、眼鏡の形。
主要人物だけでなく、ほんの通行人たちも。
作品の色合いも何か少しレトロっぽいような・・・。
これはなかなかすごい。
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エマ・ストーン,スティーヴ・カレル,アンドレア・ライズブロー,サラ・シルヴァーマン,ビル・プルマン | |
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<WOWOW視聴にて>
「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」
2017年/アメリカ/122分
監督:バレリー・ファリス、ジョナサン・デイトン
出演:エマ・ストーン、スティーブ・カレル、アンドレア・ライズボロー、グラディス・ヘルドマン
時代再現性★★★★★
男女格差度★★★★☆
満足度★★★★☆