それぞれの作家らしい力作揃い
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浮気を繰り返す男の前世とは?
未来の夢を見る少年とその一家、
インストールされたAI探偵の存在意義は、
貝殻から自分そっくりの人間が生まれたら?
トー横カップルの哀しい道行き、
村の忖度博物館をどうする?
8年前のガラケーに届いたメッセージ
――2023年に発表された短篇から、日本文藝家協会の選考委員が独自にセレクト。
今読まなければもったいない、人気作家たちによるベスト短編集最新版です。
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人気作家による短編集。
著者は・・・・(敬称略)
江國香織、三浦しをん、乙一、澤西祐典、山田詠美、小川哲、
中島京子、荻原浩、原田ひ香り、宮島未奈、武石勝義
それぞれの著者らしさの滲む力作揃いです。
三浦しをん「夢見る家族」
特に変わったところもない普通の家族のようでいて・・・
夜音次(よねじ)は、自分の家族は少しヘンだと思うようになる。
母がいつも自分と兄・千夜太の見た夢の内容を聞くのです。
夜音次はよく恐い夢を見るのですが、面倒なので兄にその内容を伝え、
兄から母に兄の見た夢としてその内容を伝える。
母はその夢を予知夢として重要視しており、
兄を夢見の力があると思い込む。
でも、本当にその力があるのは弟の方で・・・
萩原浩「ああ美しき忖度の村」
ある村は20年前に「忖度」村という名前になったのですが、
今や「忖度」という言葉に悪いイメージがつくようになってしまった。
そこで、「忖度村イメージ向上委員会」が結成されたが、
村の有力者の意向に従おうという空気感に満ちていて、
会議は一向に進まない・・・。
「忖度」にまつわる皮肉な物語。
まあ確かに、元々「忖度」というのはそう悪い意味ではなかったはずではありますね・・・。
宮島未奈「ガラケーレクイエム」
解約したつもりで忘れていたガラケーに、
もと同級生から2年前のメッセージが届いていた・・・。
「渡したいものがあります」と。
さて、今さら2年も前のメールにどう反応すべきなのか・・・?
特別親しい間柄でもなかったのだけれど・・・。
不思議に過去が立ち上ってきますね。
「夏のカレー」現代の短編小説ベストコレクション2024 日本文藝家協会・編 文藝春秋
満足度★★★.5
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