「不幸」を短歌に
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恋でも、仕事でも、その辺にいるときも。
あのときも、今も、どうせ明日も。
傷ついたり落ち込んだり。
顔では笑っているけど、心は砂漠。
僕の日々は小さな不幸の連続です。
トホホな出来事がよく起きて、センチメンタルに殺されそうな日々です。
でも、不幸があると短歌ができます。
その短歌を読んで誰かがクスリと笑ってくれます。
そうすると僕の小さな不幸は成仏されるのです。
短歌があればトホホも友達です。
もしあなたに今、憂鬱なことがあるのなら、
僕と一緒にトホホを小さな笑いに変えてみませんか。
岡本雄矢さんの短歌+エッセイ、第2弾。
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著者は吉本興業に所属するお笑い芸人さん。
自らのトホホな出来事、「不幸」を短歌に仕立てて、
ちょっとした笑いにいざなうということで、話題になりました。
本作はその第2弾。
少し笑ってしまうというのは、つまりそのちょっとした不幸は、
誰にでも多かれ少なかれ同様の経験があったりするからなのでしょう。
少しずつ岡本氏に共感しながら、
変わり映えせずパッとしない毎日でも「ま、いっか」と思えてしまう一冊であります。
いくつかご紹介・・・
自転車で豪快にこけてやっぱりかこの夏最初の半ズボンの日
節約のために水筒持ち歩きパチンコでむちゃくちゃ負けている
キットカット食べても負けて もっとちゃんとしなければって ぢつと手を見る
親も生まれる場所もえらべないならふりかけくらい好きなの選ぶ
うむむ・・・と、うなってしまうのは
なんのために生まれなにをして生きるのか 唐突な問いではじまるマーチ
これ、「アンパンマンのマーチ」なのですが・・・。
たしかに、こんな哲学の命題そのものをガッツリとぶつけるとは、
子供向けアニメのテーマソングにしてはなんと大胆な。
やなせたかしさん自身の作詞。
いや、でもいいんじゃないでしょうか。
時には童心に返ってこんな歌を口ずさんでみたら、逆に勇気が出てくるかも・・・。
<図書館蔵書にて>
「センチメンタルに効くクスリ トホホは短歌で成仏させるの」岡本雄矢 幻冬舎
満足度★★★☆☆