武士って生きにくい・・・
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白石和彌監督、初の時代劇。
古典落語「柳田格之進」をもとにしています。
身に覚えのない罪を着せられた上に妻も失い、
故郷彦根藩を追われた浪人・柳田格之進(草なぎ剛)。
娘・お絹(清原果耶)とともに江戸の貧乏長屋で暮らしています。
実直な格之進は囲碁が得意で、その人柄を表わすように、嘘偽りのない勝負を心がけています。
そんなことがきっかけで格之進は、江戸の大店・萬屋の主(國村隼)と知り合い、
親交を深めていきます。
そんなところへ、旧知の藩士からかつての彦根での冤罪事件の真相を知らされ、
格之進は復讐を決意。
ところがそんな中、萬屋で大金の紛失事件が発生。
その時に居合わせた格之進に疑いがかかりますが・・・。
武士たるもの、常に清廉潔白でなければならない。
あらぬ疑いをかけられることこそが恥。
それは命をかけても晴らさなければならないこと。
そうした思想がバックボーンとなっているわけです。
そんなストイックな有り様が、草なぎ剛さんに合うんだなあ・・・。
ネタばらしになってしまうかもですが、
萬屋でお金を盗んだと疑いをかけられた格之進は、思わず切腹しようとしますが、
そこは娘・お絹がかろうじて引き留め、
それならばと自分から遊郭に身を売ってお金を作り、
そのお金を萬屋に渡すようにと言うのです。
そんなことをすればかえって自分の盗みを認めるようなモノなのでは?
と思ってしまうのですが・・・。
なんとしてもいざこざの中心に自分がいることに耐えられないということなのか。
それでも、自分は盗みなど働いていない、いつかきっと疑いを晴らす、
その時には番頭と主の首をいただく、と言い捨て、姿を消す格之進。
いやいや、格之進の覚悟もさることながら
武家の娘、お絹さんの決断がまたすごすぎます・・・。
ともあれ、なんとも武家だの武士だのは生きにくい。
こんなに肩肘張って生きなければならないのは本当に、つらそう・・・。
ところで「碁盤斬り」の題名の意味は、最後に分ります。
ウソ!!と思います。
そうそう、齊藤工さんの武士姿というのもなかなかイケてた。
敵役ですが。
<シネマフロンティアにて>
「碁盤斬り」
2024年/日本/129分
監督:白石和彌
脚本:加藤正人
出演:草なぎ剛、清原果耶、中川大志、奥野瑛太、音尾琢磨、齊藤工、國村隼、小泉今日子
ストイック度★★★★★
ハラハラ度★★★★☆
満足度★★★★☆