湿地の娘
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ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。
人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。
読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、
彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、
彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと
思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……
みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、
物語は予想を超える結末へ──。
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本作は、先に映画を見て感銘を受けたところですが、
せっかくの世界的ベストセラー、ぜひ原作も読んでみたいと思っていて、
ようやく読むことができました。
これを読むと、映画がいかにこの本の世界観を壊さないように
忠実に描こうとしていたかが分かります。
6歳で家族に見捨てられ、湿地のみすぼらしい小屋で
たった1人で生きていかなければならなくなったカイア。
学校へも行かないカイアに読み書きや学ぶことの楽しさを教えてくれたのは少年テイト。
カイアはテイトに恋心を抱くようになりますが、
彼は大学進学のためこの地を去り、約束も違えて戻ってこない・・・。
村の人々から「湿地の娘」と呼ばれ蔑まれながら、孤独の日々は続きます・・・。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に接近してくる。
映画もそうでしたが、実はこの物語は、
このチェイスが死体で発見される所から始まるのです。
事故か、事件か・・・?
その捜査の様子と、カイアの幼少期からの生活の様子が交互に描かれていきます。
孤独でありながら、聡明で生きる力に満ちたたくましい女性、カイアの魅力。
そして、美しい湿地にあふれる自然。
そして、終盤の裁判の様子もやきもきさせられるのですが、
カイア自身の事件への思いが語られないところがミソといえばミソなのでした。
映画もよかったですが、もちろん、本もスバラシイ!!
世界中で愛されたのも、もっともなことであります。
著者、ディーリア・オーエンズは動物学者で、
この本は69歳で執筆した彼女の初めての小説とのこと!!
<図書館蔵書にて>
「ザリガニの鳴くところ」ディーリア・オーエンズ 友廣純訳 早川書房
満足度★★★★★