池澤夏樹さん、北海道の集大成
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「北海道新聞」で連載した同名コラムを中心に、
2000年以降に発表された北海道にかかわる文章47編を掲載。
幼少期の思い出をつづった「おびひろ1950」
(「北海道新聞」帯広・十勝版に27回連載)も全編収録した。
自然写真の巨匠・水越武の写真27点を添え、故郷への追憶と希望をうたう。
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池澤夏樹さんは先頃13年暮らした札幌の地を離れ、信州・安曇野へ越されました。
本巻は、その札幌生活の集大成ともいうべきもの。
2000年以降に発表された北海道にかかわる多くの文章が掲載されています。
そもそも著者は、様々な地に数年間住んではまた移住ということを繰り返されていまして、
ギリシア、沖縄 、フランス、そして北海道。
北海道帯広市は著者が幼少期を過ごした土地で、氏にとってはまさに故郷。
だからきっと氏には北海道は特別の地で、
このままずっといていただけると思っていたのですが、
安曇野へ越されたと聞いたときはちょっとショックでした・・・。
でも本巻の中に書かれていますが、氏は言います。
「これはもう性癖なのだ」と。
住み着いて言葉を覚え、食べ物を知り、歩き回り、人の気性を学ぶ。
そういうことがおもしろくてしかたがない。
だから転居が一生を棒に振っても良いほどの道楽になる。
旅行ではなく住み着くことが大事なんですね。
しかも次の居住地は安曇野となれば、そりゃ私だって行ってみたいです・・・。
表題「天はあおあお野はひろびろ」とは、無論北海道を表わしています。
でも札幌に住む私にとっての北海道は、
それをさほど自慢できる立場ではないのかな・・・などと思ったのですが、
著者に寄れば、札幌は道路が広いので空が広いと書かれていまして、
なるほど、そうなのかと思いました。
他の所に住んだことのない私には気づかない所です。
その他、北海道の良いところも悪いところもいろいろな視点で述べられています。
そして、自身の幼少期、帯広でのことも多く描かれているのは嬉しいところ。
また、自然写真の巨匠・水越武さんの写真もたっぷりありまして、
まさに満足のいく一冊になっています。
<図書館蔵書にて>
「天はあおあお野はひろびろ 池澤夏樹の北海道」池澤夏樹 北海道新聞社
満足度★★★☆☆